危険な農薬、医療費・薬価の高騰、主権の喪失――「食の安全」「医療の安心」「国の主権」がすべて崩壊するTPPに多くの市民・有識者から根強い反対の声 2015.5.26

記事公開日:2015.5.29取材地: テキスト動画
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(IWJ・青木浩文)

特集 TPP問題

※5月29日テキストを追加しました!

 「No TPP!! フェス ~守ろう! 命と暮らしと未来~」が2015年5月26日(火)16時から、代々木公園野外ステージで開催され、孫崎享氏、鈴木宣弘氏、内田聖子氏、山田正彦氏らに加え、岩上安身も登壇しスピーチを行った。その後、代々木公園の会場から渋谷駅周辺に向けて、キャンドルデモで「No TPP!!」を呼びかけた。

 当初は、5月26日から28日までグアムで開催される予定だったTPPの閣僚会合の初日に合わせる形で、このフェスが企画されていたが、22日に同会合の中止が決定した。この動きについて、PARC事務局長の内田聖子氏は、「TPP崩壊に1cmだけ近づいた」とする一方、「最後の略奪、支配など、これまで以上の力をもって(アメリカが)攻めてくるという側面もあると思う」と、警戒感を強めた。

 米国では、オバマ大統領にTPPの交渉権を与えるTPA法案の下院での可否が6月中に議決されると言われるなか、フェスに集まった人々は、あらためて強い反対の声を上げた。

記事目次

■ハイライト

  • 内容 16:00~ NO TPP!!フェス(代々木公園野外ステージ)/20:00〜 キャンドルデモ(代々木公園~公園通り~渋谷駅~神宮前公園)
  • 出演 山本太郎議員、STOP TPP サルでもわかるおサル、喜納昌吉氏(ミュージシャン)、えみむめも氏、岩上安身(IWJ代表)、他
  • 日時 2015年5月26日(火) 16:00~
  • 場所 代々木公園野外ステージおよびJR渋谷駅周辺(東京都渋谷区)
  • 主催 No TPP!!フェス実行委員会
  • 呼びかけ 山田正彦議員(元農林水産大臣)、倉井香矛哉氏(文学研究者、音楽家)、斎藤まさし氏、魚ずみちえこ(Mamademo)、くまがい野絵氏(Mamademo)、木村隆文氏(プロジェクト99%)、荒井潤氏(作家、シンガーソングライター)、ヒロオカアヤ氏(Mamademo)、廣岡知美氏(Mamademo)、内田聖子氏(PARC自由学校事務局長)、吉田美佐子氏、溝口眞里氏、安斎由紀子氏(From北海道)、吉川友子氏(From長野)、飯沼潤子氏、安田美絵氏(ルナオーガニックインスティテュート主宰)、マエキタミヤコ氏、柴田美根子氏(Mamademo)、飯野友妃(Mamademo)、他

帝王切開手術で1億円請求――米国自己破産の6割が医療費

 岩上安身は、「TPPは21分野。国民生活のいろいろな分野に影響が出る」とした上で、その中でも「『食の安全』と『医療の安心』が侵される」と強調した。

 「TPP先取りというような形で、すでに様々な規制が緩和されている。ネオニコチノイド系の農薬は、昆虫の中枢神経にダメージを与えていることが立証され、ヨーロッパでは使用が禁止されているが、日本政府は(残留基準を)13倍も規制を緩和した。ネオニコチノイド系の農薬を売っている化学メーカーに配慮していると言わざるを得ない。

 ネオニコチノイドで昆虫の中枢神経がやられるのと同じで、人間の中枢神経も侵される。また、ネオニコチノイドの怖さは種子に浸透してしまうこと。今までの農薬のように洗っても落ちない」

 さらに、「ネオニコチノイド系の農薬の代表『ラウンドアップ』はモンサント製。これを日本で販売しているのが住友化学。その代表取締役会長の米倉弘昌氏は、経団連の名誉会長で前会長だが、TPP推進の旗振り役だった」と説明し、日本人の「食の安全」がどんどん侵されていく構造的問題を示した。

 また、「TPPで保健医療がどんどん縮まっていく。保険に適用できる範囲が狭まれば、結局新薬を使うしかなく、自費診療になってしまう」と述べ、すでに「医療の安心」が侵されているアメリカの状況を、実例を交えて解説した。

 「あるご婦人がアメリカ旅行中に帝王切開で出産した。医療保険には加入していたが、ある既住症を申告していなかったことを理由に、保険会社が支払いを拒否。1億円の医療費が請求された」

 岩上安身は、自身が「冠攣縮性狭心症」を発症した経験に触れ、「2週間の間に3回緊急搬送され、ICUに2泊し、カテーテルによる検査を一度行なった。これがアメリカであれば、救急搬送1回で10万円から20万円。保険なしで同じ治療を行なった場合、治療費は約3千万円になっただろう」と紹介した。

 続けて、「現在、多くの米国市民が苦しい経済状況下で自己破産しているが、その理由の6割が医療費。癌になったら同時に破産しなければならない」とし、TPPによって日本も同じように「医療の安心」が侵される可能性が高いと指摘した。

メキシコ政府が米国企業から1億ドルの賠償金請求――「TPPで国の主権が侵される」

 元外務省国際情報局局長の孫崎氏は、「TPPでの一番の問題は『国の主権が侵される』ということだと思う。多国籍企業が自分の期待する利益が、国の法律や裁判、行政で侵されるとわかったとき訴えることができるという制度(ISD条項)。その賠償金は、例えば一件あたり1億ドルになっている。そのような多額の賠償金を払えない国は、おそらく多国籍企業の要求に合わせるということになる」と述べ、ISD条項の問題点について、具体例を挙げて説明した。

 「アメリカ企業のメタルクラッド社がメキシコ政府から廃棄物の処理施設をつくる許可を得た。だが、そこから出てきた有害物質が近隣の飲料水を汚染し、多くの病人が出た。このため、地方公共団体がその施設を不許可とした。どこもおかしなことはない当然のこと。しかし、メタルクラッド社がアメリカの仲裁裁判所に訴えて、1700万ドルメキシコ政府は払わされた。

 アメリカ企業のイーライリリー社が注意欠陥/多動性障害治療剤、ストラテラという薬を開発し、カナダにおける特許を求めた。しかし、臨床実験が十分ではないとし、カナダの裁判所は特許を与えなかった。現在、同社はカナダの最高裁判所で、1億ドルの訴えを行っている」

 そして、アメリカ次期大統領候補になる可能性のあるマサチューセッツ州のエリザベス・ウォレン民主党上院議員が、「TPPはいずれアメリカの主権を損ねる」と発言したことを紹介し、「日本はどうか。主権が侵されるような状況になっているのに、日本の法律家、裁判官、学者は何をしているんだ」と厳しい口調で批判した。

エバーグリーニング条項でジェネリック薬が出てこなくなる

 日本医師会前会長でTPP交渉差止・違憲訴訟の会の呼びかけ人でもある原中勝征氏は、「世界一立派な日本の健康保険制度が壊されてしまう。アメリカが要求しているのは農業だけではなく、おそらく知的財産、そして金融。ここをアメリカが攻めてきている」と警鐘を鳴らした。

 さらに、「薬の20年の特許期間を30年に伸ばす。さらに、エバーグリーンといって、30年後に薬の効能を発表して認められれば、さらに30年延長することができる。今まで20年で特許が切れたのがどんどん伸びて、いつまでたってもジェネリックの薬ができない。しかもジェネリックの薬を作るためには、最初に特許を得た会社に許可を貰わなければならない。日本の医療保険がどれだけ高騰するのだろうか」と懸念を示し、「どうして日本人の命を日本の政府が危機にさらすのか」と強く訴えた。

「TPPがなくなっても、新自由主義の波は別の形で攻めてくる」

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