TPP交渉をめぐる米国のダブルスタンダード――首藤信彦氏、内田聖子氏らが政府担当官を徹底追及、認識の甘い日本側とそれを報じないメディア姿勢が露呈 2015.4.22

記事公開日:2015.5.18取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・富田)

特集 TPP問題

※5月18日テキストを追加しました!

 「TPA法案は、米大統領に対する脅迫状のようなもの。『米国の制度や法律に影響を与えてはならない』と要求しており、日本にとってはマイナス材料になる」──。

 元衆院議員の首藤信彦氏は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉をめぐって昨今の日本に流れる、「米国でTPA法案が成立すれば、TPP交渉妥結が一気に現実味を帯びる」との空気に釘を刺した。

 2015年4月22日、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で、超党派の議員連盟「TPPを慎重に考える会」の勉強会が行われ、外務省、内閣官房、経済産業省、農林水産省の担当官に、議員らがTPA法案がらみの質問をぶつけ、白熱したものとなった。

 日本のメディアでは「貿易促進権限」と訳されるTPA(Trade Promotion Authority)の法案が、4月中旬に米上下院に提出された。この法案が成立すれば、オバマ米大統領が絶対的な交渉権限を握るようになるため、日米両政権の協議で決まったことを米議会は覆せない。よって、TPP交渉は「最終合意」へと一気に近づく、というのが、日本のTPP推進派の見方である。

 だが、首藤氏や、アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長の内田聖子氏は、「今回出されたTPA法案には問題があり、実際の中身は、国内メディアが伝えるものとはだいぶ違っている」と訴える。

 TPA法案が通れば、TPP交渉をめぐってのオバマ大統領の対日要求は、これまで以上に、米産業界や米市民の利益優先が反映されたものになる可能性がある、というのだ。

 首藤氏からは、米国は、日本などの交渉参加国には、企業が進出先国市場の不都合を提訴できる「ISD条項」などの理不尽を押しつけるが、自国の制度や法律は死守するダブルスタンダードの姿勢を固めている、との指摘もあった。また、日本の製造業全体にとっての逆風になる公算が大きい「原産地規制」の問題も俎上に上がった。

■ハイライト

  • 説明者 外務省、内閣官房、経済産業省、農林水産省
  • 日時 2015年4月22日(水) 16:00~
  • 場所 衆議院第二議員会館(東京都千代田区)

TPAは米大統領に対する議会の「縛り」

 冒頭で、これまで極秘とされてきたTPP交渉の内容が、米国議員には全面開示されることが話題になり、TPPを慎重に考える会会長の篠原孝衆院議員は、「この動きの狙いは、TPA法案を通すことにある」と指摘した。

 2015年3月18日に、米通商代表部(USTR)のマイケル・フロマン代表が、TPP交渉テキストを自国の国会議員に対して全面開示する方針を表明したのだが、そこにはUSTR側の「全面開示に踏み切れば、TPP交渉の秘密性に不満を抱き続けてきた米議会から、TPA法案への妥結を引き出せる」との狙いがあると、篠原氏は分析する。

 そのTPA法案が日本側へのマイナス材料になる、と首藤氏は警告する。「日本では『TPA法案が通れば、TPP交渉は最終合意に向けて大きく前進する』という報道が圧倒的だが、同法案には、かなり問題がある」と指摘した。

 さらに、TPA法案に関する日本の一般的な理解は、「米大統領に貿易交渉権限を与えるもの」だが、「法案の中身をよく読むと、むしろ議会が、大統領に縛りを課すものだ」とし、次のように力説した。

 「(議会が)大統領にやらせる交渉の順番を決めて、常に報告を求めるのがTPA。大統領の実際の交渉が十分ではないと判断すれば、交渉権限を取り上げることも可能だ」

米国による「原産地規制」の高い要求と、それを報じない日本メディア

 首藤氏からは、その産品がどの国・地域で作られたかを示す「原産地規制」が、日米間のTPP協議のネックになっている、との言及もあった。

 「日本から輸出される自動車に使われる部品の、何割までがTPP加盟国域内であるべきかについて、従来の40%程度から、NAFTA(北米自由貿易協定)と同水準の62%へ、将来的には75%に、段階的に引き上げていくことを米国側は日本に求めているようだ。米国の要求通りになると、日本の自動車には、従来のようにタイ製やインドネシア製といったTPP非加盟国の部品を組み込めなくなる」

 日本の自動車業界に、米国製の部品購入の圧力がかかることを案じる首藤氏は、「米国側の、この戦略をもっとも強く主張しているのが、AFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)だ」とし、「原産地規制の問題は、自動車のみならず、日本のすべての工業製品に影響するものだが、残念なことに、日本の主要メディアは、この話題を取り上げようとしない」と遺憾を口にした。

 これらの指摘は、後半の質疑応答でも行われる。

原産地規制への日本政府の認識は?

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入よりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 300円 (会員以外)

関連記事


“TPP交渉をめぐる米国のダブルスタンダード――首藤信彦氏、内田聖子氏らが政府担当官を徹底追及、認識の甘い日本側とそれを報じないメディア姿勢が露呈” への 1 件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    2015/04/22 TPPを慎重に考える会 勉強会「情報収集・情報公開・国民的議論を求める」(動画) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/243338 … @iwakamiyasumi
    「情報収集・情報公開・国民的議論」この3つが満たされればTPPなど、消えてなくなるだろう。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/591172861617770497

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です