【第467-473号】岩上安身のIWJ特報!パンデミック前夜!? 日本人の間で感染爆発!? 「不要な」水際対策で「ダイヤモンド・プリンセス」が犠牲に!医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏インタビュー第1弾(2020年2月16日) 2020.6.30

記事公開日:2020.7.1 テキスト独自
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(IWJ編集部)

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 日本における新型コロナウイルス対策について、当初からその問題点を指摘し続けてきた上昌広医師のインタビューをお届けする。インタビューを通じて、岩上安身は上氏から、その後の感染拡大と対応策の齟齬を予見するような、多くの意義ある提言や知見を引き出している。

 岩上安身による第1回目の上昌広氏インタビューは、まだ寒さの厳しい2020年2月16日に行われた。2月13日にはすでに新型コロナウイルスによって国内最初の死亡者が出ており、上氏は、この未知のウイルスが日本社会に蔓延することを想定した上で、「データを見ながら、ダメージを最小にすることを考えるべきだ」と語った。

▲医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏(2020年2月16日、IWJ撮影)

 また、新型コロナウイルスは国内に相当入り込んでいるとし、日本政府が進めている水際対策やクラスター対策には効果が期待できないとも述べている。

 だが、日本政府はこの時点ではまだ、4月に中国の習近平国家主席を国賓として迎え、7月には東京オリンピックを開催して、世界各国のアスリートや観客たちを「おもてなし」するつもりでいたようだ。今、2ヶ月経った4月末の時点でふり返ってみても、安倍政権の危機感の薄さには戦慄を覚えざるをえない。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の第1回目がようやく開かれたのは、このインタビューと同じ2月16日である。

 3月5日になって習近平国家主席の来日延期が発表され、3月9日から中国と韓国からの入国制限をようやく強化。3月24日に、とうとう東京オリンピック・パラリンピックの延期が発表された。発表の直後から感染者数は急激に増えだし、3月29日にはタレントの志村けん氏が新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなり、日本中に衝撃を与えた。

 4月7日に首都圏を含む7都府県に緊急事態宣言が発令(その後、対象地域が拡大)されると、日本社会は一気に自粛ムードに包まれた。期間は一か月後の5月6日までだが、状況によっては延長の可能性もあるという。

 4月27日現在、感染者数は1万1311人(うち死亡者351人)。せきや発熱があっても、保健所を通してPCR検査を受けるのは相変わらずハードルが高く、単身赴任中の男性が体調を崩して部屋で亡くなったあとに検査して、新型コロナウイルスへの感染がわかったケースもある。

※<新型コロナ>単身赴任男性、無念の孤独死 発熱6日後検査、死後コロナ判明(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/CK2020042602000150.html

 上氏は、「PCR検査を希望する全員が、保険診療あるいは国の負担で検査を受けられるようにするべきだ」と、この第1回目のインタビュー時にも語っていたが、検査に関する状況はその頃と今とあまり変わっていない。保健所の対応を待っていてはPCR検査になかなかたどりつけないため、自治体が地元の医師会と協力して、独自に検査を行う動きも各地で広がっている。

 このインタビューの中には、「あの時にフェイズが変わっていた」「あそこで早く手を打っておけば、今の状況にはなっていなかった」という会話が何度か出てくる。2月より一層シビアな状況になっている今、改めて上氏の言葉に耳を傾けていただきたい。今後、「手遅れ」にならないためにも、である。コロナの戦いは今も続いているし、これからも続く。終戦の見通しは未だ立たない。

記事目次

  • 2月13日、新型コロナウイルスで国内初の死者が! 翌日、国はようやく専門家会議の開催を決定! それまで対策本部に「プロはいなかった」という衝撃!!
  • 感染者が毎日増えていったダイヤモンド・プリンセス号! しかし、WHO発表の「日本の感染者数」に彼らはカウントされていなかった…
  • すでに流行が起きている今、感染者の特定や行動追跡は無意味! 患者が地域社会にいられなくなるような、見当違いの報道はやめよう!
  • アクティビティーが高くなった中国で、欧米や日本がビジネスを展開するグローバリズムの世界。「大航海時代の水際作戦」は時代錯誤だ!
  • 日本でクルーズ船に閉じ込められている自国民の「奪還」を決めたアメリカ、香港、カナダの本音は「もう、日本には任せておけない」!?
  • 「もたついた、隠している」と批判されながらも、わずか1ヵ月半で未知の感染症を分析、DNAデータを世界に公開した中国の底力!
  • 「武漢の海鮮市場でコウモリのウイルスが突然変異」という当初のイメージは、プロ同士が切磋琢磨する医学誌の報告でひっくり返った!
  • 医学のプロは「これは本当か」と常に疑う。権力者は友だちの医者の意見を鵜呑みにせず、しっかりしたエビデンスにもとづいて行動すべきだ
  • 日本で査読された論文が出ないのは、研究者が上の方を忖度して、政治的な行動抑制をしてしまうから? 「嫌なこと書いたら予算削られるとか」
  • 「陽性だったら2週間入院」となれば、みんな検査を受けなくなる! 強権を発動する時は社会生活への影響も想像すべき
  • 日本は恒常的に満員電車がある国。ウイルスがいったん国内に入ると、流行する可能性が非常に高い!
  • 官僚は縄張り意識は強いが現場を知らない素人。素人が一生懸命になると被害はより大きくなる!
  • 1月下旬に日本を旅行したタイ人が新型コロナウイルスに感染! ここで日本が動いていたらクルーズ船の惨劇は起こらなかった!
  • 2月13日、とうとう国内初の死亡者! その後、堰を切ったようにタクシー運転手、医師、救急隊員にまで広がる感染。もはや海外渡航歴など関係なし!
  • 責任を取らない人が、遠いところで物事を決めるからおかしくなる。国は思いつきの指示よりロジスティクス(物的後方支援)を!
  • コロナ騒ぎに便乗? 国民の不安心理につけこんで改憲と緊急事態条項新設を虎視眈々と狙う安倍政権!
  • パンデミックを前提に、感染の速度を遅らせて海外からワクチンを導入せよ! 課題は「ダメージをどう減らすか」
  • 新型コロナウイルスに感染しても、国の方針でなかなかPCR検査が受けられない! 早く保険適用を! 「やれることをやらないのは人災です」
  • 受験、入学、卒業、就職、歓送迎会! 各種スポーツ・シーズンにも突入し多方面への影響必至! 「データを見ながら柔軟な対応が必要」と上氏
  • とにかく検査を! PCR検査は保険適用されれば3000円程度。「データがないと人は危機意識を持たないんです」
  • オリンピックとコロナ禍の相克! 官邸の心配は国民の命より五輪選手の出場辞退とインバウンドの減少!?
  • ようやく発足した専門家会議は厚労省おなじみの顔ぶれが勢揃い? 「従来型の、お墨付きを与える会議になるのは明らか」
  • 陸軍731部隊の系譜を引く感染研! 軍隊的な自前主義でワクチン作りを目指す!? 上氏は「国立機関で作るなんてフィクション」と一刀両断!
  • 無意味な水際作戦で大量感染の悲劇を招いたダイヤモンド・プリンセス! 日本への国家賠償請求の可能性も!?
  • 潜伏期の人間が知らずに航空機で国境を越える! 明治時代に導入した検疫の概念では対応できない
  • 日本社会は大きく変わった。渡航医学(トラベル・メディスン)の視点で検疫のあり方を変えていくべき!
  • 戦争経験者が減っていき、その下の世代は「国家の負の側面」を肌感覚で持っていない。「日本人は幼稚になっています」
  • 2008年、感染研のシミュレーション。「首都圏の電車に新型インフルエンザ感染者が1人乗る。5日目に700人、10日目には12万人に感染拡大」
  • 検疫は現代的にバージョンアップし、高度専門職の世界的ネットワークで社会に情報提供。社会で議論して合意する仕組みに!
  • 国境閉鎖、貿易制限に効果なし!「グローバルな人・物・金の流れを制限してはならない」との WHO公式見解は日本への苦言!?
  • 始まりは12月の武漢ではない? 潜伏期は最長24日間? 情報が急速に変化するのが科学の世界!
  • 「もし、新型コロナウイルスを制御する研究をしなければ、世界人口の60%が感染するおそれがある」と伝染病学者が警告!
  • データが明らかになれば、みんなで知恵を出し合える。偉い奴が全体の仕組みを作ってもうまくいかない!

2月13日、新型コロナウイルスで国内初の死者が! 翌日、国はようやく専門家会議の開催を決定! それまで対策本部に「プロはいなかった」という衝撃!!

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