大阪府泉南地域のアスベスト(石綿)による健康被害で、国に損害賠償などを求めた泉南アスベスト国賠訴訟の第2陣高裁判決を25日に控え、3日、衆議院議員会館で決起集会が行われた。集会には、与野党の超党派の国会議員が10名駆けつけたほか、泉南アスベスト被害の原告・弁護団や、原告団らを支援する団体・市民らが集い、泉南アスベスト関係のほかにも、首都圏建設アスベスト訴訟の原告や弁護士ら300名以上が参加した。
アスベスト被害の問題の早期解決を呼びかける集会だったが、参加者からは現在参議院で審議され、今国会での成立が危ぶまれている特定秘密保護法案に対する懸念の声も相次いだ。
秘密保護法をめぐる批判の声
開会挨拶をつとめた首都圏アスベスト訴訟統一本部副本部長の河野貴志氏は「世の中を見渡すと、とんでもない世の中になりかけている。あの法案(特定秘密保護法案)が通れば、このような集会も、みなさん『テロリスト?』ということになってしまう」と危機感をあらわにした。
日本共産党の宮本岳志衆議院議員は「国は早くから、アスベストが深刻な害があるとわかっていながら隠してきた。国が隠したいものを隠すということを許したら、本当にこういう問題が繰り返される結果になる。特定秘密を決めて、出さずに隠すということを広げるようなやり方には反対である」と語気を強めた。
同党の辰巳孝太郎参議院議員は、第1陣訴訟の高裁判決では「産業発展のためには命や健康が犠牲になっても仕方がないという判決が出た。これは公害闘争で公害対策基本法成立や、2004年のじん肺訴訟、水俣病の判決などの成果を全く顧みない不当な判決だった」とし、「この論理は、原発は経済のため、特定秘密保護法案は国のためであるということ。個人の幸福追求権や、生存権がすっぽり抜け落ちている」と批判した。
みんなの党の川田龍平参議院議員は「特定秘密保護法など、国会ではさまざまな問題の多い重要な法案が審議にかかっており、気の抜けない会期末となっている。国会議員になった意味がなくなってしまうというような状況にならないようにと思っている」と危機感を募らせつつ決意を表明。「命より健康より経済的な利益が優先されてきたという社会において、それを良しとするのではなく、何が大事なのか、何を大事にしていくのか、ということが問われている。命や健康という当たり前のことが守られる社会にしていかなければならない」と訴えた。
原告・弁護団が訴える「命あるうちの解決」