2014年4月2日10時30分より、2014年度第1回原子力規制委員会が開催された。日本原子力発電東海第二発電所における核物質防護規定遵守義務違反は、「違反3」のレベルだと判断され、文書により注意するとともに、再発防止を求めることが確認された。
2014年4月2日10時30分より、2014年度第1回原子力規制委員会が開催された。日本原子力発電東海第二発電所における核物質防護規定遵守義務違反は、「違反3」のレベルだと判断され、文書により注意するとともに、再発防止を求めることが確認された。
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首都直下型地震および新型インフルエンザ等の発生時においても、原子力災害応急対策業務等を継続して実施するための計画を、原子力規制委員会として策定するもの。事務局より案が提示され、議論が進められた。
2013年12月に首都直下型地震対策措置法が施行され、2014年3月末に行政中枢機能の業務継続計画が閣議決定されたことを受け、規制委は、非常時に最優先に行うべき業務を”原子力災害対策業務”と位置づけて、そのために必要な事項を規定した。緊急事態発生時における職員の参集、委員会および職務の代行、庁舎のインフラ確保といった組織体制を規定している。
また、ERCは専用の非常用自家発電を設置しているが、庁舎そのものが使用できなくなった場合には、近傍のオフサイトセンターを、それも不可の場合には、敦賀原子力規制事務所を中心に対応することを想定している。
更田豊志委員は、「業務継続計画は非常に重要であり、各発電所にも災害に強い施設だということを、規制上の要求として求めているところだ」と前置きし、「災害時に情報ハブとなるERC、規制委が先に倒れたのでは話にならない」と指摘。「条件は厳しくハードルは高いが、注力して進めてほしい」とコメントした。
大島賢三委員は、緊急時マニュアルを一冊のハンドブックにまとめ、使い易くすること、専門家の意見を聞いてみることをアドバイスした。
特に異論はなく、案の方針で進めらることが承認された。
日本原子力発電株式会社の東海第二発電所にて、核物質防護規定上、監視カメラ等に無停電電源装置を2013年10月末までに設置しなければならなかった。ところが、規制委に報告することなく、2014年1月末まで設置されず、規定違反の状態が続いていた。
結果として影響はなかったが、防護上のリスクがあった。組織的不正行為とまでは言えないが、組織体制に起因するものだと事務局は判断。違反区分として上位から3番目である「違反3」として、日本原電に対し文書で注意するとともに、再発防止を求めることを提案した。
大島委員からは、「核セキュリティ文化が欠けている」と指摘があり、文書で注意するだけでなく、「しかるべきマネージメントの人に対して、規制庁のしかるべきレベルからきちんと伝える必要がある」とコメントした。
特に異論はなく、案の方針で進めらることが承認された。
JNES統合、新規職員採用開始により、1000人規模に定員数が増えた規制委の必要な人材像を明確化し、それに向けた人材育成のために基本方針を策定するもの。
人事担当の金子修一参事官は、「業務遂行のために、人材は最重要なリソース」であり、「中長期的、計画的に『人材育成に取り組むための基本方針を策定したい」と説明。「6月ごろには基本方針を策定したい」と述べた。
更田委員は、基本方針の策定を進めるにあたって、「政府、放射線防護対策部、現地保安検査官事務局といった、現場、実務に携わる人の意見も聞いてほしい」とコメント。中村佳代子委員は、「人材育成はすぐにでも始めたいが、基本方針はじっくり考えて作ったほうがいい」と話した。大島委員は、「内部の意見だけでなく、外の意見も聞いてほしい」とコメントした。
保安検査の重点方針について、案が事務局より提示され、議論が進められた。福島第一原子力発電所の”敷地境界における実行線量の制限達成”に向けた状況を確認。他の発電用原子炉は、新規制基準に照らして保安活動を確認することなどが重点とされた。
安全文化の醸成活動についても検査する方針としたことから、「どう検査するのか難しい。他の保安検査とは種類が異なる。工夫してほしい」と田中委員長がコメントし、山形浩史規制管理官は、「これまでの保安規定にも定められていた。優良事例を展開するようにしたい」と答えた。
大島委員は、「本部から規制庁幹部が出向き、直接、事業者とハイレベルに対して話をすることも検査方法として導入してはどうか」と経営層の意識を確認することを要求した。
特に異論はなく、事務局案の通り了承された。
保安検査の実施にあたり、現場レベルの課題を解決するため、実施できるところから解決していくことを検討している。2013年5月、7月にも報告しているが、今回は中長期的課題に関する検討状況を報告するもの。
更田委員は、「検査実務経験者の意見が反映され、うまくまとめられている。その意見は尊重すべきである」とコメント。「検査は事業者を性善説でみても、性悪説でみてもいけない、規制庁インタビュー対応マニュアルが作られてはしょうがない、検査する側の力量が問われる」との考えを示した。
3月24日から4月4日までウィーンで開催されている会議について、先週水曜日に日本の報告に対する議論が行われ、その結果についての概要を報告するもの。
日本からは、安全条約について報告するにあたり、決められている様式があり、それに従って行われたという。原子力利用状況や福島第一原発事故のフォローアップ、規制委員会、防災対策などを報告したことが確認された。
会合の結果、他国にも推奨できる「称賛事例(commendable)」として、独立性と専門性を持つ規制委員会の設置、新規制基準、政府参加の防災訓練、IAEAミッションの受け入れなどが整理された。また、他国では実施されていない「良好事例(good practice)」として、新規制基準審査後のみ再稼働を判断することが整理されたという。
3年後の次回の会合で報告する必要がある「今後の課題」としては、国のエネルギー政策等に際し、規制当局として安全情報を提供していくこと、福島第一原発の廃炉について、再稼働にかかる検査機能の改善などが挙げられた。
核セキュリティサミットについて、外務省の羽鳥課長と大島委員から報告があった。
同サミットは、2010年から2年ごとに行われ、今年で3回目、今回は議長国オランダの提案により、架空の核テロ対策について双方向に議論する「政策シミュレーション」が行われたことが特徴だという。
核セキュリティを強化していくことの重要性が改めて首脳レベルで確認され、高濃縮ウランや分離プルトニウム等の核物質の保持を最小化していくことが強調された。さらに、サミット期間中に日本と米国との間で、研究施設にある核物質を移転処分することの合意が発表されたことも強調された。
田中委員長は、「今後、核テロ対策をどうするかが重要になるから、外務省と協力し、対応を進めていきたい」との考えを示した。
■jaikoman氏によるツイート