昨年12月6日に成立した「特定秘密保護法」は違憲であるとして、約30名のフリーランス表現者らが、近く差し止め請求訴訟を起こす。3月15日、原告となったフリーのジャーナリストや記者などが東京の雑司ヶ谷地域文化創造館に集い、同法の廃案を求めて声をあげた。
(IWJ・ぎぎまき)
特集 秘密保護法
昨年12月6日に成立した「特定秘密保護法」は違憲であるとして、約30名のフリーランス表現者らが、近く差し止め請求訴訟を起こす。3月15日、原告となったフリーのジャーナリストや記者などが東京の雑司ヶ谷地域文化創造館に集い、同法の廃案を求めて声をあげた。
記事目次
■ハイライト
訴訟の呼びかけ人の一人、フリージャーナリストの寺澤有氏にとって、今回のような裁判は2度目となる。
「『盗聴法』が制定された10年以上前にも、同じように差し止めを求める訴えを起こした」と、寺澤氏は語る。「弁護士や記者クラブメディアからは『門前払いだろう』という意見が多かったが、訴訟は1年以上続いた。その間、盗聴法の立件は一件もなかった。実質、施行を1年以上延ばすことにつながった」
寺澤氏は前例の経験をもとに、「負けるとしても、明日につながる負け方になる」と話す。今回の訴訟を機に、特定秘密保護法の問題点が裁判の場で議論され、世間に周知されることを考えれば、決して無駄な戦いではないと訴えた。
「間違いなく、腐敗が革命的に進んでいくだろう」と述べるのは、同じくフリージャーナリストの三宅勝久氏。秘密保護法の名の下で、公安警察による報道の検問が始まる危機感をあらわにし、「歴史をこのまま繰り返すのか。何も学ばなくていいのか。どこかで食い止められないのか」と、原告として訴訟に参加するに至った思いを語る。
「特定秘密保護法は、2007年の日米軍事情報包括保護協定(GSOMIA/ジーソミア)に由来し、もともと秘密の対象は『防衛』や『外交』に限定されるべきだった。しかし、制定の過程で『スパイ』や『テロ活動』の防止が盛り込まれた。まさに『警備公安警察』のための規定だ」
集会の冒頭で、特定秘密保護法の問題点を解説した弁護人の堀敏明弁護士は、スパイやテロ活動を口実にして公安当局の権益が増大する事態を懸念する。「官僚の、官僚による、官僚のため」の同法によって、「『警察国家』が誕生し、情報を牛耳る社会になる」と、警鐘を鳴らした。
特定秘密保護法では、「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為」については、「処罰の対象にならないよう配慮されている」と言われている。しかし、堀弁護士によれば、これは単なる解釈規定であり、法的な拘束力はなく、ジャーナリストや記者が今後も自由に報道できるかどうかはわからないという。
そもそも、フリーランスの記者やジャーナリストは「出版又は報道」と認められるのか?
それを決定するのは、一義的には警察庁警備局であり、所轄警察署による現場の判断に委ねられる。取材中に逮捕される可能性も十分にあり得る。「今後、訴訟の中でこの点が争点となる」と、堀弁護士は指摘した。
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