2013年11月10日(日)9時45分より、福岡市の舞鶴公園で「さよなら原発!11.10九州沖縄集会 ─ 未来へ渡そう核なき大地」が行われ、主催者発表で1万人を超える人々が九州・沖縄各県から参加した。
会場となった舞鶴公園は、福岡市の中心部にある公園で、外様大名の福岡藩黒田氏の居城であった場所である。
九州では、2011年12月26日の玄海原発4号機の停止以来、約2年近く原発は全く稼働していない。
(文・写真:IWJボランティアスタッフ こうのみなと/動画撮影:IWJボランティアスタッフ 谷合幸雄)
2013年11月10日(日)9時45分より、福岡市の舞鶴公園で「さよなら原発!11.10九州沖縄集会 ─ 未来へ渡そう核なき大地」が行われ、主催者発表で1万人を超える人々が九州・沖縄各県から参加した。
会場となった舞鶴公園は、福岡市の中心部にある公園で、外様大名の福岡藩黒田氏の居城であった場所である。
九州では、2011年12月26日の玄海原発4号機の停止以来、約2年近く原発は全く稼働していない。
記事目次
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しかし現在、九州電力は、玄海原発3、4号機(佐賀県)と川内原発1、2号機(鹿児島県)の再稼働申請を原子力規制委員会に提出している。2ヶ所の原発とも、過酷事故を引き起こした福島第一原発(沸騰水型)とは異なる、加圧水型の原発であり、また両県の知事が再稼働に前向きな姿勢を見せていることから、全国の中でもはじめに再稼働が強行されるのではないかと噂されている。
集会は、6組ものライブ演奏の後、13時より本集会がスタートした。
以下、登壇者のスピーチを一部ではあるが抜粋して紹介したい。
福島原発事故の政府事故調査委員会のメンバーであった吉岡氏は、福島県を視察した時の様子を踏まえ、「原発事故によって避難した人々は、まるで強制収容所のような仮設住宅で今も暮らしており、一方で事故処理に何十兆円の損害がこれからも発生し続ける。今回の事故は、チェルノブイリとは違い、これまで安全とされてきた軽水炉でも過酷事故が起こることを証明した。今後は、原発再稼働を止めさせる為の運動だけでなく、政策論争でも戦っていきたい」と述べた。
玄海原発が立地する佐賀県玄海町の現状について、地元住民である石丸氏は、「再稼働の準備は着々と進められている。普段は閑散とした田舎である玄海町で、夕方には原発から作業員が大挙して帰宅し、周辺道路が渋滞する”玄海ラッシュ”と呼ばれる現象が発生している。」と述べた。
今年10月に新党首となったばかりの吉田議員は、原発の再稼働に反対する理由として以下の3点を簡潔に挙げた。
また、先日、脱原発を訴えている小泉純一郎元首相と会談したことにも触れ、「郵政民営化など、小泉元首相が犯した罪は計り知れない。しかし、脱原発政策については、あらゆる党派を超えて一緒に戦っていかなければならない。小泉氏は、世論を変えれば、安倍総理は脱原発を決断できるといった。私も全く同感である」と訴えた。
仁比聡平議員は、志位和夫委員長のメッセージを代読する形で、「安倍首相は、福島第一原発の汚染水が完全にブロックされているなどと嘘を尽き続けているどころか、原発輸出までしようとしている」と語った。
また、「原発の新安全基準は、活断層が地表に見えていなければ、その上に原子炉を建ててもよいとするものであり、決して許されるべきではない。」とし、「共産党は、九州電力のやらせメール問題を追求し、再稼働を阻止してきた。もう九州では2年近く原発は動いていないが、電力は十分に足りているではないか」と述べた。なお、集会の主催者側によると、すべての政党に集会の参加を打診したという。
日本人初の宇宙飛行士でTBSの記者だった秋山氏は退職後、福島県でしいたけ栽培の農業を営んでいた。しかし、原発事故後、農場は放射性物質で汚染され福島県を避難せざるをえなくなったが、土地がギリギリ30キロ圏外だった為、補償金は貰えていないという。現在は、京都に移住し大学の教授を務めている。
秋山氏は、「私は、いわば国に捨てられた一人。気持ちとしては、”在日日本人”と呼べる状態だ。今の政府が、私の気持ちを代弁しているとは到底思えない。九州の原発がもし、大事故をおこしたらここにいる人々は、皆、暗い将来しかなくなる。原発を止めるなら今しかないでしょ!」と力強く参加者に訴えた。
広瀬氏は、福島第一原発4号機の圧力容器を設計者で国会事故調査委員会のメンバーだった田中三彦氏の検証を紹介し、「福島第一原発は、津波で壊れたのではなく、地震で圧力容器につながる配管が破損しておこった可能性が高い」と指摘した。また、玄海原発と川内原発について、「停止してから2年近くが経っている為に、燃料棒はかなり冷やされ安全な状態になっている せっかくここまでしたのに、これでまた原子炉に火を入れ、危険な状態にすることがあってはならない」と訴えた。
福島県いわき市から福岡県北九州市へ避難してきた塚本氏は、「福島では、放射能から子どもを放射能から守ろうとすればするほど、すさまじい非難を受ける。」と話し、苦渋の決断として夫と別れ、子どもと共に避難した悲惨な体験を切実に語った。
本集会の後、参加者約1万人は、福岡市天神地区を3コースにわかれてデモ行進し、参加者それぞれのスタイルで原発再稼働反対を訴えた。
九州・沖縄7県の人口は、約1453万人である。人口の割合から見れば、集会に参加して原発再稼働反対の意思を示した人は、僅かかもしれないが、原発の安全性に危機感を持ち、子ども達に安心して過ごせる未来と、きれいな海と土地を残したいという想いが一つとなった力強さをひしひしと感じられた集会であった。