2023年8月4日、午後5時より、東京都千代田区の日本記者クラブにて、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」(以後、「当事者の会」)による記者会見が開催された。
会見には、「当事者の会」の代表・平本淳也氏、副代表の石丸志門氏をはじめ、メンバー7人が登壇した。
「当事者の会」は、ジャニーズ事務所にかつて所属し、故ジャニー喜多川氏による性加害を受けたと告発・告白した有志により、6月26日に創設された。
「当事者の会」のメンバー7人は、2つのグループに分かれて、それぞれ7月25日と28日に、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会による聞き取りを受けた。同日、本会見に先立って開催された作業部会による会見も、別室で、オンラインで視聴した。7人全員が顔を合わせるのは、この日が初めてとのことであった。
会見では、国連の「ビジネスと人権」作業部会の報告についての受け止めや、「当事者の会」設立にいたった経緯や今後の活動予定について、登壇者からの発言があり、つづいて、報道各社との質疑応答となった。
IWJ記者は、芸能界・テレビ業界の「文書契約」の問題について、以下の通り、質問をおこなった。
IWJ記者「日本の芸能界やテレビ業界では、正式な文書による契約のないケースが珍しくないと言われています。ジャニーズ事務所だけの問題ではなく、文書契約がない状態での人権侵害、例えば、いわゆる『枕営業』、つまり、女性タレントへの性行為の強要などがあるとも言われています。
芸能界やテレビ業界における『契約概念の欠如』が、性加害を含むあらゆる問題を助長している一面があるように思われます。
俳優やタレントの人権を守るという観点から、芸能界・テレビ業界での労働契約の現状について、何かお話しいただけることがあればお願いします」。
この質問に対し、副代表の石丸志門氏は、以下のように答えた。
石丸氏「確かに、私たち、今はどうか知りませんが、私たちが少なくともジャニーズジュニアになった時には、契約書の類は一切ありませんでした。仕事をしても、仕事によっては、ギャラが出ない、そういう仕事もたくさんありました。
その基準は曖昧で、また給与水準も、他の事務所と比べると非常に低いものがありました。
ただ、私たちは、ジャニーズジュニアという立場では、やはり、レコードデビュー、昔でいえばレコードデビューですね。要するに、歌手としてデビューをするというところが、一つクリアしなければならない問題で、その時点で、初めて、契約という流れになるものと承知しています。
ただし、私自身もそうですが、ジュニアの身でも、テレビドラマに出演したり、バラエティー番組に出演したり、それがスポットではなく、ワンクール、ツークールと及ぶことがありました。で、テロップに名前も出て、『ジャニーズジュニア』という但し書きも付かず、出たこともあります。
だから、俳優としては、『これはデビューではないのか?』という疑問を持ったこともあります。
ただし、その決定権はすべて、ジャニーズ事務所が握っていて、私たちにはそのことに対して…、これは、実は、私自身一回、事務所に、『自分の立場が非常に雑に扱われているのではないか』と苦情を言いに行ったことがあります
ところが、当時の部長クラスの人から、『10年早い』と言って突き返されました。それが当たり前の時代に、私はいました。
でも、それが今の時代でもそうであったとするのであれば、若い子ども、例えば、ジャニーズジュニアが年末のジャニーズカウントダウンに出る時、年齢によって、出演を控えているタレントがいます。そういうことを法的に守るのであれば、労働基準法にのっとって、ジャニーズジュニアであっても仕事をして、その仕事の対価をもらう、というシステムは、できていないといけないと思っておりますし、今できていないのであれば、早急にその作業は、ジャニーズ事務所はすべきだと考えます」。
会見の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。