国民無視の「究極のモラルハザード」が引き起こした原発事故と、原子力ムラ温存の実態 ~古賀茂明氏が岩上安身のファーストインタビューで、公務員改革を潰した官僚機構の腐敗を暴露 2011.7.26

記事公開日:2011.7.26取材地: テキスト動画独自
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(佐々木隼也)

 元経産省官僚であり、官僚組織とそれにおもねる政府の痛烈な批判者として知られる古賀茂明氏。官僚が国民の利益よりも、自身の利権強化や、自分たちの利益を優先してきた実態を赤裸裸に暴露し続けている。3.11以降は、自身が目撃してきた経産省官僚たちの原発推進の工作や、「原子力ムラ」の手口やその実態も明らかにしている。一貫したその気骨ののルーツは、2008年にさかのぼる。

 当時、古賀氏は渡辺喜美行革担当大臣の下で、天下り規制強化など「公務員制度改革」に取り組み、官僚の腐敗構造にメスを入れようとした。しかし、民主党への政権交代を経るなかで、次第に官僚と、官僚に取り込まれた政治家の圧力により、2009年12月、閑職に飛ばされてしまう。

 この時から古賀氏は、官僚の利権構造やその腐敗の実態を知る者として、マスコミを通じて実名で暴露。官僚批判の本を出版しベストセラーとなった。そして、2011年3月11日の福島第一原発事故後は、原子力行政の組織管理の問題を追及。「想定できていた」津波や地震、全電源喪失などのリスクを無視してきた原発官僚たちの危機管理意識の低さや、事故後、政府や財界と一体となって東電を守り、責任の所在を曖昧にしようろする呆れた原子力ムラの実態を暴露した。

 岩上安身はその渦中にあった2011年7月26日に、古賀氏へファーストインタビューを行った。

 「自民党は基本的に官僚に乗っかっているので、官僚を敵に回したくなかった。民主党政権も、結局は官僚に対し引き下がってしまった」

 公務員改革はなぜ頓挫したのか。原発事故でなぜ誰も責任を負わないのか。なぜ原発反対の政治家が次々転向していくのか。

 「基本的に経産省のトップは原発推進。若い層はそうではない。省内に世代間の断絶。若い人は原発利権にお世話になろうと思っていないが、上層部は将来原発利権にお世話になろうと思っている」

 内側から目撃してきた古賀氏は、その衝撃の一部始終を淡々と語っていった。

 インタビュー後半では、「日本が生き残るためにはTPP参加が急務」と主張する古賀氏に、TPP反対の立場である岩上安身が応戦。互いにTPPのメリットとデメリットを検証し合う激論となった。多国籍企業や米国政府など上位「1%」による富の収奪を擁護する立場でない「TPP推進」論とは、どういうものなのか。

 以下、実況ツイートをリライトしてお伝えしたい。

記事目次

  • 上層部からの「売名行為」との批判に 「匿名でデマを流す人たちに言われたくない」
  • 政局によって一度廃案となった公務員制度改革法案
  • 民主党への政権交代で期待するも…
  • なぜ民主党の官僚改革は失敗したのか
  • 改革は可能なのか? 「内部に同じ思いの人はいる」
  • 普通のルールであれば少なくとも4.6兆円の国民負担を減らせる
  • 議論によって責任の所在を曖昧にさせる官僚の手口
  • 再生可能エネルギーという選択肢のワナ
  • 「自民党はかなり原子力ムラに毒されている」古賀氏が目撃した官僚のロビー活動と政治家の転向
  • 「小沢さんという存在が大きいために、国民が政治を理解するのが難しくなっている」
  • 小沢グループの政策は「バラマキ」か
  • 日本の復活のためのTPP?「農家を永遠に保護することは今の日本の財政では不可能」
  • 「生き残るために何を捨てなければいけないかの踏み絵」? TPPをめぐり激論!
  • 「円と株の同時暴落」遠くない未来のシナリオに今からどう対処すべきか

■ハイライト

  • 日時 2011年7月26日(火)

上層部からの「売名行為」との批判に 「匿名でデマを流す人たちに言われたくない」

岩上安身「経産省の大臣官房付、現役の経産官僚である古賀茂明さんです。現役の官僚でありながら、実名を晒して告発しているのはなぜでしょうか?」

古賀茂明氏「自然な成り行きです。自分としては特別なことをやっているつもりはなかった。80年〜90年代のバブル崩壊で、日本を変えなければいけない、という空気があったが、今は後ろ向きになった。改革に前向きではなくなった。むしろ自分が、その動きに取り残されているんです。

 今は閑職にあり、やる仕事を与えられていない。そのなかで自分なりに何をしようかなと考えたときに、やはり官僚として政策を立案したい。そのための勉強をしなければならない。その勉強の中身を一人でも多くの人に知っていただき、材料を提供するのが一つの仕事だな、と感じているのです」

岩上「古賀さんのこうした行動は、経産省内部ではどう思われているのでしょう?」

古賀氏「わかりません。少数ですが、若い人は『頑張って下さい』と言ってくれる。しかし上層部である事務次官や官房長などは、『なんでこんなことをするのか』と。でも私にはやる仕事がないわけですから。

 官房長からは『売名行為はやめろ』と言われました。『これを許したらみんなが同じことをやってしまうよ』と。そういう捉えられ方をされている。『そんなに有名になりたい人がいるの?』と聞いたら、『そりゃいるよ』と。

 しかしそういう彼らは、匿名で無責任な言動はたくさんやっています。世論誘導のためにデマを含めて情報をリークしてみたり。このあいだ、菅直人総理が海水注入をやめさせた、という話がありましたね(※)。これは経産省の官僚が自民党に流したものです。

 これは結果的には間違いでしたが、実は官僚が間違った情報を流して菅総理を追いつめようとしたんです。私は菅総理の味方ではないが、官僚からみれば、菅総理の脱原発は潰そうという意識がある。そういうことをやっているような人たちに、売名行為と言われるのは、ちょっと違うのではないか、と思います」

(※)読売新聞は2011年5月21日に、「首相意向で海水注入中断」という見出しで記事を掲載した。しかし2014年8月末までに各紙が相次いで「吉田調書」の詳細を報道すると、実は吉田氏は東京電力の武黒一郎フェローから海水注入中止の指示を受けたことや、指示を受けた後も吉田氏は海水注入を継続していたことが判明。読売新聞の記事は「誤報」であることがわかった。

 この読売新聞の「誤報」は、同年5月20日の安倍晋三氏のメルマガで「やっと始まったばかりの海水注入を止めたのは、なんと菅総理その人だったのです」とする発信したことがきっかけとなっている。安倍氏はさらに「なんと海水注入を菅総理の英断とのウソを側近は新聞・テレビにばらまいたのです」「これが真実です」「菅総理は間違った判断と嘘について国民に謝罪し直ちに辞任すべきです」などと続けた。

 2015年4月1日現在、安倍総理はこのメルマガの「誤った記述」について、訂正、謝罪を行っていない。

政局によって一度廃案となった公務員制度改革法案

岩上「なぜ閑職と言われる大臣官房付になってしまったのでしょうか? 海江田大臣からも辞めて欲しい、と言われている。なぜでしょう?」

古賀氏「一昨年(2009年)の12月17日に大臣官房付に配属となりました。その前は内閣の国家公務員制度改革推進本部事務局というところににいました。そこの審議官として公務員改革をやっていた。福田総理のころ。渡辺喜美大臣が公務員改革の全体像とプログラムを書いた基本法を作り、これを実施するという段で、これは普通の官僚にやらせてたんじゃできないぞとなりました。民間を入れたが、公務員を外すわけにもいかず…、そこで改革派の官僚を入れたのです。

 3年前(2008年)の7月に呼ばれました。ところがその後、渡辺大臣自身が福田総理に更迭されてしまった。渡辺大臣は基本法を作った時に、相当無理して作りました。私の聞いた話では、福田総理はこの改革案を嫌がったらしいのです。

 改革案では、幹部の人事を内閣主導に変えようとしました。人事権をひっぺがして内閣にもってこようとした。それが官僚は嫌だった。自民党は基本的に官僚に乗っかっているので、官僚を敵に回したくなかった。その時に、渡辺大臣がラディカル(過激)に、ぐいぐい引っ張った。福田総理に『やるのかやらないのか』という踏み絵を迫った。国民の支持率が低迷していた福田総理は、仕方なく受け入れたのです。

 改革派は絶対的に少数ですが、国民世論に訴えるという方針でやってきた。麻生政権の時に法律を出した。すると国会で議論となった時に民主党が、改革案をずっと応援してくれていた民主党が、政局判断で『自民党に手柄を取らせたくない』と、これはだめだ、とけちょんけちょんに批判し始めました。民主党の方がずっと良いものができる、と。結果、廃案となってしまいました。

 その後民主党政権になった。よしこれで思い切ったか改革ができるぞ、と思いました。仙谷由人行政刷新担当大臣から、補佐官にならないかと言われ、ではこういう改革をやりましょう、と議論しました。で、それをやってくれという話になったのですが…」

民主党への政権交代で期待するも…

古賀氏「改革はその後、ひっくり返ってしまったのです。…

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