「特区を名目に一つの法律でいくつもの規制を一気に改正できる」―。
都知事選投開票日があと1週間に迫った2月2日、国家戦略特区に関する緊急集会が行われた。講師として前大田区議会議員の奈須りえ氏が招かれ、その危険性について解説した。
(IWJ・松井信篤)
特集 2014東京都知事選|特集 TPP
「特区を名目に一つの法律でいくつもの規制を一気に改正できる」―。
都知事選投開票日があと1週間に迫った2月2日、国家戦略特区に関する緊急集会が行われた。講師として前大田区議会議員の奈須りえ氏が招かれ、その危険性について解説した。
■ハイライト
2011年に政府が羽田空港跡地を「国際戦略総合特区」に指定したことから、奈須氏は特区制度を調べるようになったという。奈須氏は特区について、「TPPに類似した『プレTPP』である」と説明。「『解雇特区』であり、労働時間規制なし、残業代ゼロ、外国人労働者が3割以上、正規雇用への転向ができない仕組み等の問題がある」と語った。
奈須氏は、こうした規制緩和を促す政策は小泉政権時の「構造改革特区」に端を発しており、「特区を名目に一つの法律でいくつもの規制を一気に改正できる」と述べた。そして一部の閣僚と民間議員に規制緩和の権限がある事から、議会とは異なる意思決定プロセスが出来上がる可能性を指摘した。奈須氏は、「法の趣旨を超えて決定するのであれば憲法95条により、住民投票をしなければならない」と指摘した。
また奈須氏は、国家戦略特区の有識者ワーキンググループ議事録で「平時であれば、絶対に法制審をスキップすることはできない。なぜできたかといえば火事場だったからである。つまり、今も火事場だという認識を作る必要がある。だから、平時のルーチンはスキップさせてもらいます」と書かれている事を明かし、国家戦略特区法は正常の手続きを踏まずに進めてきた法律で、「法律ができた後にパブリックコメント募集も納得できない」と主張した。
さらに税収面の問題として、東京都が特区に指定された場合、法人事業税や固定資産税が安くなる事で税収が減り、住民サービスに影響が出ると説明した。そして、都の法人住民税が一部国税化され、地方自治体は都の税収が国税として、地方自治体に交付金として分配される税制大綱が策定されたことをあげ、財政が比較的豊かとされる23区がこの影響を一番に受けると指摘した。