2021年3月12日に開催された日米豪印(クアッド)首脳テレビ会議に関して、産経新聞、日本経済新聞が会議の直前に、クアッドが「レアアース(希土類)の安定確保で協力」と報じた。
ところが、会議後に発表された共同声明の資料には、「レアアース」のレの字も見当たらない。
そこで、IWJが外務省を直撃し、「日経、産経の報道はミスリードか?」と質問すると、「(発表に)書かれていることがすべて」だが、「(会議での)実際のやりとりについてはお答えを差し控えたい」との回答であった。
今回の日経、産経の報道は、「勇み足」と言わざるをえないが、その背景には、米国バイデン政権による「サプライチェーンの脱・中国依存」という対中敵視政策があり、そこに日本がまた巻き込まれようとする現状がある。
しかしそうなれば、最悪の場合、日本は中国という最大の輸出国と最大の輸入国を失うことになる。さらに、クアッドが海上封鎖し、中国への石油輸入ルートを遮断したら、一番困るのは日本である。日本が東アジアで最も、中東からの石油に依存しているからである。
▲日本経済新聞2021年3月12日号は1面で「日米豪印、レアアース連携」と報道。
産経は「ワーキンググループ設置」、日経は「技術・資金を融通、国際ルールづくりで連携」と報道!
2021年3月15日の日刊IWJガイドでもお伝えした、日米豪印(クアッド)首脳テレビ会議について、産経新聞、日本経済新聞などが、テレビ会議が開催された12日、会議の直前に「レアアース(希土類)の安定確保で協力する」と報じた。
産経、日経両紙とも内容は同じで、「2010年の尖閣沖中国漁船衝突事件で中国が日本へのレアアース輸出を停止し、経済に影響を受けた。レアアースは中国が世界の生産量の6割を占めており、経済安全保障上のリスクとなっている。中国に対抗するために4か国が安定確保に協力する」というものである。
産経は「レアアースなど重要部材の安定供給に向けて協議するワーキンググループを設置し(中略)中国依存のサプライチェーン(供給網)の見直しなどについて協議を行うとみられる」、日経は「生産技術や開発資金を互いに融通し、国際ルールづくりでも連携する」と報じている。
▲産経新聞2021年3月14日号も1面で日米豪印の協力を報道。
▲上記の産経1面で「レアアース」に触れた部分。
ところが共同声明の資料には「レアアース」のレの字も見当たらない!!
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