2023年12月19日(火)午後3時、「森友学園」への国有地売却をめぐって公文書改竄を強いられ、自死した近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻・赤木雅子さんが改竄を主導したとして財務省・佐川元理財局長に損害賠償を求めた控訴審で、大阪高裁・黒野裁判長は一審判決を支持し、原告赤木雅子さんの控訴を棄却した。
棄却の主たる理由は、
①「国家賠償法上、公務員が他人に損害を与えた場合は国が賠償すべきで、佐川氏個人は損害賠償の責任を負わない」という大阪地裁判決(2022年11月)。つまり国家賠償法1条1項が適用された、最高歳判例にもとづくものであった。
しかしながら黒野裁判長は「一人の人間として、誠意を尽くした説明や謝罪があってしかるべきとも考えられるが、法的義務を課すことは困難だ」と述べた。つまり民事裁判ではそもそも無理な案件であるということ。
また国は、
②一審の途中で賠償責任を認める「認諾」という方法で損害賠償金賞を支払っていいることも棄却の理由の一つ とした。
この裁判閉廷後の記者会見で明かされた新たな事実として、2023年11月に赤木雅子さんは代理人弁護士を通じて、佐川元理財局長に対して手紙を出していた。
- 佐川宣寿様(赤木雅子氏による手紙)
もちろん、この手紙への返事は来ていない。判決を聞いて赤木雅子さんは、
「勝てない闘いを承知で闘っている。こうなるとは想像していたので、ショックはないかなと思っていましたが、裁判長から『棄却』という言葉を聞いて、見捨てられたと感じた」と語った。
代理人弁護士は、「最高裁判例を踏襲して、公務員個人の賠償責任を認めなかった。佐川氏は停職処分になっているが、刑事処分で不起訴となり経緯が明らかにならない、本来想定されている制度が機能不全に陥っているからこそ民事訴訟にすがらざるを得ないという現実を無視して、それを棄却した裁判所は無責任だ」
「一人の人間として、誠意を尽くした説明や謝罪があってしかるべきとも考えられる、としたことは重く受け止められるが、これがぎりぎりのところで法的義務はないとしたことは残念だ」と会見で語った。
赤木雅子さんは上告するとのこと。