盗聴法改正「立会人なし」「通信傍受の対象範囲拡大」で、国家による国民監視が強化 ~弁護士らが反対集会で警鐘 2014.4.24

記事公開日:2014.4.24取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

特集 共謀罪|特集 秘密保護法

 取り調べの「全面可視化」など、刑事司法改革を議論する法制審議会の特別部会が、議論の最終局面に入っている。しかしその中身については、期待される「全面可視化」は骨抜きにされ、捜査手法の拡大のみが進められるのでは、との懸念の声があがっている。特別部会で審議された基本構想には、「盗聴法(通信傍受法)の改正」が明言されているのだ。

 特別部会はこの議論に基づき試案をまとめ、近く最終的な法案がまとまる見通しである。2014年4月24日、この特別部会の基本構想や盗聴法の改正に反対する「盗聴法廃止ネットワーク」が集会を開き、その問題点を指摘した。

■ハイライト

  • 講演 「全面可視化を拒否し、盗聴法改悪を狙う法制審議会」 山下幸夫弁護士
  • 報告 「なぜメール盗聴は議論されないのか」 盗聴法に反対する市民連絡会/「共通番号法と秘密法との怪しい関係」 反住基ネット連絡会
  • 場所 文京区民センター(東京都文京区)

取り調べ全面可視化は骨抜きに

 講演で登壇した弁護士の山下幸夫氏は、通信傍受の対象拡大が法制審議会で審議されている一方、「中間報告で公表された基本構想では、冤罪を生んできた反省がなく、今までの取調べを肯定している結果になっている」と指摘した。極めて捜査側に有利な内容のまま採決なく通ってしまい、その後はこの基本構想ありきで議論されてきているのだという。

 最終取りまとめの事務当局 試案では、全取調べの録音・録画が義務付けられるA案と、捜査官に録音・録画についての裁量を認めるB案が提案されている。現段階での最終の取りまとめ案はA案とB案を折衷させ、刑事事件のうち約3%と言われる「裁判員裁判についてだけ」原則として録音・義務化することとしている。そのうえ非常に広い例外事由を認めており、取調べの可視化と言えるものではない。

盗聴法改正で立会人なしで傍受が可能に

 また基本構想では、盗聴法の改正が「具体的な検討を行なう決定事項」となっている。これまでは通信傍受の対象は、「銃器犯罪」、「薬物犯罪」、「集団密航」、「組織的殺人」の4類型に限られていた。しかし改正案では、「殺人」、「障害・傷害致死」、「逮捕監禁」、「誘拐・略取」、「人身売買」、「窃盗」、「強盗」、「詐欺・恐喝」、「放火」、「爆発物使用」、「犯罪収益等隠匿」など、計12項が新たに対象範囲に追加するよう検討されている。

 現行法下では、捜査当局が通信事業者の事務所に赴き、従業員を立会人としていた。しかし改正案では、事業者から暗号化して警察署に伝送させ、警察署でさらに暗号を復号化することで、「立会人なし」で傍受可能にすることを提案している。山下弁護士は、「もともとは警察や検察の手を縛り、冤罪事件からの反省させるものだったが、彼らの力を拡大するものになってしまっている」と懸念を示した。

メールは「通信ではない」!?すでにメールの全面傍受は可能な状況

 続いて「盗聴法に反対する市民の会」の角田富夫氏が登壇。これまで盗聴法の適用には厳しい条件が課されていたが、改正によって数万件の通信傍受が可能になってしまうことへ危機感を募らせた。しかも角田氏によれば、メールの盗聴に関する議論は特別部会では一回しか行われていないという。

 現在13台設置されているといわれる「メール傍受装置」は、サーバーを通過する全てのメールを一旦取り込み、その後で容疑者のメールだけを拾い出す仕組みだ。角田氏は、「現在でもメール傍受についてはチェック機関がなく非公開のため、メールの全面傍受ができていしまう深刻な問題が生じており、議論されていないのは制限がないフリーハンドの状況を生み出す」と警鐘を鳴らした。

 山下弁護士はこの問題について、当局は「サーバーに届いた直後から通信ではない」という解釈を使っており、さらに「コンピュータ監視法」によりリモートアクセスによる差し押さえの対象となっているので表には出てきていないことを指摘した。

マイナンバー法と秘密保護法がセットとなり、国会による監視が強化

(…会員ページにつづく)

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