適合性審査について委員長「絶対安全という意味ではない」~原子力規制委員会 田中俊一委員長 定例会見 2014.3.26

記事公開日:2014.3.26取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

 2014年3月26日(水)14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。規制委員会が実施している適合性審査について、田中委員長は、「絶対安全っていう意味で安全ということを言われるんでしたら、それは私どもは否定してます」との見解を示した。

 審査書案の意見募集とともに、開催が予定されている公聴会については、「立地自治体で、ある程度議論できる場を設ける想定で、従来の公聴会とは異なる。安易に言葉を使ったということで誤解を招いた」とコメントした。

■全編動画

「公聴会という言葉はもう使いたくない」

 27日午前に開催された委員会の議題1で、審査書案に対する意見募集の実施要領が決められたが、その際に開催が予定されている公聴会については、自治体から反発の声があったことなどから詳細には決められなかった。そのため、公聴会について記者から質問が続いた。

 繰り返される同じ質問に、田中委員長は少しいらだちながらも、「公聴会と説明会といっしょくたにしているけど、全く違うものですよね」と自らの考えを示した。

 新規制基準適合性審査について、判断して結論が出た後、科学的技術的な立場から、規制委員が何をどのように判断し、どのような結果を得たのか、それらを説明する”説明会”は元々行う考えである。ただし、説明できる委員の人数も限られていることから、ある程度地域でまとまって開催したいと考えているようだ。

 一方、審査書”案”の段階で、広く意見を聞くための意見募集を行うが、立地自治体そのものでは、別の意見もあるかもしれないため、別途、双方向に議論もできる場を設けてもいいのではないか、ということで”公聴会”と呼ぶものを提案しているという。

 ただし、従来の公聴会とは性質の異なるものであり、「安易に言葉を使ったということで誤解を招いた」と述べ、「公聴会という言葉はもう使いたくない」と田中委員長は発言した。今後、別の名称に変更されるものと思われる。

大間原発差し止め提訴、規制委「関係ない」

 4月初旬に函館市が大間原発の建設差し止め訴訟を提起する予定ということについて、コメントを求められた田中委員長は、「一言で言えば、関係ないですね」と答えた。森本次長は、「国が被告になるのであれば、もちろん規制庁・規制委員会も関係あるが、これから訴訟されるということですので、コメントは差し控えさせていただきたい」とコメントした。

適合性審査「絶対安全という意味ではない」

 規制委員会の審査は、基本的には新しい規制基準に適合しているかどうかということだけを判断している。田中委員長は、「絶対安全っていう意味で安全ということを言われるんでしたら、それは私どもは否定してます」と説明。  これに対して記者が、審査書案後の説明会は、「イコール完全に安全ですよという説明にはならないわけですよね?」と質問すると、「それは、受け取る方達の判断だと思いますけど」と回答した。

東電・福島第一の地下水バイパスについて

 東京電力福島第一原発の地下水バイパスの運用・海洋放出を、福島県漁連が容認する方針を示したことに対し、田中委員長は、「特にコメントする必要はないと思います」と発言。事業者である東京電力は、規制委が求めている排水基準の1/30以下で排水するとの方針であるため、「規制する立場から特に何か申し上げることは何もない」と応えた。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です