2020年12月15日夜8時頃から、日本共産党 志位和夫委員長の記者会見が東京・代々木の日本共産党本部にて行われ、IWJが生中継した。
IWJ記者は、コロナ対策を中心に以下の質問を行った。
IWJ記者「まず、なぜ(政府は)PCR検査数を増やさないのか? 共産党だったらどのようにされるのか? をうかがいたいです。
もう一つは、コロナ陽性反応が出て、病院などに隔離されている人の中で、働かないと収入がなくなって困ってしまう方がいる。彼らのためにどのような手段が取られるべきか?」
志位委員長「後者に対しては、補償措置が当然いると、ということを我々は主張しています。
前者のPCR検査がなぜ増えないかということについては、根本的な要因は、政府に検査戦略がないということから来ていると思うんです。
つまり、無症状の感染者を含めて、検査によって把握をして、保護していくと。これをやらないと感染を抑えられないわけですよ。
コロナの一番難しいのは、無症状の方が、知らず知らずのうちに感染を広げてしまうというところに、難しいところがあるわけですね。
ですから、無症状の方をどうやって検査によって把握して、保護するかと。この戦略がいるわけです。
ところが政府にはこの戦略が全くない。
私達は、どうやるかということについて、日本国民全員を検査するわけにはいきませんから、まずはエピセンター、あるいはホットスポット、すなわち感染が酷い地域、集積している地域、ここについては『面の検査』をやる。
先日、NHKスペシャルで解析、シミュレーションが出ていました。1波、2波、3波、全体を通じて、全国にエピセンターと思われる箇所が4ヶ所ぐらい明示されていました。東京の都心部、名古屋、大阪、北海道、等々ですね。そういうエピセンター、ホットスポットから、感染が外に拡がる、こういう状況がある。
そうなるとですね、そのエピセンターあるいはホットスポットを明示して、この区画については、人の出入りを抑えて、そして面で検査をする。そしてやはり制圧をするという考え方に立たないといけない。これが1つ。
もう1つは、医療機関、高齢者施設等、クラスターが発生した場合、非常に深刻な被害が出る施設に対しては、社会的検査をやる。そこに働いている従業員の方全員を、定期的に検査をする。あるいは入所者、あるいは入院患者さん、検査をやる。この検査によってディフェンスをする。
この2つが少なくとも必要だと。そうしていこうということを、一貫してずーっと言ってきました。
で、最近政府が、否定できなくなりまして、そういう面の検査の一定の必要性、社会的検査の一定の必要性を言い出したんだけど、最後に残った大きな問題っていうのは、お金の問題なんですよ。
今の社会的検査にしても、面の検査にしても、行政検査は、全部費用の2分の1は自治体持ちなんです。国の負担は半分なんです。自治体は、後で裏負担で返ってくるよと言われても、当座のお金がなかなか作れない。これがネックになって、検査がなかなかできないっていう自治体が多いんです。
ですから私たちが求めているのは、『全額国費にせよ』と。全額国費で、今言った2つの社会的検査、面の検査をやれっていうのが、私達の一貫した要求であります。今やるべきは、そういう積極的な検査と、把握と、そして保護と追跡によって、感染を抑えるということなんですよ。それが今一番求められているということを、強く言いたいと思います」
IWJ記者「もう1点、コロナに関してですが、新型コロナのワクチン接種について、治験段階で失敗が出ていることが、国民の不安を増加させていると思います。ワクチン接種についてしっかりとした情報が共有されていないと思うんですが、野党としてこれについてどう思われますか?」
志位委員長「情報の公開、共有、これはもう絶対に必要です。やはりワクチンについては、事の性質上、外から入れて反応を起こさせるわけですから、一定の副作用っていうのが、出てきうるわけであります。ですから、そういった情報も含めて、全部公開するということが、ワクチンについては必要だと。
ワクチンはぜひ、早くに実用化の方向に進んで欲しいと思うんですが、やはり危険性が十分に確かめられないで進むというのも大変よくないことなんで、両面はしっかり見ながらやってなくちゃいけないと思うんですが。
ただ、私、強調しておきたいのは、ワクチン頼みになってはいけないということなんですよ。
これは、ワクチンに対して、科学の成果ですから、科学的な知見が確立すれば、局面が変わっていくわけです。しかし、どうしたって時間がかかるっていうのは、はっきりしているわけですね。国民全部に行き渡るのに時間がかかる。
そう考えましたら、今はやはりワクチンはもちろん適切な形で早く国民に届くように、しかも安全性を確認しながらやっていく必要があるのは当たり前なんですけれども、ワクチン頼みになってしまって、もう検査は適当でいいんだと。
あるいは今、医療機関はもう疲弊してますよ、財政的に、この減少分負担をやらない。『Go To』の事業についても、あんないい加減な、中途半端な対応を続けている。これはもう本当に許されないことであってね。今やるべきは、今言ったような検査の問題、医療機関の体制の強化の問題、そして『Go To』のようなやり方はすぐに中止するという決断が必要だと思います」
IWJ記者は、日本学術会議の問題についても質問した。
IWJ記者「学術会議に関して、杉田和博官房副長官が(会員候補の)除外に関与したことを示す経緯文書が、内閣府から提出されました。このことについて、野党として追及していかないのでしょうか? 国会が閉まったが、問い詰めるべきではないでしょうか?」
志位委員長「当然、追及します。黒塗りになっておりますけれども、事実上の任命拒否の『実行犯』は、杉田さんだということを示す文書だと思います。ですから国会に出てきていただいて、任命拒否の経過を語っていただくということを、当然求めます。
ただ、この問題は同時に、任命拒否をやった責任は菅総理にある。ですから、あくまでも、実行犯は杉田さんだとしても、『主犯』は菅さんだということで、引き続き、これは問題にしていきます。
きちんと任命拒否を撤回するまで、私達としては、追及の手をゆるめずにやっていきたい。やはりこの問題、曖昧にして、許してしまったとすると、日本の今後にとっては大きな禍根を残すことになる。
戦前の例を見ましても、1933年の滝川事件、に続く35年の天皇機関説事件、このあとに国体明徴宣言(声明)が出て、そして国体が徹底的に最後の10年間叩き込まれて、戦争に行ったわけですよね。
ですから、一つの分水嶺になったのが、2つの事件でした。そういうことになりかねないと思っています。ですからこれは絶対に曖昧にせずに、任命拒否の撤回まで、闘い続けます。杉田さんは当然(国会に)出てきてもらいます」
IWJ記者「具体的にこの後どうするかを、今おっしゃるのは難しいですか?」
志位委員長「これは、閉会中審査でも、我々この問題を追及します。もちろんコロナもやりますけど。ですから、国会のあらゆる場面で、閉会中も追っかけていきます」
この日、志位委員長会見に先立って、日本共産党は、党本部と43道府県をオンラインで結び、第2回中央委員会総会を開いた。
総会で志位委員長は、来年4月以降と目される解散・総選挙に向けて、政権交代と野党連合政権の実現、比例代表選挙で「850万票、15%以上」の得票実現を訴えた。
- 共産党躍進の力で 新しい日本つくろう~日本共産党が第2回中央委員会総会(しんぶん赤旗、2020年12月16日)
さらに志位委員長は、総選挙を以下の「新しい日本をつくる五つの提案」を訴えて戦うと述べた。
(1)新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくる
(2)憲法を守り、立憲主義・民主主義・平和主義を回復する
(3)覇権主義への従属・屈従外交から抜け出し、自主・自立の平和外交に転換する
(4)地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくる
(5)ジェンダー平等社会の実現、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を
これを受けて記者会見では、他社から、この「提案」は政党間の合意をめざすのか?との質問があった。志位委員長は「5つの提案、計20項目あるが、他党とほとんどが一致するのではないか」と語り、野党間共闘に意気込みを見せた。
ただし、事前に立憲民主党と相談したか? との質問には、「相談は一切していない。あくまで共産党としての提案、たたき台」と語った。
さらに、立憲民主党が、国民投票法に関して「次の国会で結論を得る」と与党と合意したことや、原発ゼロに関しても揉めているとして、野党連合政権への懸念を問う質問があった。
これに対して志位委員長は、「国民投票法の『次の国会で結論』は、『廃案しかない』と思っている」「与党案の採決をすると確認したわけではないから」と回答。また、原発ゼロの方向ははっきりしており、あまり心配していないと返した。