施行迫る!“稀代の悪法”特定秘密保護法に対してフリー記者ら43人が違憲訴訟提訴 その狙いとは?~岩上安身による山下幸夫弁護士インタビュー 2014.10.2

記事公開日:2014.10.3取材地: テキスト動画独自
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(IWJ:平山茂樹)

特集 共謀罪|特集 秘密保護法

 昨年12月10日、多くの国民の反対の声にも関わらず可決され、今年12月13日にも施行されるのではないかと言われている特定秘密保護法。その特定秘密保護法に対して、フリージャーナリストら43人が、同法が違憲であることの確認や施行の差し止めを求め、国を訴える裁判を起こした。

 この違憲訴訟の代理人を務めている山下幸夫弁護士は、10月2日、岩上安身のインタビューに応じ、「裁判所にきちっと判断させることが必要だ」と、訴訟の目的を明かした。

■イントロ

  • 日時 2014年10月2日(土)
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

「適正評価制度」により、一握りの政治家・官僚だけが秘密を知れるようになる

 今回の訴訟で、原告団は5人に対して証人尋問の申請をしている。安倍総理の他、森雅子・前内閣府特命担当大臣、北村滋・内閣情報管理官、渡邉恒雄・情報保全諮問会議座長、谷垣禎一・元法相の5人だ。

 中でも山下氏は、北村滋・内閣情報管理官を特定秘密保護法の策定に関わったキーパーソンにあげる。特定秘密保護法が施行されれば、「特定秘密」にアクセスすることができるのは、「適正評価制度」をクリアした一部の官僚と政治家のみとなる。このような特定秘密保護法のアウトラインを描いたのが、北村管理官であると山下氏は説明した。

特定秘密保護法、いよいよ12月13日に施行か

※以下、@IWJ_ch1での実況ツイートをリライトして再掲します

岩上安身(以下、岩上)「本日は、特定秘密保護法違憲訴訟の代理人をお務めになっている山下幸夫弁護士にお話をうかがいます。特定秘密保護法といえば、昨年12月6日、市民の激しい批判にも関わらず、安倍政権が成立させました。そして今年の12月10日には、いよいよ施行なのではないかとも言われています」

山下幸夫弁護士(以下、敬称略)「この法律には、公布から1年以内に施行という附則がついています。官報に掲載されて公布されたのが、2013年12月13日です。そこで、12月10日に閣議決定されるのではないか、と報道で言われています」

岩上「7月17日に、運用基準の素案が公表されましたね」

山下「第3者機関が必要なのではないか、ということで、渡辺恒雄氏が会長を務める情報保全諮問会議が作られました。この会議をもとに、7月17日に運用基準の素案が公表されました」 7月24日から8月24日にかけて、パブリックコメントが募集されました。2万件ほどの数が集まりました。しかし、パブリックコメントを受けて行われるのは、法律の根本的な変更ではなく、運用基準の微修正です」。

岩上「つまり、法律を廃止するしかない、ということですね」

山下「12月10日の施行の際、各省庁の大臣が、正式に特定秘密を指定することになります。現在、その準備をしている段階だと思います」

松島みどり新法相は「勉強不足!」

岩上「私は、この安倍内閣を”破憲内閣”だと呼んでいます。各大臣に、非常に問題が多い。松島みどり法務大臣は、国連からの批判に対し、聞く耳を持っていない状態です。秘密保護法についても、『これから勉強する』などと言う始末。死刑冤罪は、日本に一つもない、ですとか」

山下「松島法相は、勉強不足というか、失言が多い方ですよね。適正評価制度でセレクションされた官僚が特定秘密を指定し、大臣はセレモニーとしてハンコを押すだけ、ということになるでしょう」

岩上「日本の中枢において、ニューロンが切断されるような事態になりますね。しかも、意思決定をするのは米国であると。特定秘密保護法の明らかなスタート点は、GSOMIAだと言われていますね」

山下「これは、軍事上の機密を日米間で共有し、秘密保護するための協定ですね。自衛隊法において、既に機密保持の罰則規定があります。米国にも、日本側よりも重い特別法が存在します」

特定秘密保護法は、米国と戦争をするための仕掛けづくり

岩上「先日、ドイツに行ってきました。ブランケンブルク門の隣に米国大使館があるのですが、盗聴をしているのではないかと言われるレーダードームがあるんです。ドイツは盗聴行為をやめろと言っているのですが、米国は知らぬ存ぜぬ、の状態です。 特定秘密保護法の施行により、国民に不利益なことが秘密にされてしまう可能性があると言われています。原発や核武装、環境汚染など健康に関わる重大な問題など、色々とあげられています」

山下「ブラックボックスになってしまい、市民がアクセスする予知がありません。秘密の期間は、原則30年、最大で60年です」

岩上「特定秘密保護法を反対する声の中には、公安国家化はよくないが、軍事国家化は構わない、という議論があります」

山下「この法案が、日本版NSC設置法案とセットで出された意味を考える必要があります。これは、米国とセットで戦争をするための体制づくりの一環でしょう」

岩上「公安国家化、治安国家化に対抗する。これは重要なことです。しかしそのうえで、米国のための戦争に日本が巻き込まれるおそれがある。特定秘密保護法は、そのことへの反対の声を封じるための法律であると思えてなりません。 米国も英国も、開戦は議会にかけることになっています。しかし、日本の国会を空洞化させ、すべてをNSCや閣議決定で決められるようにしようとしているのではないでしょうか。そのうちの一つが、集団的自衛権の行使容認ですね。 これは、かつての大日本帝国による戦争を分析するだけでは分からないですよね。大日本帝国は、一国でやっていたわけですから」

山下「集団的自衛権は、自衛権と言いつつも、他の国、特に米国のために戦争するためのものです。基本的に米国は、国連の枠組みに頼らず、自分たちで戦争をしたいから同盟国を巻き込んでいくわけですね」

岩上「ウクライナ情勢でも、オバマ大統領はロシアを極めて強く敵対視しています。ロシアは核保有国ですよ。核の熱戦、再びか、と言われます」

山下「靖国神社というのは、戦争での犠牲を美化、正当化するための仕掛けです。安倍総理が靖国に行くというのは、そういう背景があるわけですね」

岩上「米国とともに日本が行おうとしているのは、理念も大義も何もない戦争ですね」

「裁判所にきちっと問題を迫る、そして判断させる、ということが必要」

岩上「そこで立ち上がったのが、フリーランス表現者による秘密保護法の違憲訴訟ですね。憲法違反であることの確認、施行の差し止め、原告1人あたり10万円の国家賠償を求めたものである、と。 同じように、TPPの違憲訴訟のための準備会も発足しました。私も呼びかけ人に名前を連ねています。このタイミングに訴訟を起こしたのは、なぜなのでしょうか」

山下「施行前であれば、裁判所も止めやすいだろうと判断しました」

岩上「集団的自衛権行使容認について、個人レベルで違憲訴訟を起こす方がいらっしゃいますね。他方、国民安保法制懇に関しては、今のところ違憲訴訟を起こす予定はない、とのことでした」 山下「閣議決定のレベルでは、ということだと思います」

岩上「司法の判断が、政治に対する一定の歯止めになる、というお考えがあって、今回の違憲訴訟に踏み切ったということでしょうか」

山下「裁判所にきちっと問題を迫る、そして判断させる、ということが必要だと思います。日本でも、憲法裁判所を作るべきだと思います。欧州でもかなり定着しています。韓国でも作られています。憲法裁判所がなければ、法律がひとり歩きしてしまう恐れがありますので」

岩上「韓国では、たしか記者クラブに関しても、違憲だということで解散になっているんですよね」

安倍総理他、5人に証人尋問を申請

山下「フリーランスは一匹狼でやるケースが多いのに、それが43人も集まったということが画期的だと思います。これは大変意義があることだと思います。一番の中心になっているのは寺澤有さんですね」

岩上「IWJの原佑介記者が原告になっています!これは、私は彼から報告を受けていなかったのですが…」

山下「原告なので、陳述書を書いてもらいました。彼のほうから入りたい、ということでしたので」

岩上「そこで、証人尋問を申請した5人が興味深いですよね。安倍総理、森雅子・元内閣特命担当相、北村滋・内閣情報管理官、渡邉恒雄・情報保全諮問会議座長、谷垣禎一・元法相」

山下「今回、松島さんが法相になったので、新しく申請したいと思います」

岩上「秘密保護法は違憲であり無効だということですが」

山下「日本国では、憲法に反する法律は無効です。これが憲法上の原則です。施行というよりも、存在自体が無効だという趣旨です。平和主義、国民主権、基本的人権の尊重、この憲法の3原則への違反です。憲法13条の『個人の尊厳』、憲法19条の『思想の自由』、憲法23条『学問の自由』、憲法21条『表現の自由』、憲法31条『適正手続保障』、これらに違反しています」

岩上「権力の側にいる人、公務員や財界人も危ないと言っておかなければなりませんよね」

山下「特定秘密保護法は、すべての国民に対して、普遍的に当てはまるものです。もちろん、今後、政権交代することも考えられるわけですから。 今、ヘイトスピーチの問題がありますが、誰がヘイトスピーカーなのか、権力により恣意的に決められてしまうことになりかねません。手続きが重要です。手続きが決められていないと、なぜ処罰の対象になるのかが明らかにならないんですね」

フリーランスが「報道従事者」にあたらない可能性も…

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「施行迫る!“稀代の悪法”特定秘密保護法に対してフリー記者ら43人が違憲訴訟提訴 その狙いとは?~岩上安身による山下幸夫弁護士インタビュー」への2件のフィードバック

  1. @HatCapさん(ツイッターのご意見) より:

    手足を切り落とされ、目鼻口耳を潰される法案。→2014/10/02 施行迫る!“稀代の悪法”特定秘密保護法に対してフリー記者ら43人が違憲訴訟提訴 その狙いとは?~岩上安身による山下幸夫弁護士インタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/172491 … @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/HatCap/status/518309925890453504

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    岩上安身による山下幸夫弁護士インタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/172491 … @iwakamiyasumi 日本版NSCと集団的自衛権、そして秘密保護法。これらの先にあるのは物言えぬ社会と米国のための戦争です。10月7日まで動画全編公開中、多くの方に見てほしい。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/518518280743424000

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