日刊IWJガイド・非会員版「東日本大震災『3.11』からまる10年! IWJ代表の岩上安身は自らの報酬100%カットを決断! 今期末まで無報酬で頑張り抜きます! IWJの今期不足額はすでに約1141万円! IWJが真実の報道を続けられるように、どうか皆さまのご支援をよろしくお願いいたします!」2021.03.11号~No.3101号


┏━━【目次】━━━━━━━━━━━━━
■はじめに~東日本大震災「3.11」からまる10年! IWJ代表の岩上安身は自らの報酬100%カットを決断! 今期末まで無報酬で頑張り抜きます! IWJの今期不足額はすでに約1141万円! IWJが真実の報道を続けられるように、どうか皆さまのご支援をよろしくお願いいたします!
■【中継番組表】
■<本日の再配信1>10年前、IWJは3.11直後に何を伝えたか!? 本日、午後6時半と午後9時に日本の反原発市民運動と原発事故にとって歴史的な連続再配信をフルオープンで行います! 本日午後6時半より「3.11直後に最も早く行われた脱原発のデモ!事故後わずか22時間、たんぽぽ舎らが経産省前で3.12反原発抗議行動」を再配信します!
■<本日の再配信2>午後9時より「岩上安身によるインタビュー 第100回 ゲスト 後藤政志氏~3.11の翌日、日本で最も早く『メルトダウンの可能性があるか』とジャーナリスト・岩上安身が質問し、原子力の専門家である、後藤政志氏が初めて顔出し実名入りでインタビューに応え、『その可能性がある』と答えた歴史的なインタビュー!」を再配信します! どうぞお見逃しなく!
■<献本御礼>岩上安身とIWJの活動も取り上げられています! 日高勝之著『「反原発」のメディア・言説史~3.11以後の変容』
■厚労省が無症状者からの感染率は高いと初めて認める! 戸別訪問などの新しいアプローチもないまま、別途80億の予算で1日1万件のモニタリング検査!
■<岩上安身のインタビュー報告>原発の運転差止めを命じた元裁判長が「私が原発を止めた理由」を語る! 3.11後初の原発運転差止め判決を下した元福井地裁裁判長・樋口英明氏
■<IWJからのお知らせ>「報道・ジャーナリズムの現場ってどんななの?」そんな学生さん大歓迎!IWJでは「学生インターン」募集中です!
■<お知らせ>2021年3月31日をもって「ニコニコチャンネル」内「岩上安身のIWJチャンネル」を終了いたします。これまでお世話になりました。ありがとうございました。
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■はじめに~東日本大震災「3.11」からまる10年! IWJ代表の岩上安身は自らの報酬100%カットを決断! 今期末まで無報酬で頑張り抜きます! IWJの今期不足額はすでに約1141万円! IWJが真実の報道を続けられるように、どうか皆さまのご支援をよろしくお願いいたします!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 本日は、3月11日。東日本大震災「3.11」から10年の月日が流れました。震災と津波と福島原発事故で直接・間接に命を落とされた多くの方々のご冥福を改めてお祈りします。

 あなたから成るしら露もこの霧も    照井翠

 掲句は、岩手県釜石市で東日本大震災により被災した俳人、照井翠さんの句集『泥天使』からの一句です。もう言葉を発しない存在となってしまった人々が、白露や霧となって戻って来るというのです。残された我々に届けられる白露や霧の言葉とは何でしょうか?「幸福になって欲しい」という願いなのではないでしょうか。

 東日本大震災「3.11」は、IWJにとっても、活動の原点と言ってよく、とりわけ、今も続く「福島原発事故」の本質に関わる一連の報道は、IWJの誇りであり存在価値でもあります。

 地震翌日の12日に日本で一番早く、反原発のデモが経産省前で行われました。原発事故以降、日本で一番早く行われた反原発デモを中継したのはIWJでした。顔出しと実名を名乗った元原発技術者の後藤政志さんに 最初にインタビューし、原子力資料情報室の会見を中継したのもIWJでした。

 この時、「メルトダウン」という言葉を用いて、その時に起きている事態を、どんなメディアよりも早く、正確に報じたのも、IWJが最初です。

 岩上安身は、2011年3月11日午後3時10分、地震の直後のツイートで次のように状況を伝えています。

 「ただいまの大地震で、家の中はめちゃくちゃに。神棚も落ち、本棚からも本が飛び出し、床に散乱。余震がひっきりなしに。家族、知人に電話してもつながらず。これから新幹線で山口県に向かう予定だが、果たして新幹線は動くのか?」

※岩上安身のツイッター(2011年3月11日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/46090584800243712?s=20

 当然、新幹線は急遽ストップで、岩上安身は山口行きを断念します。その2時間後には、余震で乗り物酔いのような気分になったと伝えています。

 「まだ余震がひっきりなしに続く。乗り物酔いのような気分。部屋の片付けに着手できず。東日本各地で」

※岩上安身のツイッター(2011年3月11日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/46114962032173056?s=20

 さらに、その30分後。

 「またも、かなり大きな余震。揺れる。酔う」

※岩上安身のツイッター(2011年3月11日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/46123579120693248?s=20

 3月11日夜の眠れない悪夢のような余震を思い出した方も多いのではないでしょうか。

 その時、IWJは今のような人手を抱えてはいませんでした。会社を設立したのは4ヶ月前の2010年12月1日。スタッフも数名。全員アルバイトで、男性は若手が2人のみ、あと数名は主婦のパートでした。そんな小所帯でスタートを切り、会社設立から4ヶ月後に3.11に出くわしたのです。女性スタッフは全員、避難しました。事務所は散乱したままでした。

 しかし、岩上安身と避難せずに残った若手男性スタッフ2人の行動は迅速でした。直ちに、福島原発事故の報道に集中していきます。早くも翌12日には、NPO原子力資料情報室の記者会見を中継しています。このとき岩上は、記者会見直前の東芝の元原発格納容器研究者の後藤政志さんに単独インタビューし「メルトダウンしている可能性がある」という日本で最も早く最も正確な洞察を引き出しています。

 3.11後にもっとも早く行われた反原発デモも12日に中継しています。

 岩上安身は非常事態の中、自ら激しく動き回りつつ、おびただしいツイートを発信し、足りない人手を補うべく、多くの人にヘルプとツイッター上で呼びかけを続けました。

 すると、次々と助っ人たちが現れ、24時間中継を東電や経産省などで行うことが可能となりました。

 「東京電力には、今夜は徹夜でスタッフが張り込み、何時に会見が開かれても、対応して中継します。朝には交代で、別のスタッフが。有償のスタッフもいるけれども、ボランティアで駆けつけてくれているヒマナイヌ川井さんも徹夜組。明日、UstTodayチームからも手伝いが。心意気に感謝!」

※岩上安身のツイッター(2011年3月17日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/48037231985823745

 「果てしない持久戦です。参戦願います。RT @yui__min Ust機材一式あります。3連休中のスポット参戦でよければお手伝いいたします。RT @iwakamiyasumi: 東京電力には、今夜は徹夜でスタッフが張り込み、何時に会見が開かれても、対応して中継します。」

※岩上安身のツイッター(2011年3月17日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/48055066556506112

 「今夜も保安院、東電には徹夜泊まり込み組が。明日は毛布の差し入れをせねば。見ず知らずの人が、次々機材な片手に助っ人として、参集してくる。我々も、次々、信頼して現場を任せる。不思議、こんなこと、これまでありえなかったはず。志願して集まってきてくれた全ての人に感謝!」

※岩上安身のツイッター(2011年3月20日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/49204880065306624?s=20

 岩上は、ソ連・東欧のスペシャリストでもあります。日本国内の原発取材も80年代から手掛けていました。チェルノブイリ後のソ連を取材した経験から、後に、「ホットスポット」と呼ばれるようになる高放射性物質の集積エリアが雨雲の動きで各地にできることを予言しているのです。

 「忘れてならないのは、チェルノブイリの事故の際も、原子炉から同心円上に、均質に、放射能汚染が広がったのではない、ということだ。風向き、あるいは雨雲の動きで偏った方向に放射能汚染が拡大することがある。チェルノブイリの原発立地はウクライナだったが、最大の被害はベラルーシだった」

※岩上安身のツイッター(2011年3月19日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/49042527705247745?s=20

 今後も、IWJは、経済的な困難にも潰れることなく、あの頃の原点に戻って真実を報道し続けてまいります。

 連日この日刊IWJガイドでもご支援をお願いしているように、現在IWJは会員数の減少と、ご寄付・カンパの減少により、設立以来最大の窮地に立たされています。

 昨年からのコロナ禍による不況で誰もが経済的に苦しい中、ここまでIWJにご支援をお寄せくださった皆さまには、岩上安身とスタッフ一同、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 IWJは今期、事業規模を縮小し、皆さまからのご寄付・カンパが、毎月、450万円あれば収支のバランスが取れるように、必要最低限の予算を組んでいます。

 しかしながら第11期折り返しの後半最初の月となる2月においては、ご寄付・カンパは221件286万3200円にとどまり、目標額450万円の64%の達成率にとどまっています。今期後半も、血の流れるような赤字たれ流し状況が続き、止血できていません。

 IWJから岩上安身への報酬は、前期、前々期は50%をカットしており、今期は70%までカットしています。さらに、一段とカットすることを、昨日のインタビュー中継の終わりに、岩上安身自身が発表。今期末まで、自らへの報酬をゼロ円にすることを明らかにしました。

 岩上安身に入る報酬は極端に減らしながらも、岩上安身個人の貯金から借り入れを続けてここまでIWJを支えてきましたが、それももはや限界です。

 3月は、岩上安身が会社にお金を貸すことはできません。今月3月から、その月の収支があうように、収入が下がっても支出を削り落とすことを決めました。やるしかありません。岩上安身の報酬の返上は、IWJが「生きのびる」ための決意の表れです。

 IWJは、岩上安身以下、スタッフ一同、IWJを必要としてくださる皆さまの期待に応えて生き延びられるように、死に物狂いで頑張りたいと思っています。

 そのためにもIWJを支えてくださる市民の皆様のご支援、ご協力が、どうしても必要です!ぜひ、ご支援、応援をよろしくお願いします!

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店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
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 皆さまのお支えがあってこそのIWJです。我々もコロナ禍の「サバイバル」に向けて精いっぱい頑張りますので、どうぞ、今後とも何とぞご支援のほど、重ねてよろしくお願い申し上げます。

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◆中継番組表◆

**2021.3.11 Thu.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ_YouTube Live】17:00~「3.11 福島原発事故満10年-本館前抗議行動~福島は終っていない、原発はもう終わりだ!」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 「経産省前テントひろば」主催の抗議行動を中継します。これまでIWJが報じてきた福島原発事故関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e5%8e%9f%e7%99%ba%e4%ba%8b%e6%95%85
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【タイムリー再配信 883・IWJ_YouTube Live】18:30~「3.11直後に最も早く行われた脱原発のデモ。事故後わずか22時間、たんぽぽ舎らが経産省前で反原発抗議行動」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2011年3月12日に収録した、経済産業省前での抗議行動を再配信します。これまでIWJが報じてきた脱原発関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/nonukes

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/8365
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【タイムリー再配信 884・IWJ_YouTube Live】21:00~「岩上安身によるインタビュー 第100回 ゲスト 後藤政志氏~3.11から事故直後、日本で最も早く『メルトダウンの可能性があるか』とジャーナリスト・岩上安身が質問し、原子力の専門家である、後藤政志氏が初めて顔出し実名入りでインタビューに応え、『その可能性がある』と答えた歴史的なインタビュー!」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2011年3月12日に収録した、岩上安身による後藤政志氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた後藤政志氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%be%8c%e8%97%a4%e6%94%bf%e5%bf%97

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/684

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◆中継番組表◆

**2021.3.12 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【タイムリー再配信 885・IWJ_YouTube Live】20:00~「『炉心融解し露出したらホットスポットもできるし東京も安全ではない』! 『原子力資料情報室』による緊急記者会見で後藤政志氏が警告!」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2011年3月13日に収録した、「原子力資料情報室」による記者会見を再配信します。これまでIWJが報じてきた福島原発事故関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e5%8e%9f%e7%99%ba%e4%ba%8b%e6%95%85

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/8360

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「英国に保管されている約0.6トンのプルトニウムが新たに在庫計上されるため、2020年度末時点の保有量は約46.1トン」に増加!? ~3.9第7回原子力委員会
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/489639

尾崎治夫東京都医師会会長は、「変異株がどの程度浸透しているかを総力戦で、攻めの検査で実態をつかむ必要がある!」と訴えた!!~3.9東京都医師会定例記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/489646

関電が競争入札を行わない特命発注での地元企業優遇を美浜町に提案! 規制委は「コンプライアンスは経産省」と適合審査に影響なし!?~3.2院内ヒアリング集会「若狭の不具合続出原発・老朽原発の再稼働と運転延長を問う」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/489360

【特別寄稿】あの『桜を見る会』は3月14日の下関市長選のための買収だった!『桜を見る会』招待は2017年の下関市長選の論功行賞であっただけでなく、3月14日の下関市長選で前田市長再選が狙い!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/489690

◆昨日テキストアップした記事はこちらです◆

会見の内容は東電が恣意的に決める!? Jヴィレッジ内にあった放射能に汚染された設備や土の扱いについて記者から回答を迫られていた原子力立地本部の担当者は現れず!~8.24東京電力 定例会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/480033

放射能の計測は業者頼み! 聖火リレーの出発予定地・Jヴィレッジで東電が行った工事で発生した、放射能汚染が8000ベクレル以下の廃棄物を東電は分別せず!? ~8.17東京電力 定例会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/479775

本日参院本会議で種苗法『改悪』法案が成立!「社民党はこの法案に反対です! 自家増殖の種子の使用が許諾制になり、許諾料が莫大になる。種子は誰のものか? 間違いなく農民のもの!」~12.2社会民主党 福島瑞穂党首定例会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/485704

◆昨日再アップした記事はこちらです◆

(再掲載)「中国と戦争になっても米国は守ってくれない。日本は盾と矛の役割を担わされている」~変化する米中関係、敵基地攻撃論が浮上した「理由」!~岩上安身によるインタビュー 第828回 ゲスト 伊波洋一参議院議員!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/408133

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■<本日の再配信1>10年前、IWJは3.11直後に何を伝えたか!? 本日、午後6時半と午後9時に日本の反原発市民運動と原発事故にとって歴史的な連続再配信をフルオープンで行います! 本日午後6時半より「3.11直後に最も早く行われた脱原発のデモ!事故後わずか22時間、たんぽぽ舎らが経産省前で3.12反原発抗議行動」を再配信します!

 「はじめに」でもお伝えしたように、東日本大震災「3.11」は、IWJにとっても、活動の原点と言ってよく、とりわけ、今も続く「福島原発事故」の本質に関わる一連の報道は、IWJの誇りであり存在価値でもあります。

 現在も8万人以上に上る避難者・被害者を出し、残された人々の心に大きな傷を残し、今も事故が続いている福島原発事故。これを引き起こした最大の責任主体の東電は、二酸化炭素(CO2)の排出量半減を名目に、堂々と「原発再稼働」を口にするようになっています。

※東電HD社長、30年度のCO2削減目標達成には原発再稼働「必須」(ブルームバーグ、2021年3月6日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-03-05/QPH068DWLU6901?fbclid=IwAR0iHMTQAzqEfOy6Tt93zzWZiSRD8GI6rfpZC9ahxBUjqIOGh5DbRNWNfoo

 また、「再稼働」を目指す「原子力ムラ」の動きも活発です。

※国民の信頼回復による原子力発電所の再稼働が大事な課題(原子力産業新聞)
https://www.jaif.or.jp/journal/feature/fukushima10/interview/yamaji.html?fbclid=IwAR22N5AtYl8BnR90RbwF-E883XS0kvWvZai27g1n12Je1gzTbxIU08_ZEIw

 現在、全発電量の3%にまで落ちた原発由来の電力ですが、「原発再稼働」を目論む勢力の異様な執念は、消えるどころか、地球温暖化問題を梃子にして息を吹き返しています。

 こうした「再稼働」勢力と戦ってきたのが、毎週金曜日の官邸前デモと国会前抗議行動を10年継続した首都圏反原発連合による反原発デモなどの全国各地の市民による反原発運動でした。

 この福島原発事故以降の反原発デモの最初のものは、事故の翌日12日には、早くも行われています。事故後わずか22時間、たんぽぽ舎らが経産省前で行った反原発抗議行動がそれでした。

 IWJは、この抗議行動を中継しました。本日、午後6時半より、この抗議行動の模様を再配信します!ここを出発点とした反原発抗議行動は、価値をめぐる戦いであり、生き方の戦いでもありました。

 ぜひ、人間の<原点>をフルオープン配信で御覧ください!

【タイムリー再配信 883・IWJ_YouTube Live】18:30~
3.11直後に最も早く行われた脱原発のデモ。事故後わずか22時間、たんぽぽ舎らが経産省前で反原発抗議行動

視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

■<本日の再配信2>午後9時より「岩上安身によるインタビュー 第100回 ゲスト 後藤政志氏~3.11の翌日、日本で最も早く『メルトダウンの可能性があるか』とジャーナリスト・岩上安身が質問し、原子力の専門家である、後藤政志氏が初めて顔出し実名入りでインタビューに応え、『その可能性がある』と答えた歴史的なインタビュー!」を再配信します! どうぞお見逃しなく!

 午後9時より、「はじめに」でもご紹介しました元原発格納容器研究者、後藤政志氏への岩上安身による単独インタビューをフルオープンで再配信します!

 岩上安身は、福島原発事故の最初期、まだ事故が始まったばかりの段階で、「大事故にならないために大事なことは2つ『炉心が冷やせるか、格納容器がもつか』ということを指摘した後藤藤政志氏に単独インタビューを行いました。

 結局、炉心も冷やせず、格納容器も壊れて、メルトダウンが起こっていました。このメルトダウンの可能性を日本で一番早く指摘する歴史的なインタビューとなったのです。

 福島原発事故は、現在、「廃炉プロセス」という新しい段階に至っています。このプロセスにかかる時間は、東電が想定しているだけでも40年です。しかし、今もって、デブリの取り出し方法についてアイディアはなく(そもそもデブリを取り出すなど不可能です)、どこに、どんな状態で、どれだけの量のデブリが存在するのかさえ、高い放射線量のために正確に把握できていないという状況です。

 この間に、大地震が再び来ないという保証はありません。2月13日の福島県沖を震源とする震度4の地震でさえ、フクイチの格納容器には新しい穴が開きました。福島原発事故は、10年経ってもまったく終息していないのです。それどころか、「廃炉プロセス」の最中に再び大地震に見舞われるという大きなリスクに直面しています。

 島村英紀武蔵野学院大学特任教授は、2016年11月22日の岩上安身の単独取材に答えて、「M8くらいまでのクラスは余震としてこの先100年は続きます」と断言しています。島村教授の「断言」は、10年後の2021年2月13日の「余震」によって「証明」されました。

 さらに、東北の沿海部では、震源が陸から離れているため震度は比較的小さいものの大津波を引き起こす「アウターライズ地震」が発生する可能性も指摘されているのです。

※今回の地震は東日本大震災の余震!? 「M8くらいまでのクラスは余震としてこの先100年は続きます」~武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が岩上安身の単独取材で指摘! 2016.11.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/346998

 こうした災害が再び起きれば、フクイチで再度の水素爆発と格納容器の崩壊が起こりかねません。

 現在のフクイチが直面している大きなリスク、そして全国各地に原発が存在し、稼働しているリスクを考えるためにも、その原点の事故に向き合うことが求められます。

 ぜひ、事故の<原点>をフルオープン配信で御覧ください!

【タイムリー再配信 884・IWJ_YouTube Live】21:00~
岩上安身によるインタビュー 第100回 ゲスト 後藤政志氏~3.11から事故直後、日本で最も早く「メルトダウンの可能性があるか」とジャーナリスト・岩上安身が質問し、原子力の専門家である、後藤政志氏が初めて顔出し実名入りでインタビューに応え、「その可能性がある」と答えた歴史的なインタビュー!

視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

■<献本御礼>岩上安身とIWJの活動も取り上げられています! 日高勝之著『「反原発」のメディア・言説史~3.11以後の変容』

 立命館大学産業社会学部教授・日高勝之様から著者『「反原発」のメディア・言説史~3.11以後の変容』をご恵贈いただきました。

日高勝之著
『「反原発」のメディア・言説史~3.11以後の変容』
岩波書店 21/2/5

https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%8F%8D%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E8%A8%80%E8%AA%AC%E5%8F%B2-3-11%E4%BB%A5%E5%BE%8C%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%AE%B9-%E6%97%A5%E9%AB%98-%E5%8B%9D%E4%B9%8B/dp/4000614517

 本書は3.11後、メディア・言説空間に溢れた、「原発への懐疑」の言葉や表象が意味するものとは何か、その政治的社会的意味を検証したものです。

 本書では、3.11後の新聞、テレビ、科学者、人文社会系知識人、ドキュメンタリー映画、劇映画などの多様なメディア・言説空間を、3.11以前との比較をしつつ、横断的な検証が試みられています。

 この中で、岩上安身とIWJの活動が取り上げられています。

 「第2章 懐疑と抵抗──科学者とフリージャーナリスト」の「3 機動力とジレンマ──ネット・ジャーナリズム」冒頭、「IWJとその機動力──岩上安身」と題する項は、次のように始められています。

 「3.11後、テレビや新聞などの主流メディアと異なり、主にインターネットなどで原発への懐疑を様々な形で示してきたネット・ジャーナリズムの活動は、その発信内容、発信形態、および活発さのいずれにおいても無視できない重要性がある。/代表的なものの一つに、岩上安身(一九五九─ )が主宰するIndependent Web Journal(以下、IWJ)が挙げられる」

 続けて、「福島の事故翌日に、高木(仁三郎)が設立した原子力資料情報室は記者会見を行い、メルトダウンがほぼ確実に起こっていること、格納容器の破損が十分に予測できることなどをいち早く伝えた。これをネット上にアップロードしたのはIWJである」と、IWJがネットの特性を生かして、3.11の実態に迫る報道を驚くべき速さで開始したことが述べられています。

 「特筆されること」として、「人的および財政的に資源力が乏しいにもかかわらず、大テレビ局顔負けの多元中継放送を行う」と指摘。2012年7月29日の首都圏反原発連合主催の「7.29脱原発国会大包囲」と呼ばれる大規模デモで、多数のレポーターの現場中継、さらに空撮ヘリコプター中継も含めた、「計八つの(それぞれ二時間前後の)長時間多元的中継」を配信したことが紹介されています。

 この中継配信の各チャンネルでは、「IWJの主宰者である岩上本人、および若いボランティアのレポーターたちが自分の声で現場の様子を伝え、参加者へのインタビューを行った。空撮ヘリは、日が暮れて夜になり、参加者がキャンドルやペンライトをかざす無数の光を映し出していた」と、配信内容を生々しく紹介。

 そのうえで、「一連の中継配信は今もネット上で閲覧することが出来るが、当時の反原発デモの熱気を伝える希少な記録となっている」と、その価値が高く評価されています。

 日高氏は、第2章の終わりに、「フリージャーナリストらは、スポンサー不在ゆえに、『政官産学メディア』の構造的力学から遠いところから情報を発信し、対向型ジャーナリズムの利点を発揮しうる」と記しています。まさに、IWJの活動そのものを示す言葉です。

 なおIWJでは、2021年3月11日より、3.11から10年を期に、2011年を振り返るタイムリー再配信を連日お届けしています。3.11直後に最も早く行われた脱原発デモ。原子力資料情報室の緊急記者会見、福島第一原発設計者の菊地洋一氏や、原発導入に異を唱えた佐藤栄佐久元福島県知事、東電元会長らを刑事告発した広瀬隆氏、元大阪高裁判事の瀬木比呂志明治大学教授等への岩上安身によるインタビュー。3.11を経て福島にとどまる方々や福島を離れる方々100人に岩上安身がお話をうかがった「百人百話」シリーズ。伊方原発問題に取り組む市民の取材。3.11直後の東京電力や原子力安全・保安院の記者会見やレポート等です。

※【献本御礼】日高勝之著『「反原発」のメディア・言説史~3.11以後の変容』(岩波書店)
https://iwj.co.jp/wj/open/books_2988

 本書で紹介されている2012年7月29日の「7.29脱原発国会大包囲」等の動画は下記で御覧いただけます。

※「首相官邸前抗議行動」完全中継プロジェクト
https://iwj.co.jp/wj/open/kanteimae

※7.29脱原発国会大包囲(全Chまとめ) 2012.7.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/24749

※7.29脱原発国会大包囲 Ch1 岩上チャンネル 2012.7.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/24733

※7.29脱原発国会大包囲 Ch2 遊軍&車窓チャンネル 2012.7.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/24757

※7.29脱原発国会大包囲 Ch3 空撮チャンネル 2012.7.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/24735

※7.29脱原発国会大包囲 Ch4 遊軍チャンネル@国会正門前付近 2012.7.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/24739

※7.29脱原発国会大包囲 Ch5 メインチャンネル@首相官邸前付近 2012.7.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/24741

※7.29脱原発国会大包囲 Ch7 遊軍チャンネル@国会図書館付近 2012.7.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/24745

※7.29脱原発国会大包囲 Ch8 八幡愛レポートチャンネル@国会裏一帯 2012.7.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/24747

■厚労省が無症状者からの感染率は高いと初めて認める! 戸別訪問などの新しいアプローチもないまま、別途80億の予算で1日1万件のモニタリング検査!

 昨日もお伝えした厚労省の「クラスター戦略からモニタリング検査へ」という戦略展開についてですが、昨日、厚労省から回答がありました。また、少ない時間でしたが、モニタリング検査を実施する事業主体である内閣官房にも取材しました。

 IWJが厚労省のコロナ対策本部に質問したのは、次の4点です。

 1. 3月末までに高齢者施設2万件の検査は、具体的に、どの都県のどの施設なのか。

 2. モニタリング検査の月1万件実施は、その検査数は少なすぎないかどうか。その方法は、こちらから戸別訪問検査を行うなど積極的な検査方法で行うのかどうか。

 3. 無症状者による感染は少ないという当初の分科会と厚労省の認識は変更したのかどうか。

 4. 民間検査とモニタリング検査の関係をどう考えるか。民間検査のデータをどのように生かすのか。

厚労省コロナ対策本部「1の高齢者施設については担当ではないので、担当の方にお伝えしています。全国1万件のモニタリング検査のお問い合わせについては、これは内閣官房で行っている事業になりますので、そちらにお問い合わせください。3の無症状の感染者からの感染については、多いとも少ないとも正直わからないと思っています。

 無症状の感染者からの感染は一定程度あるだろうとは思っていますが、厚労省としてその多寡の認識をこれまで述べたことはないかと思っています。したがって、とくに、その捉え方に変更はないということになります」

IWJ「以前、Kさんとお話した時に、費用対効果のお話をされていたと思うんですよ。社会的検査を行っても感染者を見つけられる数が少ないし、無症状者は感染力が低いという認識が分科会の方であるというお話をうかがった記憶があるんですよ」

厚労省「感染力が少ないかどうかは私、言った記憶がないんですが、分科会の方では、費用対効果が少ないという話は間違いなくありました」

IWJ「それは結局、無症状者の数が少ないということですか?」

厚労省「検査前確率が少ない場所に検査をしても、見つかる患者さんの数は少ないということです。あてずっぽうに検査して出てくる感染者と、ここら辺にいるであろうというある程度の根拠をもって行う検査によって出てくる感染者には違いがあるだろうということです」

IWJ「ある程度の根拠をもって行う検査も、今まではしてなかったわけですよね?」

厚労省「いや、それはやってくださいということをずっと厚労省としては申し上げているつもりですが」

IWJ「自治体に対してですか?」

厚労省「はい」

IWJ「今回の無症状者の検査は月に1万人という具体的な数値目標を出していますよね?」

厚労省「そちらは、内閣官房で検討している話なので、私たちは特にコメントができる立場にはないです」

IWJ「費用対効果が低いというのは、あてずっぽうに検査を行うと見つけられる確率が低いという意味なんですか?」

厚労省「そうです」

IWJ「1月7日に出た無症状者からの感染に関するCDCの研究があるのですが、中国の8つの研究のメタ分析をもとにした6つの推計を出した研究です。それによると、全感染者の50%以上が無症状者からの感染と推計されると結論しています。シナリオによっては67%という数字も出ています。

 この研究を踏まえると、無症状者の意味付けがこれまでよりもはるかに大きいものに変わることになります。これまで、40%と言われてきた無症状者の感染の重みが、この研究以降、全然、変わってきたと思います。これについてはどのようなお考えですか。この研究を踏まえて、厚労省と分科会の認識が変わったと思ったのですが」

厚労省「分科会の中でご指摘の論文に関して議論があったのかどうか承知していません。いずれにしても、無症状者1万人の検査は内閣官房で企画して実行されるものなので、厚労省として特段のコメントができる立場にはないですね」

厚労省「最後の民間の検査については、自費の検査とモニタリングの検査をどう結び付けるのか、というご質問かと思います」

IWJ「民間で行っている検査のデータをどのように活用するのかという問題ですね」

厚労省「これも私たちの班では直接対応していません。民間検査の対応は別の班が主体で行っています。民間検査会社で見つかった患者さんについては、改正感染症法にもとづいて、医療機関と連携して発生者の報告をできる限りやってくださいとお願いをするように、各自治体に2月10日に通知を出しています」

IWJ「厚労省の考え方としては認識が変わったというわけではないということですね。無症状者は多いとも少ないともわからないけれども…」

厚労省「無症状の定義がどうかですね。発症前の人が触れ合って感染させるという事態を今のお話は言っていると思うんですが、それは我々も危機感を持っているんです。本人は気がつかないうちに元気だと思っていたんだけれど、実は感染をしていたというケースですね。

 もう1つは、最初から最後まで無症状の場合です。それは、ほとんど感染させないんじゃないかという議論があります」

IWJ「今のは重要だと思うのですが、最初から最後まで無症状の人はほとんど感染させないという議論は分科会であったと言うことですね」

厚労省「分科会ではないです。いろんな人からです。国会でもいろんな人から質問が上がっています」

IWJ「それは厚労省としては、どのようにお考えなんですか?」

厚労省「両者を明確に区切ることは難しいと思っていて、両者を明確に分けた解析はほとんどないと思っています。両者を完全に分けることは難しい。無症状の方からも一定程度の感染がありうると考えています。その前提で、皆さんにマスクの着用とか3密の回避とか、基本的な感染対策をお願いしています」

IWJ「CDCの研究では、無症状者の定義にその2つを入れて考えています」

厚労省「ですよね。普通はそうだと思います。そういう意味で言うと、無症状者から感染率は高いです。そこを混同して話される場合が多いので、我々としても慎重な言い方にどうしてもなります」

IWJ「最初から最後まで無症状者の方については…」

厚労省「わからないということになります」

 このように、厚労省は述べています。つまり、無症状者には、発症前無症状者と非発症無症状者の2種類あり、この2つを含めると、無症状者からの感染率は高いと考えているのです。この点について、厚労省の認識は、変わっていないというのです。そして、この2つのカテゴリーは、現実に区別できないと厚労省は見ているのです。

 「無症状者からの感染は一定程度ある」という取材当初の答えが、取材していく中で、「無症状者の定義の問題」になり、「その意味では、無症状者からの感染率は高い」と厚労省は認めるに至ったのです。

 そもそも、「無症状者」と言ったとき、それが、発症前無症状者なのか、非発症無症状者なのか、その両方なのか、それを明確にすることは重要なのではないでしょうか?両者を厳密に分けることは難しく、両者を「無症状者」とひとくくりにしても、感染力が高いことが明らかならば、そこをターゲットにして検査を行っていくべきではないでしょうか。

 CDCの推計によれば、無症状感染者からの感染は、「一定程度」どころではなく、過半数、場合によっては70%近いのです。

 無症状者の数の理解に「少ない」という誤解が生じれば、分科会の言う「費用対効果」の理解にも誤解が生じます。

 検査前確率が低いことが費用対効果の問題であるなら、これまでも、検査前確率の高い地域でプッシュしてきた無症状感染者の検査数が一向に増えないのに、戸別訪問などの新しいアプローチもないままに、なぜ内閣官房が別途80億円も予算をつけて行うモニタリング検査1日1万件という「研究」が上手く行くと考えられるのでしょうか。

※注)モニタリング検査の80億円の追加予算と、1日1万件のモニタリング検査という目標件数は、検査の事業主体の内閣官房に確認した数字。

 今後、厚労省と内閣官房によるコロナ対策は、その批判的な検証も含めて、十分な注目が必要です。

■<岩上安身のインタビュー報告>原発の運転差止めを命じた元裁判長が「私が原発を止めた理由」を語る!3.11後初の原発運転差止め判決を下した元福井地裁裁判長・樋口英明氏

 2011年3月11日の東日本大震災、東京電力福島第一原発事故からまる10年を迎えます。3月10日、IWJで準備している「3.11企画」の第1弾として、岩上安身による元福井地裁裁判長・樋口英明氏への岩上安身によるインタビューを生配信でお届けしました。

 樋口英明氏は2014年5月21日、大飯原発運転差止めの判決を福井地裁の裁判長として言い渡しました。これは、福島第一原発事故後初の原発運転差止め判決となる、画期的な判決でした。

 インタビュー冒頭、岩上は樋口氏の肩書きのない名刺を見ながら、弁護士にならない理由について聞きました。裁判官は退官後、弁護士になるのが一般的です。樋口氏は弁護士にならない理由を、原発のことをやっていきたいからだと説明しました。

 「大飯原発運転差止め判決」を出すときに、出世に響くとは思いませんでしたか、という岩上の質問に、樋口氏は以下のように答えました。

樋口氏「原発事故が起これば日本の国が傾く、司法制度、裁判所自体がなくなるかもしれない、そういう時に自分の出世など考えていられない」

岩上「原発を止めることができるのは裁判官だけ、とお書きになっていますね」

樋口氏「そうです。しかし、でも、それがわかっていない裁判官も多い。原発のことがわかっていない。これだけの被害をもたらすものだから、よほどの安全策が取られていると思ってしまうんですね。一般には新幹線などでも事故リスクを抑えるように踏切を作っていない。そういう一般の法則でそう考えてしまうんですね」

 樋口氏は、「私はごく普通の裁判官、どちらかといえばやや保守的なほう。特にリベラルでも、人権派でもない」と自らを分析しています。

 「普通の裁判官」を自認する樋口氏は、大飯原発運転差止めの裁判では、「原発が動き出す前に判決を出さないと、稼働を事実上認めることになり、意味がない」と考え、最初に「大飯原発が危ないと思えば差し止めます。危険ではないと思えば運転を認めます」と裁判官としての方針を示したと言います。

 樋口氏は、大飯原発運転差止めの裁判は原子力発電に関わる高度な技術的議論になると考えて裁判に臨んだといいます。しかし、関西電力は「700ガルを超える地震は福井原発では起こらない」という非科学的な主張をし、そこが大きな争点になりました。

 2000年以後に日本全国で起こった主な地震をみると、700ガル以上の地震は、先日の2月13日の東北沖を震源地とする地震を含めると31回起きています。2004年の新潟県中越地震は2515ガル、2008年の岩手宮城内陸地震は4022ガル、2011年の東北大震災は2933ガル、2016年の熊本地震は1740ガル、2018年の北海道胆振東部自身は1796ガルです。

 インタビュー後半、会員限定配信部分では、「日本の原発は一般ハウスメーカーに劣る耐震基準で設計・建造されている」という恐るべき事実、「原発は固い岩盤の上に建っている、とはいえない」実態、「失敗し続けている地震の予知」など、次々と「思い込み」を裏切る事実についてお話しいただいています。

 従来保守派の政治家の一部は、原子力発電と核兵器を結びつけるような発言をしてきました。それに対して原発存在自体が国家安全保障上の脅威であるというお話しもいただきました。

 ぜひ会員となって、全編動画を御覧ください。

URL: https://www.youtube.com/watch?v=K6bANpxRPZ4 (冒頭オープン:14分ごろより本編開始)

 樋口氏は2017年8月に退官しましたが、退官後は弁護士になるなどの道を捨て、原発の問題に集中していきたいということです。裁判を通じて学んだ原発の危険性を広く伝えるため講演を行うほか、ご著書『私が原発を止めた理由』が今月発売されたばかりです。インタビューでご興味をお持ちになった方はぜひ、書店などで手に取ってみてください。

※原発のない社会へ 2019びわこ集会 ―元裁判官・樋口英明氏 講演「原発訴訟と裁判官の責任」 2019.3.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/444383

※第8回さようなら原発1000人集会(伊丹市)―講師 樋口英明氏(元福井地裁裁判官)、武藤類子氏(福島原発告訴団団長) 2019.12.1
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/462595

※樋口英明氏『私が原発を止めた理由』(2021年3月1日)
https://www.junposha.com/book/b561325.html

■<IWJからのお知らせ>「報道・ジャーナリズムの現場ってどんななの?」そんな学生さん大歓迎!IWJでは「学生インターン」募集中です!

 インターンは、1日から数日、IWJの仕事を見学していただき、マスコミ志望などの希望があれば進路のアドバイスも致します。研修名目で実際には働かせる、ということはありません。アルバイトをしたいという希望があれば、別途、面談に応じます。

 インターンとアルバイトにはきちんと境界線がありますので、ご心配なく、お気軽にご応募ください。

 岩上安身のインタビューには、最新の社会問題を急先鋒で追及する議員の方々や、学者の方々が多数いらっしゃいます。インタビューは、大手メディアが決して伝えない深く広がりのある内容になっており、IWJでインターンをすると、そうした方々にお会いするチャンスがあるばかりか、大手メディアでは伝えられない真実に触れることができるでしょう。

 その経験は、若い方々の今後の人生に大きな影響と方向付けを与えることになるでしょう。ぜひ、奮ってご応募ください。

 下記URLは、IWJでインターンとして活躍した方の記事です。ぜひ御覧になってみてください。

※内田雅敏弁護士「隣国全てが友人になるのが究極の安全保障! 歴史問題の解決こそが日本の安全保障に繋がる!」~ジャーナリスト・志葉玲氏主催「韓国叩きおかしくない? 徴用工問題の本質と和解への道」勉強会 2019.10.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/458553

※将来の年金は結局いくら!? ストレステストの結果を公表しないGPIF!立民会派山井衆院議員「国民が知って当然のことが黒塗りになるならば予算委員会でも追及する」~9.3 2000万円貯金・年金カット追及 野党合同ヒアリング 2019.9.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/456369

■<お知らせ>2021年3月31日をもって「ニコニコチャンネル」内「岩上安身のIWJチャンネル」を終了いたします。これまでお世話になりました。ありがとうございました。

 IWJはこのたび、株式会社ドワンゴが運営する「ニコニコチャンネル」内での「岩上安身のIWJチャンネル」を終了することといたしました。

 「岩上安身のIWJチャンネル」は開設以来、多数の皆様よりご利用いただいてまいりましたが、2021年3月31日をもちまして、閉鎖いたします。

 これまでご利用いただきました皆さまには、改めて御礼申し上げますとともに、閉鎖まで短い期間ではございますが、引き続きご愛顧くださいますと幸いでございます。

 なお、チャンネル会員の退会手続きは、閉鎖月にシステム側でおこないますので、お客様による退会手続きは不要です。

 また、2021年2月26日をもちまして、チャンネルへの新規入会を終了とさせていただきました。

 新規入会停止後は、有料コンテンツ(動画、生放送、ブロマガ等)を購入できなくなります。何卒ご了承ください。

 「ニコニコチャンネル」で御覧いただいていた方は、どうぞ、IWJの公式の会員としてご登録いただき、引き続き、ご視聴・ご購読をよろしくお願いいたします。

 会員へのご登録はこちらからお願いいたします。https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

 それでは、本日も1日よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也、木原匡康、塩澤由子)

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト 【 https://iwj.co.jp/