学校法人森友学園に国有地が売却される際、公文書改竄を強いられ、自死した近畿財務局元職員・赤木俊夫さんの妻・赤木雅子さんが提訴した「情報開示訴訟」の控訴審が2024年10月18日に大阪高裁で結審した。
被告財務省側は「捜査への支障」を理由に開示せず、さらに、文書の存否さえ回答していない。これに対して、雅子さんはあるはずの文書の開示を求めて大阪地裁に提訴した。この文書が開示されれば、本来の改竄の経緯や指示系統もわかるとされていたため、大きな争点となっていた。
一審の大阪地裁は、昨年9月、「文書が存在するかどうかが明らかになれば、捜査の内容や関心事項が推知され、将来の事件に支障が出るおそれがある」と、原告財務省側の主張を全面的に認めた判決を下した。
原告雅子さんは控訴し、今年2月に大阪高裁で控訴審が始まり、これと同時に、雅子さんは財務省の「不開示決定の取り消し」を求める審査を国に請求した。
これに対して、情報開示・個人情報保護審査会は、今年3月、「文書が存在するかどうかを明らかにした上で改めて開示するかどうかの決定をすべきだ」と答申した。しかし、財務省側はこの答申に従わず、雅子さんの審査請求を退ける裁決を出しました。
原告は「情報公開法が施行された2001年から2022年までの間に『審査会』の答申通りにならなかった裁決は0.1%ほど(1万5070件のうち24件)しかない」と雅子さん側は主張。さらに、このうち、22件は答申に反してあえて開示したもの、開示の範囲を広げたものなどで「完全に答申を無視したものはわずか2件しかない。しかも、存否さえ明らかにしないものは1件もない」と訴えていた。
10月18日の結審後の記者会見で原告弁護団は「審査会の答申を無視し、文書が存在するかどうかさえ明らかにしない国の対応が裁判によってもひっくり返されない唯一の事例となり汚点となる」と会見で怒りを露わにしていた。
高裁判決は2025年1月30日(木)午後2時~202号法廷で言い渡される。審査会の答申を無視する、歴史に汚点を残す判決になるか。どうか注目される。