2022年5月3日の憲法記念日、午前11時より、東京都江東区の有明防災公園(東京臨海広域防災公園)にて、「改憲発議許さない! 守ろう平和といのちとくらし2022憲法大集会」が開催された。
1947年の日本国憲法施行から75周年となる今年の憲法大集会は、新型コロナウイルスの影響で、3年ぶりの開催となった。
メインステージでのプログラムに先立ち、会場に設置された4つのミニステージでは、午前11時より、それぞれ「自由に話そうトークイベント」、「#MeToo #WithYou 女たちよつながろう」、「こども憲法ひろば」、「Human Musicライブ」のイベントが行われた。
このうち、「自由に話そうトークイベント」では、憲法課題、貧困・労働問題、アジアとの共生、外国人労働、沖縄問題について、識者による現状報告と意見交換、質疑応答などが行われた。
改憲問題対策法律家6団体連絡会の事務局長・大江京子弁護士は、自民党が4月21日に岸田文雄総理に提出した提言で進めようとしている、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の増強に触れ、次のように語った。
「憲法9条や専守防衛政策、そして、武器輸出3原則など、これまで日本を守ってきたルールが、言葉のすり替えなどにより、ことごとく反故にされそうになっている」。
その上で大江弁護士は、「岸田総理は、軍事大国を目指し、憲法9条を改定することを明言して憚らない」と厳しく批判した。
また、大江弁護士は、緊急事態条項について質問を受け、緊急時の国会機能維持についての改憲派の主張を「へそで茶を沸かすようなことを言っている」と批判した。
大江弁護士は「コロナ禍で苦しんでいた時に、国会を開かなかったのは誰だ」と述べた上で、緊急時の国会議員の任期延長の議論について、「選挙をしないで自分たちの身分をいつまでも保障してくれってことだ」と指摘し、「戦前、選挙が延期され、国会が開かれず、その間に真珠湾攻撃を行い、戦争に突入した過去がある」と語った。
大江弁護士は、「緊急時こそ民意が反映されなければいけない」と訴え、参議院の緊急集会などをあげて「今、自民党や維新が言っている、緊急の時に国会議員の任期を延長して、選挙ができなくてもしばらく自分たちが国会議員でいられるようにしましょうと、そういう民意を踏みにじる、自分たちに都合のいい、そんな改憲を絶対許してはいけない」と批判した。
メインステージでは、5・3憲法集会実行委員会の藤本泰成氏が、大江氏と同様、自民党安全保障調査会の提言について、次のように懸念を訴えた。
「自民党の安全保障調査会の提言が、政府に提出されました。唖然とする内容です。戦前の軍国主義、軍事大国を招来させるということは明らかです。提言に頻出する『地方自治体』、『民間企業』などの言葉は、一般市民10万人、県民の4人に一人が犠牲となった沖縄戦の『軍官民共生共死』という言葉を想起させるものです。
私たちは、国の安全保障という名のもとに、私たち一人ひとりの命を粗末に扱う人々の言葉を信じてはなりません。そのような人々に、私たちの将来を任せてはなりません。(中略)
ウクライナの人々に、ミャンマーの人々に、そして、戦争の犠牲となったすべての人々に思いを馳せ、日本国憲法の意味を問い直していきたいと思います」。
また、立憲民主党の奥野総一郎衆議院議員は、衆議院の憲法審査会での議論について、次のように語った。
「(憲法審査会では自民党や日本維新の会などが)ウクライナの問題をダシにしながら、緊急事態が必要だ、人権の制約が必要だと、こんなひどいことを言っているわけです。
思想信条の自由、内心の自由、そうした人権は決して踏みにじることはできません。憲法の改正を超えている話です。そんな非常識な議論を平気でやっています。
また、大日本帝国憲法かとみまごうような、政令で何でもできてしまう、そういう改憲案を、今、訴えているんです。断じて認めるわけにはいきません。
議論をして、しっかり戦っていきたいと思います。いかに人権の制約が危険なことか、立憲主義に反することか、しっかりと訴えてまいります」。
メインステージでは、大江弁護士も、憲法審査会での緊急事態条項の議論について、次のように語った。
「(憲法審査会では)コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻、そして東北を中心に起きた地震などに乗じて、改憲派が緊急事態条項を、先ほど奥野さんもおっしゃってましたが、緊急事態を口実に、憲法を停止して、行政権力にすべての権限を内閣総理大臣に集中して、人権制限が容易にできる、そのような改憲を行う、そのような自由討議を行なっています。
連休明けには、憲法9条の議論に入りたいと、改憲派は目論んでいます。
危険なのは、長年憲法審査会のルールとされてきた、憲法審査会の運営は与野党合意のもとに行うという『中山方式』が、風前の灯にあるということです。改憲派は数にたのんで、立憲野党が理を尽くして反対しているにもかかわらず、強引に多数決で運営を進めている。このような暴力的な運営を断じて許してはなりません」。
その上で大江弁護士は、「今、国会議員の中では、数では改憲派が多いかもしれないけども、国民の多くは立憲野党にがんばってもらいたい、憲法を変えさせないんだという声が、実は多いということを、示さなければならない」と述べ、立憲野党の支持を訴えた。
詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。