2023年1月14日(土)午前10時30分より、東京都千代田区の学士会館で、「声明『日本学術会議つぶしを阻止し、平和と学問の自由を擁護しよう』発表記者会見」が、安全保障関連法に反対する学者の会の主催で行われた。
12月に内閣府が示した「日本学術会議の在り方についての方針」に対し、日本学術会議は、その「独立性に照らしても疑義」があり、「存在意義の根幹に関わる」として、再考を求める声明を採択した。
今回の記者会見は、この学術会議の声明に賛同して、学者の会が意見を表明したものである。登壇者は、広渡清吾日本学術会議元会長、高山佳奈子京都大学教授、大沢真理東京大学名誉教授、佐藤学東京大学名誉教授、中野晃一上智大学教授の5名。
はじめに、安全保障関連法に反対する学者の会の声明が読み上げられた。声明で学者の会は、閣議決定された「安保3文書」により、「憲法9条の平和主義」が「集団的自衛権の制度化に続いて決定的な危機に直面」していると指摘。「軍需産業の振興とそのための科学技術の動員、軍事研究の推進」に危機感を募らせた。
軍事研究を否定する学術会議の立場が、岸田政権による「安保政策の大転換」と相いれないことから、内閣府の「方針」の狙いは「『大転換』に適合的な科学者組織に学術会議を改造する」「学術会議つぶし」だと厳しく批判した。
そして、菅義偉元総理によって任命拒否された学術会議の会員候補6名の任命と、学術会議つぶしの「方針」の撤回を要求。1月の国会に提出されるという「学術会議つぶし」の法案を「断固阻止する闘いを進める」とした。
- 安全保障関連法に反対する学者の会有志による声明「日本学術会議つぶしを阻止し、平和と学問の自由を擁護しよう」を発表しました。(安全保障関連法に反対する学者の会、2023年1月14日)
続いて各登壇者が内閣府の「方針」を批判した。政府・自民党と学術会議の大きな齟齬をはじめ、岸田総理の「新しい資本主義」の問題、「学問の自由」の共同体性、世界第3位の防衛予算に対する公教育費137位・経済成長率154位といういびつな国の姿、6人の任命拒否と統一教会の関係等、様々な視点から論じられた。