現在、「いじめ防止対策推進法案」が国会で審議中である。自公による与党案と、民主、生活、社民3党による野党案が提出されている。
「いじめ対策措置は社会的要請があったことは事実だ。しかしこの法案は、安倍政権による教育再生の名の下に進められている大掛かりな教育改革がもとになっている」と、登壇した穂積匡史弁護士が、法律案の要点と問題点を解説した。
案によれば、いじめ防止に対しては心と身体の調和の取れた人間を育成するとし、道徳を教科化する。いじめが起きた場合は、「社会総がかりでいじめに対峙する」とあり、児童に「懲戒を加える」など、いじめに対する厳罰化の姿勢が見られる。穂積弁護士は、いじめを受けた児童や保護者を「支援」し、いじめを行った児童や保護者を「指導」するといった、二項対立的対応を問題視。いじめが起きる条件に配慮していない対応策は、根本的な解決に繋がらないと指摘する。
「現場の声を真摯に受け止めてこの法案の中身を作っているのか」
集会に集まった教育関係者は、疑問を呈した。この法案が、児童や保護者の指導や制裁といった「品質管理の思想」にたっていることに強い懸念を示した。
これまで、30時間以上をかけて与野党実務者会議が行われてきた。近く、ほとんど修正が加えられなかった与党案を骨格とし、法案がまとめられる予定。7月の参院選前に成立する見通しである。