【特別寄稿】英エセックス大人権センター・フェロー藤田早苗氏のイギリス・ロックダウンレポート第3弾! ロックダウン緩和期の英国の実像!! 第2波への懸念!!~(その6)コロナが後押しする「独立」と2回目のロックダウン突入!! 編 2020.11.8

記事公開日:2020.11.9 テキスト
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(藤田早苗)

 ロックダウン中と、ロックダウン緩和が始まった時期の英国から、第1弾と第2弾のレポートを寄稿していただいた、エセックス大学人権センター・フェローの藤田早苗氏から、第3弾となる、ロックダウン緩和時期以降のレポートが届いた。

 長文の寄稿なので、6回に分けて、ロックダウン緩和時期の英国の状況を連日お伝えしている。今回は短期集中連載第3弾の6回目、最終回である。

 1回目は店舗等の再開と「英国版Go To Eat」政策等、2回目はコロナ対策としての肥満対策等、3回目は自転車利用やガーデニングによる癒し、4回目は欧州各国間の旅行再開後に、帰国後隔離の免除国が頻繁に変更された混乱、5回目は英国の「マスク」対応の変遷と、入試中止に代わる成績評価で貧困層が差別された問題が取り上げられた。

 6回目で最終回となる今回のテーマは、英国を構成す4るつの「カントリー」(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)でコロナ対策に差があること。そして、スコットランドの女性首相の対策への評価が高く、それが「スコットランド独立」への追い風となる可能性があること。

 さらには、「第2波」襲来で警戒レベルがみるみる上昇し、屋内で人と会うことが困難になったうえ、ついに「2度目のロックダウン」に突入した経緯が語られている。

▲イギリスの4つのカントリー。上から時計回りにスコットランド、イングランド、ウェールズ、北アイルランド。10月31日、ジョンソン英首相は「11月5日からイングランド全体で1か月のロックダウンに入る」と宣言した。(Wikipedia)

 以下は藤田氏の5月の第1弾と6月の第2弾レポートである。こちらもぜひご覧いただきたい。

(前文・IWJ編集部)

川のあちら側では漕げない!──英国4つの「カントリー」で微妙に異なるコロナ対策!!

 イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの「カントリー」から成り立つ「連合国」で、コロナ対策でも休校や店の開店、マスク着用などの規則をそれぞれが決めている。そして、ロックダウン緩和のプロセスや内容もそれぞれ4つが微妙に違う。毎日の全国ニュースでは「〇〇日からスコットランドでは飲食店が再開されます」とか「〇〇日からウェールズでは学校が再開されます」という感じだ。

 イングランドはウェールズよりも少し早く運動の目的での外出の地域と内容を緩和した。イングランドでは6月1日から野外での運動は制限がなくなり、カヤックなど川のスポーツも可能になった。

 しかし、その時ウェールズではまだ家の近くでの運動のみ許されていた。イングランドでは久しぶりに人々が海や川で楽しんでいる、という様子をニュースもさっそく報道した。そこで、イングランドとウェールズの境にある川にカヤックをしに行った人が、インタビューに応えて「久しぶりにうれしいよ。でも川のあちら側に行くとウェールズの境界だからイングランド側からはみ出ないようにカヤックを漕いでいるんだ」と言っていた。

コロナ対策高評価82%のスコットランド首相!

 それぞれのカントリーがコロナ対策をしてきたことは、その成果にもそれぞれ違いが出て、各指導者への支持率にも反映される。ニュージーランド、台湾、ドイツなど、世界的に女性の指導者がコロナ対策で成功しているのはよく知られている。これは、イギリスの中でも同じだ。

 スコットランド自治政府首相はニコラ・スタージョンという女性だ。ニュースで見る限り、彼女のほうがボリス・ジョンソン首相より慎重できめ細かい対策をしている感じがする。そして実際、世論調査では、「ボリス・ジョンソンはよくやっている」という人は30%ほどだが、ニコラ・スタージョンに関しては82%だという。

▲スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相。(Wikipedia)

コロナで支持率上げ、スコットランド「独立」住民投票を再び!?

 コロナ対策で支持率が下がる指導者と上がる指導者がいるが、彼女の支持率は確実に上がったようだ。すると、どういうことが起きるか?

(…会員ページにつづく)

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