4月11日(木)、岩月浩二弁護士(愛知県弁護士会 司法問題対策委員会TPP部会長)が岩上安身のインタビューに応え、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、特にISD条項が持つ危険性を強く訴えた。
ISD条項は、「国家と投資家間の紛争解決条項」と訳され、ある企業が投資先の国で損害を被った場合、国連や世界銀行傘下の投資紛争解決国際センターなどの仲裁裁判所を通じて、その国の政府を相手取り、訴訟を起こすことができるという条約のことで、これはTPPに含まれる。
岩月弁護士によると、ISD条項は、元々発展途上国の司法制度の不備を理由として、先進国が途上国に対して行う投資を保護するために、途上国の司法権排除を目的として結ばれるようになった。先進国同士の自由貿易協定に取り入れられたのは、NAFTA(北米自由貿易協定)が初めてである。
岩月弁護士は、ISD条項について、「外国投資家ができるだけ儲かる仕組み」をつくる制度だとし、「外国投資家に内政干渉を強制させる権利を与えるという意味では、非常にグロテスクなもの」だと説明した。また、その内政干渉という側面に対しては、「日本国内でいえばクーデターに近い」と述べ、憲法違反の可能性も指摘した。
岩上から、TPPやISD条項の危険性に気づいたきっかけを尋ねられた岩月氏は、「ISD条項が、TPPの要になっていると思う。私は4カ月くらいしか勉強していないが、ISD条項が多くの問題をはらんでいることがわかった」と答えた。
岩月氏は、ISD条項は、途上国の司法制度の不備を理由に、途上国の司法権を排除するのが目的の制度だと説明し、「日本がTPP交渉でISD条項を受け入れるのであれば、『すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する』としている憲法76条をはじめ、41、99条など、多くの条文に違反する」と主張した。
さらに、岩月氏は「日本がISD条項を受け入れれば、遺伝子組み換え食品の反対運動が、違法とされかねない」とし、表現・言論の自由を保障する憲法21条などには「ただし、外国投資家の利益を害する場合はこの限りではない」とのただし書きが必要になってくることも指摘。「外国人投資家が、できるだけ儲けるには、投資対象国のルールを都合よく変えてしまうことが手っ取り早い。しかしそれは、戦後の国際秩序と完全に矛盾している。ISD条項は、外国人投資家に内政干渉を促す制度にほかならない」と警鐘を鳴らした。
岩月氏は1996年に起こった『エチル事件』を紹介した。これは、94年に発効したNAFTA(北米自由貿易協定)で、先進国同士がISD条項で結ばれたのを受け、訴訟(ISD条項の発動は)が活発したことを象徴する出来事である。人体有害性の指摘があるガソリン添加剤の輸入を禁止したカナダ政府を、生産者である米エチル社が訴えたのである。
「ISD条項はクーデターに近い」~TPPの危険性について、その本質を議論する―岩月浩二氏インタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/73528 … @iwakamiyasumi
日本がISD条項を受け入れれば、遺伝子組み換え食品の反対運動が、違法とされかねない。
https://twitter.com/55kurosuke/status/605303514479230976