2021年4月19日、東京都千代田区の文部科学省で、現在97歳の元学術会議会員、増田善信氏らが、菅義偉総理大臣と井上信治・内閣府特命担当大臣あてに、任命拒否撤回などを求めた署名を集め、記者会見を開いた。
日本学術会議は、4月21日から23日にかけて、総会を行う。日本学術会議幹事会は今年1月28日、2020年の菅総理による会員6名の任命拒否により、第1部(人文・社会科学)などの部会運営が困難になっている、として「6名の速やかな任命を要求する」との声明を出した。
- 日本学術会議幹事会声明「日本学術会議会員任命問題の解決を求めます」(日本学術会議、2021年1月28日)
会見で、学術会員を2期5年務めた増田善信・元気象研究所研究室長は、戦前の学術研究会議の変遷について触れ「創立当時は会員の任命は学術研究会議から推薦されたものを内閣が任命するようになっていましたが、戦争が厳しくなると任命制になっていった」と述べ、日本学術会議は「『公選制』から『推薦制』へ、そして今回の『任命拒否』、安保法制も変えられ、『敵基地攻撃』まで叫ばれるまでに達しました」「私がこの署名運動を立ち上げた背景にはこの危機感がある」と述べた。
増田氏らは会見後「菅義偉首相は日本学術会議からの推薦会員6名の任命を直ちに行い、日本学術会議の総会が6名の欠員なしで正常に開かれるようにすること」「日本学術会議の『あり方』に関する井上信治科学技術担当相の要請を撤回し、日本学術会議の自主的検討に任せる事」の2項目の要請を掲げたネット署名6万名超と、署名用紙による1753筆の署名を内閣府に提出した。