2022年12月8日、午後1時45分より、東京都千代田区の衆議院第一議員会館にて、「再稼働阻止全国ネットワーク(以後、『全国ネットワーク』)」の主催により、「『原発政策の大転換を許すな!東京集中行動』院内ヒアリング集会」が開催された。
政府が中心となり、原発推進者を総動員して、原発政策の大転換に向けて突き進もうとしている今、「原発のない誰もが安心して暮らせる世の中」にし、「国民の命を守る」ために、全国ネットワークが行う12月全国統一行動の一環としての集会である。
集会では、まず、再稼働阻止全国ネットワークの木村雅英氏、元日本原子力研究所・研究員の木原壮林氏、そして、たんぽぽ舎副代表の山崎久隆氏らによる事前レクチャーがあり、その後、「大転換とその後の検討状況」、そして「老朽原発運転延長」の2つのテーマについて、内閣府、経産省、原子力規制委員会から担当官が出席し、ヒアリングが行われた。
その後、全国各地から寄せられた申入書が提出され、「今後の闘い方」について参加者と主催者の間で意見交換が行われた。
「原発政策の大転換」とは、具体的には、以下のような内容である。
・原則40年、最長60年としている運転期間の延長(運転期間を原子炉等規制法から削除する)
・2023年夏以降に7基の原発再稼働について、政府が前面に立って進める(具体的には、女川2号、
東海第二、柏崎刈羽6・7号、高浜1・2号、島根2号)
・新増設や建て替え(リプレース)
・次世代型原子炉の開発(改良型軽水炉、小型モジュール炉、高温ガス炉、高速炉、核融合炉)
・核燃料サイクルの整備の加速
木村氏は、「エネルギー基本計画が、去年(2021)の10月に、岸田政権のもとで閣議決定したのですが、それはかなりひどいんです。我々はそれに対して文句も言ったし、パブコメもいっぱい出したんですが、それでも、そこに書いてあることと、今、岸田政権がやろうとしていることに、大きなギャップがあるじゃないか、というのを責めようとしている」と、ヒアリングの大きな方向性を説明した。
- 第6次エネルギー基本計画が閣議決定されました(経産省HP・ニュースリリース)
木原氏は、「(福井県)若狭で、たとえば美浜3号を動かそうとして、動かす期日のすぐ直前でトラブルが起こって、再延期して、また動かそうとしたら、またトラブルが起こって、2回もトラブルを起こした。(中略)もう、やるごとにトラブルを起こしてるんです。(中略)でも、原子力規制委員会は『待った』をかけない」と規制委の対応を批判した。
また、老朽原発の問題について、「高浜1号機は、もうすでに48年になろうとしている。今動かしたところで、あと4年しかできないんですよ。それも、津波が来そうなところ、地震が来そうなところ。とんでもないことをやろうとしている。それを追求したいと思っている」と意気込みを述べた。
山崎氏は、「老朽化した原発を使い倒す、ということではなくて、本当に原発が必要ならば、もっと新しい設計の最新のものを建てるという方に議論をするのが筋であって、それをやらないで、今あるものを使いつぶすというのは、むしろ、かえって危険を高めるだけだと。
こういうことは、実は、原発推進の考え方の技術者の中でもそういう意見が増えてきていますので、これは、私は、十分つぶせる話だと思っています。これをつぶさないと、本当に、東海第二なりで動き出したら、福島第一の原発事故を再来させてしまう。
その責任は、これまでは事業者がかぶるということになっていましたが、今度もし起きればですね、東京電力の株主代表訴訟で、朝倉(佳秀)裁判長が言ったとおり、日本の終わりです。この国が滅びるんですよ」とヒアリングに臨む上での覚悟を述べた。
実際のヒアリングの模様については、ぜひ全編動画を御視聴ください。