故・ジャニー喜多川氏からの性被害を公表した橋田康氏が、児童虐待防止法改正の署名集めと、被害者からの相談を受けることを表明!~5.26 日本外国特派員協会主催 橋田康氏(元ジャニーズJr.・俳優・ダンサー)記者会見 2023.5.26

記事公開日:2023.5.26取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年5月26日午後2時より、東京都千代田区の日本外国特派員協会(FCCJ)にて、元ジャニーズJr.で、俳優・ダンサーの橋田康氏の記者会見が開催された。

 橋田氏は、ジャニーズJr.時代に、故・ジャニー喜多川氏から性被害を受けた自身の経験について、赤裸々に語った。その上で橋田氏は、「お世話になったジャニーズ事務所のこの問題が早く終結し、新しいスタートを切ってもらいたい」と自身の思いを表明した。

 橋田氏は、そのために、具体的な2つのビジョンを示した。

 ひとつは、ジャニー喜多川氏からの性被害を、顔出し実名で訴えている、橋田康さん自身と、カウアン・オカモトさん、二本樹顕理(にほんぎ あきまさ)さん、志賀泰伸さんが発起人となり、「児童虐待防止法」改正を求める署名を集めること。

 もうひとつは、ジャニーズ事務所はこの件に関して、すでに相談窓口を設置する旨を公表しているが、橋田氏自身が、同じ被害にあった人間として、元ジュニアの被害者たちから話を聞き、その声を集め、ジャニーズ事務所との架け橋になり、その声をまとめてジャニーズ事務所に届けること。そしてジャニーズ事務所が性加害の事実を認め、ジャニーズ事務所に謝罪と対応を求めることである。

 橋田氏は、すでに、そのための連絡・相談窓口「PROFESS」を開設している。

※PROFESS
http://profess.jimdosite.com
Mail:soudan@profess.jp

 以下は、会見で、橋田氏が行ったスピーチの全文である。

 「皆さま、今日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。橋田康と申します。

 本日は、私がジャニーズ事務所で活動していた時に起きたことをお伝えすることと、それをふまえ、今後のビジョンについてお伝えしたいことが2点あり、会見という形をとらせていただきました。

 現在、私は、ダンサーや俳優活動に加え、立ち上げたばかりですが、芸能プロダクションの代表をしており、今も、芸能活動を続けています。

 ジャニーズ事務所での活動は、1998年4月のテレビ朝日の番組『8時だジェイ』の番組のオーディション企画に参加したことでスタートしました。19歳になる年まで、約7年ほど活動を続けました。

 活動を開始して1年ほど経った頃です。公演で訪れた宿泊先ホテルで、ジャニー喜多川さんからの性加害を受けました。

 深夜眠りについていると、かけたはずのドアのロックが開き、ジャニーさんが入ってきました。すぐに私のベッドに入ってきて、マッサージが始まりました。

 混乱していて、どうしたらいいかわからないまま、身体が固まりました。私は性体験や性の知識もなかったので、何が起きているのかわかりませんでした。そのままジャニーさんに口淫されました。その間、ジャニーさんはずっと無言でした。

 行為が終わって、ジャニーさんが部屋からいなくなると、すぐに起き上がってシャワールームに行きました。体を洗い流しているうちに、涙が自然と出てきて、止まらなくなりました。性行為についての知識もなく、自分の体に起きた変化も含めて、頭が混乱しました。

 その後、ベッドに戻っても、涙は止まりませんでした。翌朝、ジャニーさんに呼ばれて、近寄ると、1万円を手渡しで渡されました。その時、『自分の価値は1万円なんだ』と感じました。

 なかなかご理解いただくのは難しいかもしれませんが、このような体験をした上で、私は今でもジャニーさんのプロデューサーとしての才能のすごさを感じています。尊敬もしています。『性加害がなかったら』、そう思うこともありました。

 私が、今、実名・顔出しで話すことで、今後、芸能活動をしていく上で、『性加害にあった人だ』と思われてしまうリスクがあることは、十分に承知しています。

 それでも、こうして、皆さんの前でお話しするのは、ひとえに、お世話になったジャニーズ事務所のこの問題が早く終結し、新しいスタートを切ってもらいたいから、そして、日本の芸能界エンターテインメントがより良い方向に向かって、『良い場』になることを願ってのことです。

 私が考えている。今後のビジョンとして、まず1点目に児童虐待防止法の法改正の一助になりたいと思っています。

 5月16日の国会ヒアリングに際して、勉強をしてみると、現行の児童虐待防止法では保護者が18歳未満の児童に行う暴行、わいせつ行為などを児童虐待と定義していますが、ここでいう保護者は『親権を持つ親に限定されている』ということがわかりました。

 ただ、自分が経験した環境も含めて考えると、現在の児童虐待防止法は子どもたちを守るのには十分ではないと感じました。私の個人的な印象かもしれませんが、性的虐待に関しては、親以外からの方が多いのではと感じています。

 今、提案されている法案では、その対象が第三者に広がります。例えば、部活動や塾など、子どもたちを育てる場での地位にもとづく影響力を持っている人物も対象になります。エンターテインメントの世界でも、芸能事務所の幹部らも対象になるという議論がなされています。

 法改正議論のもう一つのポイントは、経済的または社会的地位にもとづく影響力のある第三者による、性暴力やわいせつ行為が行われている場面を見聞きした場合、その見聞きした人による警察への通報が、法的に義務化されるということです。

 例えば、芸能事務所で児童に対する性的虐待が行われていた場合、社員やマネージャーなど、近くにいる大人が通告することが義務化されるのです。『見て見ぬふり』を止めることが、さらなる被害の抑止につながると思っています。加害者のブレーキにもなって、新たな加害者を生まないことにもつながると思っています。

 私は、どこかの党の支持者ではなく、超党派でこの問題に取り組んでもらいたいと思っています。もちろん、私の声だけでは変えられないと思っています。たくさんの人に、一緒に考えてもらいたいです。実名顔出しで声を上げている方々は、他にもいて、それぞれ考え方は違うかもしれませんが、今回、この法改正に関して、私の提案として、私、橋田康とカウアン・オカモトさん、二本樹顕理さん、志賀泰伸さんが発起人となり、署名を集めたいと考えております。

 政治家の皆さんに、私たち当事者だけではなく、ご賛同くださった皆さんの声が届き、法改正とつながってくれることを強く望みます。

 もう1点、私が考えるビジョンについてお話しします。

 現在、ジャニーズ事務所はこの件に関して、相談窓口を設置すると説明しています。しかし、直接ジャニーズ事務所には相談をしにくいという声も聞こえてきています。この性加害問題を放置して、曖昧なままにはしておいてはなりません。

 そこで、私が同じ被害にあった人間として、元ジュニアの皆さんからのお話を聞き、彼らの声を集め、ジャニーズ事務所との架け橋になれればと思っています。私がその声をまとめて、ジャニーズ事務所に届けたいと思っています。

 そして、ジャニーズ事務所には、実際にあったことを事実と認め、被害者たちへの謝罪と対応を求めたいと思っています。

 そして、一刻も早く『クリーンなジャニーズ事務所』として生まれ変わってほしいと思っています。ジュリー社長、僕たちの思いと向き合ってください。

 お話を聞くための、簡易的ですが、ホームページとメールアドレスを準備しました。実際に被害にあった方々は、こちらにご連絡いただけたらと思います。ぜひ一緒に今回の問題に取り組んでください。

 今日は、皆さんの質問にうまく答えられるかどうかわかりませんが、自分の感じたこと考えていることを正直にお話ししたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします」

 橋田氏の会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

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