戦後70年の終焉まで残り3ヶ月?「世界を守る」名目で自由に戦争へ…日本だけ負担増「新・日米ガイドライン」に異議 戦争反対の改革勢力「フォーラム4」古賀茂明氏に岩上安身が訊く~岩上安身によるインタビュー 第535回 ゲスト 古賀茂明氏 2015.4.30

記事公開日:2015.4.30取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・原佑介)

※5月1日テキストを追加しました!

 戦後70年かけて築き上げた秩序が、いとも簡単に崩れようとしている。

 訪米中の安倍総理は2015年4月29日、米連邦議会の上下両院合同会議で、「希望の同盟へ」と題した演説をし、自衛隊の集団的自衛権の行使を前提とした新たな日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)に意欲をみせ、「必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現する」と明言した。

 異例の国際公約とも言われる安倍総理の発言に、野党は猛反発。民主党の岡田克也代表は30日、「法案提出すらされていない段階で、これほどの重要法案の成立時期を外国で約束するなど前代未聞。国民無視、国会軽視、ここに極まれり」とするコメントを発表した。

 社民党の吉田忠智党首は、「立法府を無視している。国民が国家権力を縛る立憲主義を否定する問題発言だ」と指摘。共産党の山下芳生書記局長は、「じっくり時間をかければ、国民の中で反対世論が多数になるのを恐れての焦りだ」と批判した。

 しかし、安倍政権はこれまでも、国民や野党の反発をものともせず、特定秘密保護法を成立させ、解釈改憲の閣議決定に踏み切ってきた。

 元経産官僚で、「フォーラム4」を立ち上げた古賀茂明氏は4月30日、岩上安身のインタビューに応え、こうした状況について「歯止めがない」とし、危機感を示す。

 「『世界を守る』という名目を掲げれば、世界中で戦争ができる。今国会の残り3ヶ月間で、戦後70年の歴史が変えられようとしている。過去の日米安保改定よりも大きな出来事だが、それを、なぜこんな簡単に変えられるのか」

 こうした「歯止め」のない状況は、自公政権と対峙できる勢力が不在であることが大きな理由のひとつだ。超タカ派の安倍政権か、そうでなければ共産党か、二者択一ともいえる状況下で、古賀氏は、「改革はするが、戦争はしない」という「空洞部」を埋めるべく、「フォーラム4」を立ち上げた。

 古賀氏は岩上安身のインタビューで、「フォーラム4」の目的や理念、安全保障をめぐる日本の今後や新日米ガイドラインの本質、さらには覇権を拡大させる中国との付き合い方まで広範に分析し、独自の見解を示した。

記事目次

■イントロ

  • 日時 2015年4月30日(木) 14:30~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

古賀茂明氏が立ち上げた「フォーラム4」は「戦争をしない改革勢力」

岩上安身(以下、岩上)「前回、古賀さんが立ち上げた『フォーラム4』について話す時間がありませんでした。どういったものがご説明願えますか? 軍事立国化に抗する運動とつながるとお聞きしています」

古賀茂明氏(以下、古賀・敬称略)「一昨年(2013年)くらいから構想がありましたが、始まったのは今年の3月中旬です。最近、急に外交・安全保障が国民に注目されてきました。自民党が野党時代、自民党の反省会に講師として招かれ、その際に小泉進次郎さんと話したことがあります。

 私の話を聞いた進次郎さんは、『自民党には3つの大罪がある』とおっしゃった。それは『借金大国にしたこと』『少子高齢化にしたこと』『成長できない国にしたこと』です。『フォーラム4』はその3つをお借りし、そこに『原発神話を作って事故を起こしたこと』を加えています。

 保守として、自民党はどうしても守りに入りますが、昔は自民党の中にもリベラル派がいました。しかし、今は安倍さんが超タカ派で、ハト派が小さくなっていきました。安倍さんは『アベノミクス』『集団的自衛権』で、改革派だと思われていることもあります。

 民主党の場合、前原誠司さん、細野豪志さんのようなタカ派と、輿石東さん、大畠章宏さんのようなリベラル派がいます。結いの党は維新の会と一緒になり、江田さんも橋下さんに付いて行って、リベラル色を失っていきました。こうなると『民主も維新も怖いね』となる人がいます。国民の、そんな戦争への不安感を集め、票を伸ばしたのが共産党でした。

 こう見ると、『改革はやるが戦争はしない』『原発は動かさせない』という層の行き場がないんです。私は、ここの部分に政党を作れ、と言ったんですが、それが難しい。長妻昭さんなどはこうした部分だと思いますが。じゃあ政党をいきなり作るよりも市民活動から…ということで、『フォーラム4』を作りました。

 私は、『フォーラム4』は、基本は新しい勢力にしないといけないと思っています。市民活動から始めて、その中から候補者が出てくればいいと思うんです。最初は無名でもいいんです」

平和主義的なティーパーティー運動? 考えが近い者同士で修練する場

岩上「活動はどのようなことをしていくんですか?」

古賀「まずは議論の環境を作ります。『フォーラム4』に入る人には、『フォーラム4』が何をできるかを提案してもらうようにしています。集会やシンポジウムを開くのもいいし、議論しながら山登りをするのでもいい。最初から『政党を作るので付いてきてください』とはしません」

岩上「『ピースウイング(※)』とも重なりますか?」

※ ピースウイング:三重県松阪市の山中光茂市長が、安倍内閣による集団的自衛権行使容認の閣議決定を「憲法違反」と批判し、違憲確認を求める訴訟を起こす狙いで設立した、市民団体

古賀「重なるところは多いです。滋賀の嘉田由紀子さん(元滋賀県知事)とも近い。政治家同士のつながりでなく、市民の草の根を広げられればと思っています」

岩上「『平和主義的なティーパーティー運動』のようなイメージですかね?」

古賀「米国とは違い、日本では、政治活動に支援金を出す文化があまりないので、どこまでできるかなぁ、というのはあります。日本の最大の問題は、みんなが働き過ぎていることです。なので、せっかくいい番組を作っても、皆さん、帰った時には疲れているし、土・日は家の仕事です。1日1時間早く帰ってIWJを観れば得すると思います」

岩上「ありがとうございます。『フォーラム4』はどこかとパートナーを結ぶ予定はあるんですか?」

古賀「ゆるやかに連携や協力の可能性は持ち、つながって、それぞれの団体にカムバックしてもらって、修練してゆく。そうしていけば、選挙などで共闘できると思います。まずは考えが近いことが重要です。民主党などはタカ派からハト派まで、考えが広すぎて、よくわからないことになっていますから」

喫緊の課題は「チャラ」にできない「安保法制」

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  1. 藤井 より:

    フォーラム4支持

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