「安倍さんは、人質殺害のリスクより、(自分にとっての)もっと大きなリスクがあると考えたのではないか。米国も英国も人質事件を知っていた。それにもかかわらず、安倍さんは『テロに屈せず』中東に行き、同盟国の支援まで約束した。『あいつは使えるヤツだ』と英米豪仏に褒められて、安倍さんにとっては、今回の中東訪問は『大成功』でしょう」──。
「イスラム国」による邦人人質事件の際に、報道番組の中で「I am not Abe」と発言した古賀茂明氏は、このように述べて、外務官僚は安倍総理の中東訪問の前に、邦人が拘束されている情報を伝えていたはずだ、との見解を語った。
2015年3月29日、三重県松阪市の農業屋コミュニティ文化センターで、ピースウイング代表で松阪市長の山中光茂氏と、元経産省官僚の古賀茂明氏の対談が開催された。はじめに山中氏、続いて古賀氏が講演をしたのち、2人の対談が行われた。
山中氏は、「日本の70年間の平和は、安保条約ではなく、かつて侵略国家になった大きな反省と悔しさがあったから成し遂げられた。日本は平和主義を徹底する憲法9条を、国民の意思で守ってきたことに、もっと誇りを持つべきだ」と主張し、このように続けた。
「武力を通じて平和が作れる、という理想論はあり得ない。国際紛争を解決する手段として、永久に武力を放棄するという、交戦権を否認する憲法の理念を、たかが内閣の閣議決定で覆すような国家の方向性には、市民運動で『NO』を突きつけなければいけない」
「改革はするが、戦争はしない」という基本理念を掲げて、「フォーラム4」を立ち上げた古賀氏は、難しく考えず、当たり前に思ったことを言って、普通に平和な生活を楽しみたいという思いで参加してもらえれば、と話した。
その上で、「今、普通の生活が侵されつつある。なんか変だと思いましょうよ。良くするためには、ちょっとでも何かしましょうよ。そういう人たちが集まってほしい」と呼びかけて、賛同を募った。
- 開会あいさつ/ピースウイング活動紹介
- 講演 山中光茂氏(ピースウイング代表、三重県松阪市長)
- 講演 古賀茂明氏(元経済産業省経済産業政策課長)
- 対談 古賀茂明氏×山中光茂氏/質疑応答/ピースウイングから
- 日時 2015年3月29日(日)19:00〜20:30
- 場所 農業屋コミュニティ文化センター(三重県松阪市)
- 主催 ピースウイング(詳細、Facebook)
当たり前の幸せを「愚かな為政者によって壊されてはならない」
壇上に立った山中氏は、「自分自身、ケニアやソマリアの紛争地へ人道支援活動に行き、政治が作り出した差別や格差を解決する難しさを思い知った。日本は70年間、平和の原点を国民の意思で守ってきた。1人の愚かな為政者によって、それが壊されてはならない」とスピーチの口火を切った。
そして、「愛の反対は、無関心」と説いたマザー・テレサの言葉を引用し、「ピースウイングの賛同者たちは、自分のためではなく、他者への愛、この国の未来、次の世代に対する愛をもって、無関心から抜け出てくれた」と語った。
日本の70年間の平和は、安保条約ではなく、かつて侵略国家になった大きな反省と悔しさがあったから成し遂げられた、と主張する山中氏は、「日本は平和主義を徹底する憲法9条を、国民の意思で守ってきたことに、もっと誇りを持つべきだ。武力を通じて平和が作れる、という理想論はあり得ない。同盟国同士で武力を持ち合って平和を保つことは、まったくおかしい」と力説し、このように続けた。
「国際紛争を解決する手段として、永久に武力を放棄するという、交戦権を否認する憲法の理念を、たかが内閣の閣議決定で覆すような国家の方向性には、市民運動で『NO』を突きつけなければいけません」
愚かな為政者を想定して生まれた憲法
山中氏は、王制から市民革命を経たフランスで、愚かな為政者が出現することを想定してできたのが憲法だと説明。「いかに愚かな権力者、市長、総理大臣、県知事が出てきても、憲法という国民の意思で、しっかりと制約するのが基本。その平和国家としての憲法の理念を、安倍総理は簡単に乗り越えてしまった。安倍内閣の閣議決定で、70年間、平和を守ってきたこの国の形を壊されてしまったのです」と憤った。
さらに、「安倍首相は、集団的自衛権は、国民の意思や政治でコントロールできるから、国際協調のために行使容認するべきだと言う。これは、まったくのまやかしです。直接、国と国民に危害がおよぶ時に発動するのは、個別的自衛権。集団的自衛権の行使とは、日本の同盟国のアメリカやイギリスが危ない時、一緒に戦うこと。国際貢献活動とは関係ない」と述べ、安倍首相の理屈を切り捨てた。
戦争は憎しみの連鎖を広げるだけ
テロについて話がおよぶと、山中氏は、「イスラム国」の蛮行は許されないが、テロは憎しみから生まれて連鎖するものだから、テロ組織を壊滅してもなくならないとして、次のように述べた。
「今回、『イスラム国』への空爆や地上戦で、テロ組織のメンバーを殺害しても、彼らには子どもや家族、親戚、民族の仲間もいる。戦争は、残った人々に憎しみの連鎖を広げるだけ。日本が、西側の正義だけに集団的自衛権を認めて、戦闘に加担する国家になれば、自衛隊だけではなく、世界中の日本人が、彼らの敵になってしまう」
70年前、日本は侵略国家のレッテルを貼られたが、それから不断の努力で世界に貢献し、国際的な信頼関係を築いたと強調する山中氏は、「平和と経済力と優しさを、世界にバラまいてきたのが日本民族です。その誇りを、私たちは改めて確認しなくてはならない。憎しみに対して、憎しみで解決をするような国家を目指すのではなく、徹底した平和主義の理念を貫くことこそが、日本の姿。子どもたちと一緒に、堂々と平和を語ることのできる日本に、しっかりと変えていく」と主張して、講演を終えた。
なぜ、安倍さんは人気があるのか?
次にマイクを握った古賀氏の第一声は、「なぜ、安倍さんが、あんなに人気があるのでしょうか?」というもの。古賀氏は、この25年間、世界で日本と北朝鮮だけが成長できていないとし、「優秀な人や技術があるのに成長できないのは、おかしな仕組みがあるせいだ。それを改革しようと、ずっと言い続けてきた」と語り始めた。
古賀氏は、改革が進まない理由を、既得権益を守り、バラまき政策しかしない守旧派の勢力が強いためだと述べ、自民党が、かけ声だけの改革を唱えている間に、国の借金は増え続け、少子化対策にも手をつけず、今頃になって、「待機児童ゼロ、女性活用」などと声を上げている、と批判する。
また、「安倍さんは、昨年(2014年)の総選挙で、『改革をやらせてください。ここで改革を止めるんですか』と訴えているが、誰も止めていない。『あんたが勝手に止めているんだろ』と私はツイッターで書きました」と、会場の笑いを誘った。
さらに古賀氏は、「安倍さんは、自民党が野党の時は、橋下氏が維新の会に誘ったくらいに落ちぶれていた」と明かし、「維新の会の急成長に怯えた自民党議員が、橋下氏と仲がいい安倍氏にすり寄った結果、気づいたら総理になっていた。自民党のハト派議員も公明党も、大臣の椅子欲しさに、みんなタカ派になってしまった」と語り、一連の政局を振り返った。
昨年の総選挙で、票を入れたい政党がないために、「とにかく、命には代えられない」と共産党に投票した知人のエピソードを披露した古賀氏は、「今、既得権と戦ってくれる党、民間主導でがんばろうという改革派で、戦争も原発も反対だ、という党がありません。私はこの空白地帯に、改革はするけど戦争はしない、新しい政党を作らなければならないと思ったのです」と続け、自身が立ち上げた「フォーラム4」について説明していった。
改革はするけど、戦争はしない
「ほとんどの人は、私の意見に同意してくれる。そこに政党を作れば、支持者は必ず集まると思っている」と語る古賀氏。「当面は政治団体ではなく、お金も集めない。理念を広げる活動から始めて、そういう趣旨の人たちがいることを広く知らしめたい」 その理念について、古賀氏は、次のように列挙した。
目先の欲にとらわれず視野の広い山中さんを
市長に選べる松阪市の市民は意識が高く先を見る目を持った方達なのでしょうね
滋賀県も素晴らしい市長を選んでいましたが
地域社会が目覚めてきたということでしょうか!!
ありがたいことです
自主的に参加できる依存心の少ない人が増えているのだとすれば
これからのニホンに期待できそうですね
若い皆様が撫でまわすぐらい、命あることを大切に、考えてほしい。松坂は良いですね。私は広島ですが、お墓は、三重で父は長崎医大卒今三重で眠っています。選挙ですが、投票したい人がいません。応援します。命ある限り、孫のために。
「改革はするが、戦争はしない」―元経産官僚・古賀茂明氏が語る新基盤「フォーラム4」~三重県松阪市長・山中光茂氏と対談、安倍政権の外交安全保障政策を糾弾 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/240840 … @iwakamiyasumi
武力を通じて平和が作れる、という理想論はあり得ない。
https://twitter.com/55kurosuke/status/585207786075770880