【岩上安身のIWJ追跡検証レポート】セウォル号事故と韓国メディアの報道から考える ~滋賀県立大学講師・河かおる氏を交えて~岩上安身によるインタビュー 第428回 ゲスト 河かおる氏 2014.5.24

記事公開日:2014.6.13取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・平山茂樹)

 事故発生から2ヶ月が経とうとしている、韓国旅客船「セウォル号」沈没事故。6月6日時点で、死者290人、行方不明者14人という大惨事となった。

 事故発生当初から、日本のメディアは、乗客を見捨てて脱出した船長と、宗教家で船会社の実質的オーナーである人物に焦点をあてて報じてきた。しかし、韓国のメディア、特に独立系メディアの報道を丁寧に読み解くと、この事故の背景となった、韓国社会の行き過ぎた利益追求主義や、米韓FTAなどで現実化しつつある新自由主義の実態が浮き彫りになってくる。そしてそれは、TPPに参加した、明日の日本の姿に他ならないのではないか――。

 5月24日、朝鮮近現代史が専門で、事故直後から韓国の独立系メディアの報道をウォッチし続けている滋賀県立大学講師の河かおる氏を交え、セウォル号事故の経緯を改めて振り返るとともに、韓国メディアの報道を検証した。

■オープニング

■イントロ

  • 日時 2014年5月24日(土)16:00~
  • 場所 滋賀県立大学人間文化学部(滋賀県彦根市)

遺族からの批判が絶えない大手メディア

 今回の事故を通して、遺族からの批判が集中しているのが、韓国の公共放送であるKBSとMBCである。特にKBSに対しては、幹部が「沈没事故の死者は交通事故で死ぬ人に数を考えれば多くない」などと発言し、遺族が遺影を持って抗議に訪れる一幕もあった。

 KBSとMBCに批判が集中する理由に、事故直後の4月16日の段階で、「全員が救助された」という楽観報道を流したことがあげられると、河氏は説明する。

「既存メディアで一番叩かれているのがKBSとMBCです。4月16日の段階で全員が救助されたという誤報を流したことが、いまだに批判されています。こういう報道があると、潜水士らの初動の対応が遅れてしまいます」。

 KBSとMBCだけでなく、韓国の大手新聞で保守的な傾向の強い朝鮮日報、中央日報、東亜日報の3紙は、海洋警察の初動対応の問題点や朴槿恵政権の対応を批判するかわりに、船長と船会社の責任追及にだけ的を絞った報道を続けていたという。日本のメディアは、これら韓国の大手メディアの報道を、そのまま流していただけなのである。

韓国独立系メディアの活躍 閲覧数は4000万超え!?

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  1. 一撮 より:

    岩上さんのどのインタビューを視聴しても感じるのは、日本にはまだまだ素晴らしい人材が存在すると云うことがまずあります。この河氏も素晴らしいですね。
    韓国のこの事故をとおして見えてくる日本同様の国や企業の人命を軽んじるいい加減な対応、対して日本とは全く違う国民の政府や企業に対する強い反応の仕方などを知って、隣国のことであるのにその真の姿を知らせてない日本のメディアを悲しく思うと同時にIWJのこの報道にあらためて感謝します。
    この事件のキーワードの一つ『じっとしてろ』・・・は、新自由主義の世界を象徴してますね。

  2. @achira49さん(ツイッターのご意見より) より:

    韓国のメディア状況を伝える渾身の番組。
    2014/05/24 【岩上安身のIWJ追跡検証レポート】セウォル号事故と韓国メディアの報道から考える ~滋賀県立大学講師・河かおる氏を交えて (動画) http://ln.is/iwj.co.jp/wj/open/ar/mP4ps

  3. Dai Yazirushi より:

    韓国の独立メディアの存在感と、それを支持し、支援する人々の真剣さに脱帽するとともに、正直なところ羨ましさを感じました。独立メディアとは、差し当たっての権力機構からは「独立」しているメディアなのだ、という認識が日本にはまだ本当に希薄ですね。それは「独立していないと言えないことがたくさんある」という実感がまだなぜか希薄なせいなのでしょうね。
    よくもまあこんなにトロい市民を日本の教育は大量生産してきたものだと逆に(自虐的に?)感心してしまいます。
    韓国の市民の皆さんに心からエールを送りたい気持ちにさせられました。

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