2021年3月2日、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で、再稼働阻止全国ネットワーク主催の「危険すぎる老朽原発動かすな~若狭の不具合続出原発・老朽原発の再稼働と運転延長を問う~」と題する院内ヒアリング集会が催された。
福井県と京都府に挟まれた日本海沿岸の若狭湾周辺には、全部で14基の原子炉がある。その中で、関西電力保有の原子炉は11基で、その内、大飯原発3号機と4号機、高浜原発3号機と4号機の4基が稼働中。
一方、新規制基準では運転開始から40年を経過した原発は廃炉とされているが、規制委の基準に適合すれば、例外的に20年の運転延長が認められている。
現在、設置から40年を超えながら新規制基準に適合したとされている老朽原発は、高浜発電所1号機、2号機、美浜発電所3号機の3基である。新規制基準に適合した原発が再稼働するには、地元自治体の同意が必要だ。
関西電力による金品授受問題で関電の経営陣が刷新されたといわれているが、木原壯林・京都工芸繊維大学名誉教授は、関西電力の安全文化について、「(今年)2月10日に関西電力の原子力事業本部長が美浜町長を訪ねて、特命受注などを大いに活用して美浜町の経済活性化に努めるから再稼働に同意してくれ、と言ったことが新聞に出ている」、「何も改善されていない」、「原子力規制委員会は何も考慮しなくて良いのか」と問いただした。
- 美浜3号機再稼働めぐり「地元企業活用努める」 関電、町の要請に回答 /福井(毎日新聞、2021年2月11日)
これに対して規制庁担当者は「原子力規制委員会は原子力発電の技術的能力を見ている、企業のコンプライアンスに関したことは電気事業法、つまりは経済産業省が見ていく」と答えた。
特命受注とは、建設工事などを競争入札とは異なり、発注者が特定の業者に直接依頼するもので,官公庁では原則として行わない。
関西電力管内では、昨年来、高浜3号・4号炉の上記発生器伝熱管の損傷、大飯3号機の加圧器スプレイライン配管の亀裂など、重要な設備に相も変わらずトラブルが絶えない。