2021年1月27日、東京都港区の原子力規制委員会で、更田豊志(ふけたとよし)原子力規制委員長による定例の記者会見が行われた。
東京電力柏崎刈羽原子力発電所で2020年9月下旬、他人のIDカードを使って原発の中枢部である中央制御室に入った職員がいたことが明らかとなった。東京電力は核物質防護規定に違反する可能性があるとして、規制庁に報告をしていた。
- 「柏崎刈羽原発所員が他人IDで制御室に入る」(共同通信、2021年1月23日)
会見で更田委員長は「事案が起きて翌日、規制庁には報告があって、幹部にも伝わっていた」「私が知ったのは先週の火曜(19日)で、どうも報道に出るようだとの理由」だったと述べ「規制庁は四半期ごとの報告でよいだろうと思っていたようだ、すぐに聞かせてくれてもよかった」と述べた。また、現在「規制庁の担当課で事案の影響度、深刻さを評価しているところ」と述べた。
東電は柏崎刈羽7号機の再稼働をめざしている。規制委の審査は、昨年10月に終了し、新規制基準にもとづく安全対策工事も「今月12日に完了した」としたが、実際には一部が完成しておらず、幹部が陳謝する事態となっている。今後は再稼働に向けて、県と地元の柏崎市、刈羽村の同意が得られるかが焦点となっているが、一連の問題で地元から批判が出ている。