「厚生労働省はmRNAワクチンと不活化ワクチンの副反応の違いについて調査を行っているか?」IWJ記者の質問に「mRNAワクチンと他のワクチンの比較は決して適切だとは思わない」と武見大臣~10.10 武見敬三 厚生労働大臣 定例会見 2023.10.10

記事公開日:2023.10.10取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年10月10日午前10時55分頃より、東京都千代田区の厚生労働省にて、武見敬三厚生労働大臣の定例会見が開催された。

 会見冒頭、武見大臣からの報告事項はなく、そのまま、各社記者との質疑応答となった。

 IWJ記者は、前回に続き、以下の通り、新型コロナワクチンに関する質問を行った。

IWJ記者「新型コロナウイルスパンデミックに対して、中国やインド、ロシアなどでは、国産の不活化ワクチンが主として用いられました。

 2021年6月のジェトロの記事によると、中国における副反応の報告総数は3万1434件、重篤なケースは188件、死亡は報告されていません。接種10万回当たりでは11.86件です。

 厚生労働省の方で、メッセンジャーRNAワクチンと、不活化ワクチンの副反応の出方の違いについて調査を行っているでしょうか? あるいは、今後行う予定はおありでしょうか?」

 これに対して、武見厚労大臣は以下のように答えた。

武見大臣「まず、ワクチンの安全性について、それぞれの接種の対象となる感染性が、それぞれに異なりますよね。そのことを踏まえて、製品ごとに評価を行っています。

 mRNAワクチンについては、他のワクチンと比較して論じることは決して適切だとは思いません。

 で、mRNAの新型コロナワクチンを含めて、ワクチンの副反応を疑う症状については、副反応疑い報告制度などにより、新型コロナワクチン接種後の副反応が疑われる症状について、医師や製造販売業者等から報告があった場合には、審議会でこの安全性等を評価した上で、必要な対応を行うこととしており、現時点で審議会において、新型コロナワクチン接種を見合わせる等の意見はまったくいただいておりません。

 今後とも、ワクチンの安全性の評価を適切に行っていきたいと考えております」。

 また、他社の記者も、新型コロナワクチンに関する質問を行った。

記者「2点ございます。まず1点目ですが、新型コロナワクチンの予防接種をめぐる、健康被害からの救済制度の最新の認定件数と、過去45年間における他の全ワクチンに関し認定された累計を比べますと、新型コロナのワクチンによる健康被害だけで、他の全ワクチンの件数を上回っているとの情報がございます。

 その詳細な内訳・実数と、では、なぜ、そうした現状になっているのか、その現状についての評価ついて、見解をうかがいます」。

武見大臣「新型コロナワクチンにかかわる予防接種法にもとづく健康被害救済制度の累計認定件数は、令和5年(2023年)10月6日時点で4650件が認定となっております。

 他方、この新型コロナワクチン以外の累計認定件数は令和3年、(2021年)の末の時点で3522件が認定となっております。

 ただし、新型コロナワクチンと他のワクチンとでは、接種回数、接種頻度、接種対象者などが異なることから、健康被害救済制度の認定件数を単純に比較することは適切ではないと考えています。

 この予防接種法にもとづく予防接種を実施するにあたっては、まず薬事承認されたワクチンの有効性、安全性などを踏まえて、国の審議会の意見を聴いた上で決定されております。

 また、接種後の副反応が疑われる状況、症状について、医療機関や製造販売業者から国への報告を義務づけ、継続的な情報収集を行い、国の審議会において第三者の専門家の委員による評価や確認がなされております。

 今後とも、科学的な知見の収集に努めるとともに、専門家に評価をしていただき、ワクチンの安全性の評価を適切に行う。その上で新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関などに情報を提供するといった対応を行っていきたいと考えております」。

記者「2点目なのですが、関連なんですけど、全国には、コロナの後遺症に苦しみ、助けて欲しいと願う人も多い中、『審査待ち』は、どれほどいるのでしょうか?

 なぜ、迅速な救済を国がはかれないのか、おたずねします。健康被害の実態がわかる情報、例えば、全国都道府県別の申請件数や認定数、国に到達するまでの時間などを、『個人の特定につながるから』との理由で、国が出し渋っているようですけども、それで通用するんでしょうか?

 情報公開について改善する余地はないのか、うかがいます」。

武見大臣「この新型コロナワクチン接種にかかわる予防接種法にもとづく健康被害救済の審査状況については、令和5年(2023年)10月6日時点で、国へ進達されている9070件のうち、5328件の審査が終了しております。残り3742件がまだ審査未処理となっています。この件はおたずねになっているんだろうと思います。

 で、この、厚生労働省においては、この、まず審査会の頻度を、開催頻度を確実に増加させております。

 それから、審査会をさらに増設をしております。従来の『親委員会』一つのもとに、中に、小委員会をつくって、この3つの部会でさらに審査するようになっていますから、今、4カ所で実際にこの審査が同時並行的に進んでいるというふうに御理解ください。

 それから、事務局の機能の強化も確実にはかっております。そして、この健康被害救済に関する情報公開についてでありますけれども、その審査会の都度、審査の対象となったすべての事案について、個人が特定されないよう留意の上、性別、年齢、疾病名、判定結果などのリストを累計の進達受理件数と処理件数とともに、厚生労働省のホームページに掲載をしています。

 自治体の申請件数や認定件数等について、国が一律に公表することは行っておりません。御指摘のとおりです。

 で、自治体が個人の特定のおそれに留意した上で、それぞれの自治体の御判断で適切に公表することは可能であるということは各自治体に申し上げているところでございます。

 国に到達するまでの時間については、自治体が申請を受け付けた日付を把握していないことから、それはどのぐらい自治体で時間をおかけになったのかというのは、こちらではちょっとわかりかねるところがあります。

 厚生労働省としては引き続き、こうした迅速な救済に取り組むとともに、ホームページ等を通じてこの健康被害救済制度についても情報提供を確実に行ってまいりたい。このように考えています」。

 質疑応答の内容など、記者会見の詳細については全編動画をご確認いただきたい。

■全編動画

■IWJ記者質問部分ピックアップ

  • 日時 2023年10月3日(火)10:55~
  • 場所 厚生労働省内 会見室(東京都千代田区)

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