電力会社優遇、消費者に負担を強いる最大20年の原発運転延長の可能性、廃炉を選択しても諸費用が電気代に上乗せされてしまう可能性を有識者らが指摘 2015.3.10

記事公開日:2015.3.19取材地: テキスト動画
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(取材・記事:IWJ・松井信篤、記事構成:IWJ・安斎さや香)

特集 地球温暖化と原発ルネッサンス

※3月19日テキストを追加しました!

 気候ネットワーク主催による「連続セミナー『温室効果ガス削減の可能性をさぐる~新たな目標設定と政策の実施にむけて~』第3回 原発再稼働問題と脱原発」が3月10日(火)、東京都千代田区の主婦会館プラザエフにて行われた。

■ハイライト

  • スピーカー 浅岡美恵氏(気候ネットワーク)、伴英幸氏(原子力資料情報室)

「地元」の範囲はどこまで?

 原子力小委員会委員(以下、小委)を務める原子力資料情報室の伴英幸氏は、原発再稼働における小委での議論の課題を語った。現状では、川内原発が工事認可の理由から再稼働が遅れており、テロ対策や避難計画が不十分だと指摘。

 高浜原発においては、適合性審査は合格しているが、「地元」というのがどの範囲までなのかが論点になっているという。30km圏内に一部含まれている滋賀県の三日月大造知事は、再稼働にあたって同県の事前了解の必要性を主張している。また、避難対象20万人のうち、12万人は福井県外の住民だという。

原発運転延長への懸念、廃炉でも電気料金に上乗せ

 総合資源エネルギー調査の下にある小委では、エネルギー基本計画において示された原子力分野に関する方針を具体化すべく、様々なテーマについて、必要な措置の在り方を検討しており、現段階で中間整理までが行われている。しかし、いまだ具体的な政策は示せず、方向性のみの提示にとどまっているという。

 伴氏は、小委で議論されている中の一つである会計処理について、解説を交えながら報告した。

 現行の廃炉の会計処理法は、電気事業の一般的な会計とは異なり、廃止措置段階で残存簿価を一括費用計上する仕組みになっている。しかし、この仕組みは、原則40年ベースで資金を積み立てていたが、福島原発事故後に原発が停止したことにより、40年ベースが崩壊。採算が合わずに財務状況が悪化するのを回避するため、電力会社が最大20年の運転延長を求める可能性がある。そのため、今後は運転期間で積み立てる方式に改定することが検討されているという。

 エネルギーミックス議論において、現状のエネルギーの配分は、省エネ・再エネ・火力効率化を先行し、残りはCO2削減も含めて原発でやる構造となっている。伴氏は、中間整理の段階において原発依存度低減の具体的な内容を示しているのは、この廃炉会計制度のみであると指摘した。

 しかし、廃止といっても冷却を続けるなどの作業があることから、それらは減価償却費として計上され続ける。さらに、廃止に必要な追加設備も同様だ。期間は10年として核燃料資産や発電のために使われていた資産も、減価償却費として計上されるよう改定される。減価償却費として計上した分は、電気事業者が電気料金に上乗せできるという。

 現時点から今後、期間の10年が経てば、すでに総括原価方式は廃止になっている。2016年に電力が自由化され、それにより競争環境が続いていけば、送配電網を持つ電力会社は託送料金(※)を徴収できる。しかしながら伴氏は、託送料金というインセンティブがあっても、それで電力会社が廃炉を選択し、結果として実質的に原発依存度が低減するかどうかは分からないと疑問を呈す。さらに言えば、この仕組みでは、電力自由化により再エネ事業が普及しても、結果的に託送料金として、原発を持つ電力会社にお金が流れてしまうことにも繋がってしまう。

(※)電気事業者が他社の送配電網を利用して需要家に電力を供給する際に、送配電事業者に支払う料金(コトバンクより)。

 安倍政権の公約では、原発依存度低減を掲げている。しかし、これは一方で、「電力会社に廃炉を選択させる手助けを国はしっかり考えている」とアピールするためのアリバイ作りとして、お茶を濁す程度の託送料金が設定される可能性があると伴氏は指摘する。その結果として、こうした政策は原発依存度低減には貢献せず、多くの電力会社は原発の運転延長を希望するのではないかと推察した。

 原発運転延長か、廃炉にして電気代上乗せか、どちらの選択肢をとっても事業者優遇で消費者に負担を強いる措置であることは明白だ。

2030年時の原発割合は事故前とほぼ同じ可能性

(…会員ページにつづく)

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「電力会社優遇、消費者に負担を強いる最大20年の原発運転延長の可能性、廃炉を選択しても諸費用が電気代に上乗せされてしまう可能性を有識者らが指摘」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    電力会社優遇、消費者に負担を強いる最大20年の原発運転延長の可能性、廃炉を選択しても諸費用が電気代に上乗せされてしまう可能性を有識者らが指摘 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/238124 … @iwakamiyasumi
    国策のツケは国民が払うということ。被害者が被害者を救済?
    https://twitter.com/55kurosuke/status/587384250933972993

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