解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に向けた動き、国家戦略特区の導入、TPP交渉、原発事故対応――。
様々な局面で憲法が蔑ろにされている中、詩人、絵本作家であり随筆家であるアーサー・ビナード氏が5月27日、東京都大田区で、「だまされない日本人になろう!」というテーマで講演し、日本の危機的な状況に警鐘を鳴らした。
(IWJ・原佑介)
解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に向けた動き、国家戦略特区の導入、TPP交渉、原発事故対応――。
様々な局面で憲法が蔑ろにされている中、詩人、絵本作家であり随筆家であるアーサー・ビナード氏が5月27日、東京都大田区で、「だまされない日本人になろう!」というテーマで講演し、日本の危機的な状況に警鐘を鳴らした。
■ハイライト
ビナード氏は、「GHQによる押し付け憲法だ」「憲法の文章がよくない」とする改憲論者の主張について、「そんな議論を聞くたびに張り倒したくなる。何を考えてこんな議論をしているのか、愚かしく見える」と痛烈に批判。
「押し付けかどうかであったり、文章の良し悪しであったりを問題にしている人は、憲法のことを何もわかっていない証拠」とし、「僕らからすれば、憲法とは、権力の暴走に歯止めをかけるもので、そもそも権力者に『押し付ける』ものだ」と主張した。
その上でビナード氏は、「憲法は文章ではなく、概念。人類共通の叡智としてできたものだ」と続ける。
「最初の憲法としてあげられるのが、1215年に制定されたマグナ・カルタ。これも貴族が王様に押し付けた。そのマグナ・カルタは憲法ではなく、憲法の概念で、しかもラテン語でできている。ラテン語は、ローマ帝国で使われていた言葉。これが英国の憲法の土台になっているが、これ押し付けではないですか?」
米国憲法も、先住民とともに、イギリス憲法をもとに作ったものであるとビナード氏は説明し、「自主憲法もへったくれもない」と断言。イギリスには明文憲法がなく、マグナ・カルタや他の法律を憲法と見做しているだけで、つまり文章がなくても憲法は存在しうるものであり、逆に明文憲法があっても憲法違反ばかりが続き、実質的に憲法のない国がある、と語る。
「1940年代から見事にすべてが解釈改悪憲法で、やること全部が憲法違反。書いてあることと米政府がやっていることが、この70年間噛み合ったことがない。合衆国憲法という立派な憲法があって、日本国憲法の土台にもなっているのに、今は何の意味もなく図書館にホコリをかぶって飾られている。イギリスもだ」
「文章があるから憲法がある」のではなく、「歯止めをかける概念」そのものが憲法である、とビナード氏は説明しながらも、「日本でも歯止めをかけることができないことがどんどん進んでいる」と指摘した。
「グローバルホークやオスプレイの配備にも歯止めをかけられていない。安倍政権下でどんどん膨らむ防衛予算にも歯止めをかけられずにいる。TPPにも、国家戦略特区にも、福島の実態がごまかされることにも歯止めをかけられずにいる。憲法の本質である『権力の暴走に歯止め』をかけられずにいる」とし、日本において憲法が蔑ろにされている状況に警鐘を鳴らした。
二部では、元太田区議会議員の奈須りえ氏と、実業家で元参議院議員の水野誠一氏が加わり、「国家戦略特区」を主なテーマとしたクロストークが行われた。
奈須氏は、政府が国家戦略特区を進める上で使っている「国民生活の向上」や「国際競争力の向上」のためといったロジックは建前に過ぎないと指摘。安倍政権が進めようとする経済政策の本質を次のように分析した。
「100ページ以上にわたる政府の文書で、『ジャパンイズバック』というものがある。その中で、『国民生活』という言葉はゼロ。出てこない。『国際競争力』という言葉は8個。一番多かったのは『投資』という言葉で、113個あった。これは投資のための計画だと思った。安倍政権がつくっている文書の中でも実証されている」
(…会員ページにつづく)
詩人・アーサー・ビナード氏「文章があるから憲法がある」のではなく、「歯止めをかける概念」そのものが憲法である「歯止めをかけることができないことがどんどん進んでいる」と指摘。2014/05/27
アーサー・ビナード氏「『押し付け』かどうかなど憲法を理解していない証拠だ」各国憲法と比較して指摘
アーサー氏の講演はユーモアがあって面白いので、夏休みに入っているお子さんたちに聞かせてあげたいですね。
深刻な問題も扱っていますが、親の洗脳が解ける前に、子供たちの言葉の感受性が豊かになるように思います。
スイカ割りは、スイカを割るのが楽しいのではなくて、スイカが割れないから楽しいのだと、
スイカ割りさえ、遊びから逸脱して完璧を要求するお母さんたちに教えてあげたいです。 ふ~。