2020年12月24日(木)、16時半より港区の内閣府日本学術会議にて記者会見が行われた。
会見には日本学術会議会長 梶田隆章氏、同 副会長 菱田公一氏、同 第一部幹事(日本学術会議アドバイザー) 小林傳司氏、同 副会長 高村ゆかり氏が出席した。
会見では、この日行われた第306回幹事会の報告がなされたが、特に、井上信治内閣府特命担当大臣(科学技術政策)と梶田日本学術会議会長との意見交換に関する大臣発言に関して詳しく説明があった。
配布された資料によると以下の3点について、梶田会長と井上大臣との間で合意したという。
〇設置形態については、自民党の提言の中でも、ナショナルアカデミーとしての役割を果たすためにも「独立した新たな組織とすべき」という考え方であると思うので、現行の設置形態にこだわることなく、どのような制度設計をすれば、より良く役割を果たせるのか、フラットに検討を進めていただきたい。
〇「科学的助言機能の強化」や「会員選考プロセスの透明性の向上」など、日本学術会議自らが検討し、実施できる課題については、4月の総会までの間にも、具体的な改革を進めていただきたい。
〇今後具体的な検討を進める中で、中間報告に挙げられている5つの項目以外の論点、例えば、第三者機関の設置や外部レビューワー制度など、あるいは5つの項目の中でも明示的に書かれていないもの、例えば三部制の中での各部の会員数の比率の在り方のようなものなどについても、幅広く検討していただきたい。
上記3点の合意事項の中の「自民党の提言」とは、12月9日に自民党のプロジェクトチームが、「日本学術会議が2023年9月をめどに、独立した法人格を有する組織とすべき」として、独立行政法人や特殊法人などの形態に変わるよう提言したことを指す。
- 日本学術会議の改革に向けた提言(自民党、2020年12月9日)
日本学術会議はそれを受けて、12月16日に井上大臣に組織改革のための中間報告を手交し、そのなかで日本を代表する「ナショナルアカデミー」として備えるべき要件として、①国を代表する機関としての地位②公的資格の付与③国家財政支出による安定した財政基盤④活動面での政府からの独立⑤会員選考における自主性・独立性、という「5要件」が必須であるとし、設置形態の見直しに慎重な姿勢を示していた。
- 日本学術会議のより良い役割発揮に向けて(中間報告)(pdf 日本学術会議2020年12月16日)
井上大臣は、そこに3項目を重ね、引き続き梶田会長と意見交換しつつ検討を更に進め、来年4月の日本学術会議からの報告を期待するという。
詳しくは会見の全編動画を御覧いただきたい。