内田樹氏「すでに学問の自由は侵されている」と危機感露わ!~声明「日本学術会議会員候補6名の速やかな任命と政府の権力介入の撤回を求めます」の発表について記者会見 ―登壇:池田香代子氏(翻訳家)、井上淳一氏(脚本家、映画監督)ほか 2021.4.20

記事公開日:2021.4.21取材地: テキスト動画
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(取材、文・木原匡康)

 4月20日、「声明『日本学術会議会員候補6名の速やかな任命と政府の権力介入の撤回を求めます』の発表について記者会見」が、東京・四谷の主婦会館で開催された。

 この声明は、ノーベル物理学賞受賞者の益川俊英氏や元文部科学事務次官の前川喜平氏など13人が呼びかけ人となり、映画監督の山田洋次氏をはじめ、125名にのぼる著名な学者や作家、映画監督、ジャーナリストなど、様々な分野の方々が賛同者に名を連ねている。

 記者会見では、はじめに、司会役の佐藤学氏(東京大学名誉教授)による会見の主旨説明と賛同者からのメッセージ紹介、池田香代子氏(翻訳家)による声明文の読み上げが行われた。

 声明文では、「6名任命拒否理由の説明、6名の速やかな任命、そのうえで日本学術会議の自主改革案に即した改革を要望」したうえで、「政治が科学を軽んずれば国民の命を守れないことを新型コロナの危機によって体験しています」「学問の自由を奪われた社会は闇であり、その闇から真実や法を意のままに曲げる独裁者が登場することにもなりかねません」と記している。

 さらに「要請」として、菅義偉首相、井上信治(科学技術政策担当)国務大臣、内閣法制局、政権与党(自民党・公明党)、野党、日本学術会議(梶田隆章会長)、メディア関係の方々・表現に携わっている方々、市民の皆様の各々に対する要請文が明らかにされた。菅総理に対しては(1)任命見送りの理由説明、(2)任命拒否された6名の速やかな任命が要請されている。


▲声明文

 なお、賛同者一覧と賛同者からのメッセージを含む声明文全体は、下記で御覧いただける。

※声明文・賛同者一覧・メッセージ
https://iwj.co.jp/wj/open/wp-content/uploads/2021/04/210420_massage-fulversion.pdf

 続いて、当日参加した以下の各氏が、日本学術会議問題に対する所見を、各々の立場から述べた。

 発言者を発言した順に記してゆくと、池田香代子(翻訳家)、井上淳一(脚本家・映画監督)、内田樹(神戸学院大学名誉教授)、大沢真理(東京大学名誉教授)、金性済(日本キリスト今日協議会総幹事)、古賀茂明(政治経済評論家、元内閣審議官・経済産業省官僚)、たかまつなな(株式会社笑下村塾)、吉永磨美(日本マスコミ文化情報労組会議議長)、藤森研(元朝日新聞論説委員)、小林三四郎(映画配給会社社長)。

 例えば内田樹氏は、声明文では「学問の自由が奪われるならばと、未来のおそれが書かれてますが、正直言って、もう学問の自由は侵害されている」と厳しく指摘。全国の大学768校の学長・総長に行われたアンケート結果を引いて、任命拒否を、「支持しない」と明言した学長・総長は48%にのぼり、「半分いない」「驚嘆すべき数字」だと指摘。政権が学校教育法の改革等で大学を骨抜きにした結果として任命拒否問題を位置づけ、強い危機感を露わにした。

 そのほか、古賀茂明氏は、声明文で要望されている「任命拒否の理由」は、「本来、聞いてはいけない。なぜなら、任命拒否の理由如何によっては、政府が介入してもいいということにつながる」と指摘するなど、登壇者全員が、それぞれ独自の切り口から、任命拒否問題を批判した。

 声明の呼びかけ人は以下の13名(五十音順)。池田香代子(翻訳家)、井上淳一(脚本家・映画監督)、上野千鶴子(東京大学名誉教授)、酒井啓子(千葉大学教授)、佐藤学(東京大学名誉教授)、田中優子(前法政大学総長)、津田大介(ジャーナリスト)、土井香苗(人権活動家)、前川喜平(元文部科学事務次官)、益川俊英(京都大学名誉教授)、室井佑月(作家)、目加田説子(中央大学教授)、吉永磨美(日本マスコミ文化情報労組会議議長)。声明の発信元は「学問と表現の自由を守る会(仮称)」である。

■全編動画

  • 日時 2021年4月20日(火)17:00~
  • 場所 主婦会館 プラザエフ 「クラルテ」(東京都千代田区)
  • 主催 呼びかけ人と賛同者の110名

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