2014年1月15日10時30分から第38回原子力規制委員会が開催された。日本原子力研究開発機構(JAEA)のもんじゅについて保安検査を行ったところ、事業者が点検完了と報告した機器の内760件に不備があることが判明した。
2014年1月15日10時30分から第38回原子力規制委員会が開催された。日本原子力研究開発機構(JAEA)のもんじゅについて保安検査を行ったところ、事業者が点検完了と報告した機器の内760件に不備があることが判明した。
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ウラン燃料加工工場における六ふっ化ウランの化学毒対策について、2013年12月11日の第35回委員会で決まった方針をパブコメにかけた結果が報告された。パブコメは同年12月12日から25日まで募集され、計7通11件の意見があったという。
その内、曖昧な表現の箇所一個所を訂正した指標の最終案が示され、委員会で了承された。
この指標は規制庁の所掌範囲外だが、毒性が強く、規制基準ではなく「行政指導」として事業者に対応を求めていく方針。
規制委員会は、日本原子力研究開発機構(JAEA)のもんじゅについて、機器の点検時期超過が発生していたことから措置命令を出し、改善を求めていた。その結果、JAEAから規制庁に、全ての点検が完了したと報告があった。しかし、2013年12月に保安検査を行ったところ、760件が未完了であるとの不備が発覚した。
田中俊一委員長は「なぜ、こういう慌てた報告をしたのか分からない」と述べ、事実関係を調査、フォローするよう事務局に指示した。更田豊志委員は「(保安検査を)まず完了させること。それから検討だ」。中村佳代子委員も「現場とトップとの間のコミュニケーション不足がある」と述べた。
JAEAの組織改革については、JAEA理事長を規制委員会に呼び、その考えを聞いている。しかし、まだ改革の途中、先行きは長いという認識で、もんじゅの運転再開は遥か遠くにある模様。
規制委員会が技術的な助言をえられるよう原子炉安全専門審査会(以後、「原安審」)および核燃料安全専門審査会(以後、「燃安審」)の設置が検討されている。事務局から、米、仏、独といった海外の事例について説明があった後、議論された。
田中委員長から、発足にあたり人選をどうするか、意見を求められ、島崎邦彦委員は「両審議会で何をするか決めるのが先だ」、大島賢三委員も「何をするのか基準を文書化して確認するのが先だ」と意見した。
大島委員は、原子力分野の専門家で固めた米国ACRSを参考にと述べたが、更田委員は「原子力以外の意見も聞くという考えならACRSとは全く別だ」と意見した。それらの意見を受けて、田中委員長は「我々NRAは米国NRCとは異なる運営だ」と述べ、審議会からどういう形で助言を受けるのか、ひとまず発足させて運用しながら性格付けする考えもあると意見。
池田克彦原子力規制庁長官の提案により、審議会の要綱、審議項目、内容や人選方法について、事務方で預かり、案をまとめることになった。審議会についての議論は次回以降へ持ち越しとなった。
第三者の目で核物質防護に関して評価するIPPASについて、受け入れるかどうかが議論されている。IAEAによる事前ワークショップや関係省庁と調整した結果、IAEAに受け入れを正式表明することが決まった。
中村委員から、「文書の英訳可など事前準備が大きい。関係省庁も異存ないと言っているが、協力してくれるのか分からない。業務が多い中、さらに増えるが可能なのか。時期をずらしてはどうか」と提案があった。
池田長官は、「IRSSに比べると庁内体制は比較的小規模で良く、関係省庁もIPPASの開催について了解しているので、ある程度の協力をいただけると認識している。最終的にいつになるかは進捗状況を見ながら決める」と述べ、これが了承された。
軽微な事故故障などを発生の都度、委員会に報告していては時間がいくらあっても足りないことから、ある程度まとめての報告で良いのではないか、と提案されていた。それを受け、事務局にて都度報告を省略する基準をまとめ、委員会に報告、了承された。
各事業者が行った「防災訓練」の結果報告、評価報告を行った。更田委員は、「初めての試みであり、評価して事業者毎にランク付けする段階ではない」と、これに意見した。事務局からは、JANSI(一般社団法人原子力安全推進協会)が、これまでも事業者の訓練を非公開でピアレビューしていたことが報告され、規制委活動と重なる部分もあるのでよく議論したいと提案があった。
田中委員長は、「事業者の自主的な取り組みが大事だ」とし、「意見共有、まとめ役がJANSIであってほしい。どうすすめるか事務局で検討してほしい」と意見した。更田委員は、「原子力専門分野だけでは見落としもある、いろいろな観点でとらえることが大切なので、訓練報告会には時間があれば他の委員も出席して欲しい」と要望があった。
■jaikoman氏によるツイート
「軽微な事故故障などを発生の都度、委員会に報告していては時間がいくらあっても足りないことから・・・都度報告を省略する基準をまとめ、委員会に報告、了承された」の件にもびっくりです。
工場で生産に関与していた経験から、「軽微な事故故障」は、後への「大事故」の引き金であって、これを無視してしまうと、後に、倍返しどころでは済まないトンデモナイ報復を受けました。
この様な危険な「軽微な事故故障」が多発する現状からも、”もんじゅ”から早急に撤退すべきでしょう。