2013年12月25日10時30分から第37回原子力規制委員会が開催された。2014年度予算案が閣議決定されたことを受け、原子力規制・防災対策予算は、おおむね要求通りの前年度比でプラス7%、758億円が認められたことが報告された。
2013年12月25日10時30分から第37回原子力規制委員会が開催された。2014年度予算案が閣議決定されたことを受け、原子力規制・防災対策予算は、おおむね要求通りの前年度比でプラス7%、758億円が認められたことが報告された。
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核燃料施設等の新規制基準が12月18日に施行され、今後事業者から審査申請が出される。核燃料施設は、発電用施設に比べ多種類で施設の数が多いため、「施設が事故時に及ぼす影響の大きさを考慮」して、(イ)規制委員会委員による審査会合、(ロ)規制庁(事務方)による審査会合、(ハ)規制庁が審査、の三種とすることが提案された。
具体的には、(イ)使用済み燃料施設とMOX燃料加工施設は商業原発と同様に、更田委員、島崎委員が出席する審査会合で行う。(ロ)ウラン加工施設や試験研究炉は、規制庁だけで審査会合を行う。(ハ)それ以外は規制庁が実施する。
更田委員は、六ヶ所再処理施設が最優先で委員が行うという考えを述べ、それ以外の事務方で行う(ロ)(ハ)については途中の段階で適宜状況を委員会へ報告することを求めた。
東京農工大学で放射性物質が漏洩した事象について、事務方から委員会へ報告された。事務方は「安全上重要でない事象」と判断。田中委員長は、「安全上重要でないことは、いちいち報告しなくても良い。重要な案件を議論する時間がなくなる」と提案し、個々の事象は別途まとめて報告、水曜の定例委員会の議題にしないこととし、他委員もおおむね了承した。
中村委員は、「当事者自らが地元、関係者に説明する必要性」について意見した。その上で、更田委員から、東京農工大学の事象は、施設の改修に伴い、たまたま発見された。そうでなかった場合はどうするつもりだったのか、と疑問が発せられた。同時に農工大に考えをヒアリングするよう指示が出された。
地域の原子力防災計画・避難計画の充実化を支援する方針が決定されており、その取組みの進捗状況について報告があった。
避難計画の具体化が進んでいる原発立地地域は6地域のみで、その内、北海道だけは実際の避難訓練を行ったが、他地域ではまだ行っていない。病院や老人福祉施設などでは、受け入れ先を要する施設がまだできておらず、残り項目はまだまだあり、政府が主として行うが、規制庁は技術的にサポートする。
住民の帰還に向けた安全・安心対策について、規制委員会で取りまとめた基本的な考え方を元に閣議決定がなされ、各省庁の取り組みに関する予算の一覧などが報告された。
中村委員は、「これはまだ対策だけだ」とし、「縦割りではなく、各省庁が一体となって行わなければいけない」と意見した。大島委員も、「いろいろな省庁が絡んでいる。現場でどういうことになるんだろう」と心配の声をもらした。
池田規制庁長官は、「各省庁の施策をヒアリングし、支援チーム、復興庁が縦割りにならないように取り組んで行くことになっている」と回答した。
2013年9月に行われた、7回目の航空機モニタリング結果が報告された。これまでは1.8km間隔で飛行し、測定していた。今回は線量に応じ、飛行間隔を0.6km~1.8kmと細かくして測定調査した。
更田委員から、「空間分解能をUPしたのはどういう意味があったのか。結果がたいして変わらないのであれば、貴重な予算の使い方を考るべき」と費用対効果に対して質問があがった。これに対し規制庁の室石氏は、生活支援チームで解除準備区域の案を作る際に利用するので、分解能の高い線量マップは重要だと回答した。
中村委員からは、住民に対する情報として、将来的に場所をポイントアウトしたら自分がいる場所の空間線量がわかるぐらいのマッピング情報になるような対策を現在進めていると発言があった。
航空機モニタリングは今年度内にさらに2回行い、80km圏以遠も測定する計画だという。
閣議決定された2014年度予算案について、規制庁に関する項目が報告された。田中委員長は、「おおむね要求通り認められた」とし、「厳しい財政の中なので、我々の責任も大きい」と述べた。
2014年度予算は前年度と比較し、一般会計でプラス18%、エネルギー対策特別会計がプラス9%だった一方、東日本大震災復興特別会計はマイナス19%で、合計ではプラス7%の756億円となっている。
本日の委員会が本年最後の会合ということで、田中委員長から挨拶があった。