アスベスト問題は「この国の政策の貧困を物語る」公害問題に取り組む弁護士らが国を徹底批判、問題の早期解決を求めて院内集会を開催 2014.3.7

記事公開日:2014.3.7取材地: テキスト動画
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(IWJ・安斎さや香)

 現在、最高裁で係争中の泉南アスベスト国賠訴訟。この訴訟は、原告が第1陣・2陣に分かれ、それぞれが最高裁で争われている。第1陣は、1審で原告側が勝訴したものの、2審では逆転敗訴し、最高裁に移って2年3ヶ月が経過している。第2陣は、1審・2審ともに原告側が勝訴したが、1月7日に国が上告したため、これも最高裁に結論が持ち越されることになった。

 大阪・泉南地域でアスベスト(石綿)により健康被害を受けた原告らは、問題の早期解決と最高裁での勝利判決を目指し、3月7日、院内集会を開催した。集会に参加したのは、泉南アスベスト国賠訴訟の原告らをはじめ、首都圏建設アスベストの被害者や、公害被害者、福島原発事故による被災者ら約100名。また、健康被害の問題に取り組む国会議員も9名駆けつけた。

■ハイライト

  • 講演 豊田誠弁護士「最高裁を勝ち抜くために」

責任を認めない国の姿勢

 アスベストの問題に関連した訴訟で最近、動きがあったのは、3月6日に大阪高裁で行われた尼崎アスベスト訴訟の控訴審判決だ。この訴訟は、兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場から、アスベストが飛散したことによって、中皮腫で死亡した周辺住民2人の遺族が、クボタと国を相手に損害賠償を求めたもの。

 大阪高裁は、1審の神戸地裁の判決と同様に、住民1人のアスベスト被害を認定したが、国の賠償責任は認めなかった。

 水俣病やイタイイタイ病など、4大公害訴訟の始まりから、50年間にわたり公害問題に取り組んできた豊田誠弁護士は、冒頭、この尼崎アスベスト訴訟の判決に触れ、「こんなことが許されるのか」と問いかけた。

 「(アスベストによる健康被害が大きな社会問題となった)クボタショックがあったのは、2005年。今から9年前のことです。9年間、厚労省はいったい何をやってきたのか」

 豊田弁護士は怒りを露わにし、国が責任を認めず、いまだに抜本的な解決を見ないアスベストの問題について、「これは、この国の政策の貧困を物語るものではないか」と憤った。

 「被害者が一つひとつの訴訟を勝ち続けなければ、厚労省は重い腰を上げない。それを私たち国民が、許してしまっている。これには、忸怩たる思いがある」と述べ、「私たち自身にも責任があるのではないか」と主張した。

高度成長の影で見過ごされてきた人々の健康

 アスベストをはじめ、日本の公害問題の出発点は、高度経済成長期に遡る。「国の施策によって、高度成長に支えられながら、アスベストはどんどん使われてきた」と豊田弁護士は振り返り、産業の発展と環境対策の調和という考え方のもとで、人々の健康がないがしろにされてきた経緯を解説した。「経済発展のためには、人々の健康が犠牲になっても仕方がない」という思想が根付き、国が対策を講じてこなかった姿勢を、豊田弁護士は厳しく批判した。

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