アベノミクスの雇用政策で女性の力は発揮されるのか? 日弁連主催シンポジウム 2014.3.1

記事公開日:2014.3.3取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

 安倍政権が掲げるアベノミクスの三本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)のうちのひとつ、「成長戦略」では、女性の力を最大限発揮できるようにすると謳われている。待機児童の解消や、職場復帰・再就職の支援などが掲げられているが、ほんとうにアベノミクスで女性の力は発揮されるのだろうか。

 アベノミクスの雇用政策について、女性の労働分野に詳しい脇田滋氏(龍谷大学法学部教授)と竹信三恵子氏(和光大学現代人間学部教授)の講演が3月1日(土)に弁護士会館で行われた。

■ハイライト

  • 基調報告 穂積匡史氏(弁護士、日弁連両性の平等に関する委員会委員)
  • 講演 脇田滋氏(龍谷大学法学部政治学科教授)、竹信三恵子氏(和光大学現代人間学部現代社会学科教授)

理性を失った雇用政策

 脇田氏は、日本的な雇用慣行について解説した。1985年の公的年金改革によって、専業主婦が国民年金制度に強制適用されることになり、パートタイム労働の導入が進んだ。さらに、99年には労働派遣法が改悪された。これらの政策を受けて、2000年代には不安定雇用が拡大していくこととなった。こうした現状について、社会保障を守るはずの国が「理性を失っている」と脇田氏は批判する。

 昨年4月11日に行われた規制改革会議雇用ワーキンググループで、東京大学教授の佐藤博樹氏は『正社員は一割でいい』と提言した。残り9割は、限定正社員や非正社員にしていくということである。この傾向が続くことによって、安定した雇用の正社員はますます減っていくと脇田氏は危惧を示した。また、脇田氏は、今後の課題として、均等待遇(同一価値労働は同一賃金とする原則を徹底すること)や、労働時間短縮などがあると述べた。

女性に対する「家事労働ハラスメント」

 竹信氏は、アベノミクスが「家事労働ハラスメント」を強めかねないと主張する。女性の給与分布のデータを見ると、2009年には年収300万円以下が6割を占めている。また、1985年に68.1%だった正規雇用は、2009年には46.7%にまで落ち込んだ。

 竹信氏は、家事が女性に押し付けられている現状を説明した。2000年の段階で、週50時間以上の割合は全労働者の28.1%であり、これは先進国の中でもかなり高い割合だという。2010年のデータでは、出産半年後に退職した女性は54%にのぼっている。その7割以上の理由が、家庭と仕事が両立できないということだ。また、管理職に占める女性割合は、ヨーロッパ諸国では3割を超えるのに対し、日本では係長クラスでさえも2割に満たないというのが現状だ。この理由も、家庭と仕事が両立できないためだ。

 竹信氏は、40万人の待機児童の問題を解消するために予算を取ることを主張し、「家事労働や介護労働を含めた構造改革が必要」と訴えた。

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