「TPPに反する法律は廃止され、将来にわたって立法できなくなる」 岩上安身による「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」弁護団共同代表・岩月浩二氏インタビュー 2015.5.19

記事公開日:2015.6.1取材地: テキスト 動画 独自
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(IWJ・佐々木隼也)

特集 TPP問題
※6月1日テキストを追加しました!

 「TPPは私たちの生命に対する権利、健康で文化的な生活を営む権利(憲法25条)を侵害する」——。

 2015年5月16日、世界で初めてTPPに対する違憲訴訟が提訴された。第一次提訴の原告は、一般市民、消費者団体、農業、保健・医療、NGO関係者ら計1000名以上にのぼり、福島瑞穂氏、山本太郎氏、糸数慶子氏、阿部知子氏、照屋寛徳氏、玉城デニー氏、仲里利信氏、主濱了氏など、現職の国会議員8名も原告に加わっている。

 2012年に衆院選で「TPP反対」を掲げて政権交代を果たした自民党・安倍政権は、半年も経たぬうちに交渉参加を表明。今や安倍総理が米議会で「TPPは経済的利益を超えた安全保障上の意義がある」などと前のめりで演説するなど、TPP自体の問題点を検証する姿勢は皆無だ。

 150名を超える違憲訴訟弁護団を山田正彦元農相と共に率いる岩月浩二弁護士は、5月20日、岩上安身の緊急インタビューに応え、「TPPは関税の問題がメインではない。生活全般におよぶ『内政干渉』だ」と厳しく断じた。

 訴状では、「国政の上で最大の尊重が必要とされる生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を定めた憲法13条(幸福追求権)が侵害されるうえに、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めた憲法25条(生存権)についても脅かされるとしている。

 憲法25条については、これまで抽象的な解釈しか成されてこなかったとされてきた。しかし岩月弁護士が今回、戦後の立法過程を研究したところ、「実はしっかり具体化が積み重ねられてきた」という。

 具体的には、「国民の安定的な食糧供給を受ける権利」「農業従事者の農業や酪農を営むことで生活を維持する権利」「安全な食品の提供を受ける権利」「適正な医療を受ける権利」などの基本的人権だ。これらの権利が、TPPによる薬価の高騰や医療費の高騰、食の安全規制の緩和や関税の撤廃など、グローバル市場の権力性のもとに侵害されるという。

【TPP交渉差止・違憲訴訟の会HPはこちら】

記事目次

■イントロ

  • 日時 2015年5月19日(火) 21:30~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

司法主権、知る権利…「グローバル企業の活動と利益の保護」の名の下に憲法を次々に侵すTPP

 さらに、憲法76条1項は「すべて司法権は最高裁判所及び系列下の下級裁判所に属する」と定めているが、TPPのISD条項(※)は外国投資家に対して、海外の私設法廷に一方的に提訴できる権利を特別に認めている。これは、日本の司法権の侵害である、と岩月弁護士は批判する。

(※)ISD条項とは、海外の企業や投資家が、投資先の国の法律や規制によって「不利益を被った」として、その国の政府を訴えることができる条項。裁判はその国の裁判所ではなく、米国ワシントンにある世界銀行内の仲裁機関において、非公開のなか、一審制で行われる。数千億円という高額の損害賠償請求が発生するため、訴えられる前に自国内で法律や規制を変えてしまおうという「萎縮効果」が問題視されている。

 また憲法41条は「国会は、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である」としているが、TPPは条約であり、法律に優越する効力があるのでTPPに反する法律は廃止され、将来にわたってTPPに反する法律は立法できないことになるという。

 さらに秘密交渉であるということは、憲法73条3項にも違反する。条約の締結権は内閣にあるが、73条によって「国会の承認を要する」と定められている。しかしこれほど極秘の交渉は、「国会による民主的コントロールを逸脱する」という。交渉過程の文書が、発効後4年間秘匿されるという決まりも、「国民の知る権利」を定めた憲法21条の侵害にあたるとしている。

 いくつもの憲法を侵し、国の形そのものを造り変えてしまうTPP。岩月弁護士は、「TPPの根本原理は、『国際経済活動の保護』、ひらたくいえば『グローバル企業の活動の自由と利益の保護』です。立法の根本原理が、基本的人権尊重の原則から、この『グローバル企業の活動と利益の保護』尊重原則に変わってしまうのです」と警鐘を鳴らした。

「これは命と暮らしを守る権利に基づく素朴な裁判だ」

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