「JAは、何回だまされるんですか?」 IWJ代表・岩上安身がJA関係者へ講演 ~「安倍政権の本質 ―グローバリズムの脅威」 とは 2014.7.17

記事公開日:2015.2.22取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・花山)

特集 TPP問題

 現職の西川公也農水相は過去、山田正彦元農水相に対して「今の農家は潰していい。これからの農業は家族ではなく、株式会社がやればいい」と発言したという。自民党を支持してきた農家がなぜ今、安倍政権によって「殺され」ようとしているのか——。

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 農協改革の政府案をのんだJA全中だが、これからも農家への「攻撃」は続く。一体それはなぜなのか? 講演では、今世界で起きている様々な事象を紐解き、その謎の答えを明らかにしています。ぜひ、会員となってご覧下さい!


 なぜ、JAは解体されようとしているのか──。岩上安身は、このように問いかけ、「衆院選でも参院選でもJAは安倍政権を応援したのに、その安倍政権に殺される。その理由は、安倍政権を分析してもわからない。なぜなら、JA解体の意思はワシントンD.C.、ウォール街にあるからだ」と語った。

 2014年7月17日、東京都千代田区のホテルニューオータニで行われた日本農業新聞先進JAネットワーク研究交流会に、IWJ代表・岩上安身が講演者として招かれ、「安倍政権の本質 ―グローバリズムの脅威」のテーマで講演した。

 岩上安身は、TPPの動向から、JA解体、安倍政権の本質へと論を進め、覇権国アメリカのグローバリズム(=帝国主義)について言及。さらに、そのアメリカが迎えている危機、その鍵を握るロシア、中国、ユーラシア大陸内の国家の動きなど、大きな変化を迎えている世界情勢についても、最新の取材結果をもとに語り尽くしていった。

 講演の最後に岩上安身は、「このような機会は最初で最後かもしれないので、厳しいことも言わせていただきたい」と前置きして、このように続けた。

 「外から見ていると、JAの皆さんは一体何回だまされるんだろう、と思います。2012年の衆院選、2013年の参院選。なぜ、JAは自分の首を絞める自民党を応援するのか、という声がたくさん上がっていました。もう、崖っぷちです。このあと、金融も根こそぎやられます。土地も外資が買えるようになる。人間も(農業分野などに)移民を入れると言っています。日本という国のかたちが、なくなってしまう可能性がある。本当にこれでいいんですか、と申し上げたい」

記事目次

■ハイライト

  • 日時 2014年7月17日(木) 13:50~
  • 場所 ホテルニューオータニ ザ・メイン アーケード階(地下1階)「麗の間」(東京都千代田区紀尾井町)

TPPがダメでも次の手が――アメリカは新自由主義の貫徹を目指す

 はじめに岩上安身は、自身がコメンテーターとしてレギュラー出演していたフジテレビの情報番組「とくダネ!」を降板した経緯について、「同番組に出演していた約12年間、辛口のコメントを続けていたが、何か制約を受けたことはなかった。ところが、TPPについて『これは危険だ』と発言したら、その日のうちに降板させられた。原発について厳しいことを言っても大丈夫だったが、TPPを批判すると、こういうことになる」と話した。

 そして、現在のTPP交渉をめぐる報道について、「TPPの交渉内容は秘密のはずだ。それなのに、なぜ、豚肉・牛肉などの関税交渉の攻防に限っては、数字が出てくるのか」と述べ、それが管理されたリーク報道であることを示唆した。その上で、「TPPは、とんでもなく広い領域の話。農業だけではない。関税だけの問題ではなく、非関税障壁は、医療にも、保険にも、労働の分野にも、知的財産の分野にもあり、あらゆる規制に関わる話だ。そういうことが、どんどん矮小化されていく」と続けた。

 こうした情報リークによって、「意外とがんばっている安倍政権」というイメージと共に、「TPP交渉は行き詰まりつつある」、「うまくいかないのは日本が悪いから」という日本悪役説が流布されていると岩上安身は語り、「TPPという枠組み自体が、もともと無理筋なのに、それを真に受ける必要があるのか。疑ってかからなければならない」とした。

 「TPPについて、既存のメディアは、かなりコントロールされている」と口調を強めた岩上安身は、民主党政権で農水相を務めた山田正彦氏を中心とした国会議員の勉強会「TPPを慎重に考える会」を毎回取材していたのは、IWJのほかには日本農業新聞だけだった、と振り返る。

 そして、「日本農業新聞は、TPPについて果敢に報じていた。IWJと日本農業新聞しか報じていない事実はたくさんある。そういう共通の危機感を持った中で、日本農業新聞の論説委員室長である緒方大造氏に、2回、インタビューをさせていただいた」と述べた。

 TPPが回避されればいいというだけではなく、見落としてはならないのは日米並行協議だ、と岩上安身は強調する。これは、二国間で規制緩和をどんどん進めていくもので、「(アメリカは)TPPという多国間の枠組みがダメなら、次の手を用意している。実際、TiSAというものが出てきているし、次から次へといろんなものを出してくるが、問題はその中身。目的は新自由主義思想の貫徹、つまり、アメリカの帝国主義ということだ。自由貿易絶対主義は、果たしてわれわれにとって望ましいものなのか」と疑問を呈した。

アメリカの要求に素直に従う安倍政権──だからJAも解体される

 なぜ、JAは解体されようとしているのか──。岩上安身は、このように問いかけ、「さんざん尽くしてきた自民党に、JAが『殺される』悲劇だ。私に講演依頼をされた日本農業新聞の人たちは『殺される』という言葉を使った。『衆院選でも参院選でも、JAは安倍政権を応援したのに、その安倍政権に殺される。一体どうなっているのか、わからない』とおっしゃった。

 しかし、安倍政権を分析しても仕方がないのです。なぜなら、安倍政権の中身はからっぽだから。本質的には(アメリカの下の)中間管理職。だから、分析しても意思はわからない。JA解体の意思は、ワシントンD.C.、ウォール街にあることを理解しないと、話は堂々巡りになる」と語った。

 2014年6月24日に閣議決定した安倍内閣の「新成長戦略」では、JA全中の権限の縮小、JA全農の株式会社化、農業法人への企業の出資規制緩和が取り上げられている。

 岩上安身は、「株式会社化はひとつのポイントだ。今、農協は組合員のものだ。しかし、企業になると、企業は株主のもの」と述べ、株式会社化されたJA全農は、海を越えて渡ってきた外国資本によって簡単に支配される、と警告した。

 このように、地球上のありとあらゆるものを民営化して支配する巨大な金融資本と、他国にそれを強制する軍事力をベースに、アメリカの帝国主義が進んでいるとし、「グローバリズムと言えば聞こえはいいが、これが実態」と看破した。その上で、政府の規制改革会議が「地域農協の独自経営を縛ってきた」と述べ、JA全中を悪玉化しているのは、小泉政権の郵政民営化と同じ構図だと指摘した。

 さらに、「安倍政権は非常に愛国的なイメージを打ち出しているが、それとは裏腹に、米国から突きつけられた要求を従順にこなす従米政権だ」と話し、アメリカに対して一定の距離を置きながら日本の国益を追求する政権は、ことごとく潰されてきたことを、このように説明した。

 「自民党の田中内閣、民主党の鳩山・小沢政権など、対米自立を求める政権は潰された歴史があった。日本という国の本質は、圧倒的な軍事力と金融資本による支配力を貫徹させようとするアメリカの従属国である。したがって、権力の意思は、日本政府の中をのぞき込んでもわからない。米国の中をのぞかないといけない」

アメリカの、アメリカによる、アメリカのためのグローバリズム

 では、「アメリカ帝国」はどこに向かっているのか。これについて岩上安身は、「アメリカは表面的には、自由と民主主義を広めようとしている。そして、本国と事実上の従属国との間では、相手の主権を認めたような体裁を整える。変な表現だが、自由と民主主義を広める帝国主義だ」とし、アメリカの対外経済政策の最大公約数となる「ワシントン・コンセンサス」に言及した。

 1989年に、国際経済研究所(IIE)のジョン・ウィリアムソンがまとめた「ワシントン・コンセンサス」には、世界中にアメリカの意思を押し付けていることが書かれているという。財政赤字の是正、財政支出の削減、税制改革、金利自由化、為替レート、貿易の自由化、直接投資受け入れ促進、国営企業の民営化、規制緩和、そして所有権法の確立。「アメリカの意思はここに集約されている」と岩上安身は言う。

 そして、今のような時代は、冷戦の終わりから始まったとし、「あれから25年、その間、日本は停滞していたが、世界はどうか。新興国は興隆し、新自由主義は広まり、アメリカは次々と戦略の手を打っていった。安全面はどうか。期待されたような平和の配当は行われず、アメリカの軍事費はとてつもなく膨らんでいる。そして、多極化して融和すると思われた世界だが、アメリカは一極支配を手放さない」と説明した。

 岩上安身は、アメリカの望むグローバリズムの正体について、「一般的にグローバリズムという言葉は、世界が均質化し、平和で安定し、繁栄していくイメージがある。非常にきれいに聞こえるが、そういうことではない」と警鐘を鳴らす。

 「圧倒的に優位な軍事力を保持するアメリカが他の大国の見解や理解には一定の配慮をする世界秩序」というクーパーの言葉を引き合いに、岩上安身は、「それを、今後も続けるということ。このグローバリズムは、制度や国家の壁をなぎ倒していくものだ。アメリカは自国は徹底的に保護したまま、圧倒的な武力で政治的な要求を突きつけ、他国をフラット化していく」と述べた。

「やるなら今だ!」──覇権国転落の危機に開き直るアメリカ

 しかし、アメリカの覇権が直面している危機がある、と岩上安身は力を込める。

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「「JAは、何回だまされるんですか?」 IWJ代表・岩上安身がJA関係者へ講演 ~「安倍政権の本質 ―グローバリズムの脅威」 とは」への6件のフィードバック

  1. 今関 和子 より:

    とても内容の濃い、しかもわかりやすい講演でした。安倍政権の政策を、世界規模の政治経済という視野の中で考えるのに、非常に役立つ講演だと思いました。比較的コンパクトにまとめられているので、これを、CD、DVDまたはブックレットなどにされたらいかがでしょうか。 できるだけ多くの人に 是非 知ってほしい内容ですので。

  2. @kase_jinさん(ツイッターのご意見より) より:

    世界情勢入門という感じで分かりやすい。

  3. @wakuwakuchizuruさん(ツイッターのご意見より) より:

    アメリカの軍事的脅し、その背後にある新自由主義の押し付けに対して、少なくとも農業分野では受け入れないと明言するロシア。

  4. うみぼたる より:

    立教大学の講演が半年前だったでしょうか。岩上さんの講演会は最近のまとめ!が凝縮されているので、時々このような講演会があると、とんでもなく大きな時代の流れの一部にもかかわらず、とんでもない規模の影響をもたらす事態の真ん中にいるような感覚になっていきます。311を引き受ける前に、もっともっと前から引き受けなくてはいけなかった事柄の多さに驚いています。
    TPPについては、岩上さんや内田聖子さんや山田正彦さんのお話ばかり私は聞いていますが、
    少し前に C E E S A > T P P というメモ書きをしてあったのですが、TPPの後に控えているものや日米並行協議にも注意が必要なのに、TPPでこれほど戸惑っている状態。 
    IWJに出演されている方々がフル回転で動いているのに、どうして当事者のJAがこんなにのんきにしていられるのかわかりません。

  5. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見より) より:

    メディアが伝えないTPPと集団的自衛権の危険性。多くの人に見てほしい、知ってほしい。

  6. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    日本農業新聞先進JAネットワーク研究交流会 IWJ代表・岩上安身講演「安倍政権の本質 ―グローバリズムの脅威」 (動画) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/154390 … @iwakamiyasumi
    ついに農協が安倍政権にひれ伏した。JA関係者は岩上さんの話を聞いていたのだろうか?
    https://twitter.com/55kurosuke/status/564738467049906177

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