田岡俊次さんのインタビュー、予想していた以上に盛り上がった。初対面なのだが、田岡さんの直近の関心はもっぱらソチ五輪でのテロ可能性にあり、チェチェンに注目。僕が独立後の初代大統領ドゥダーエフにインタビューしたことがあると告げると、クールな様子が一転、目を輝かせていた。
ドゥダーエフ大統領にインタビューした際、彼に気に入られて、自宅にまで招かれた。チェチェンでは、自宅に招かれるとは、その家の主人が守る、ということを意味する。しかし、僕を守る約束をしたドゥダーエフは、その約束を果たせない。彼はロシアに爆殺されたからだ。
ドゥダーエフに会ったことをあんなに目を輝かせて聞いてくれた人は今まで会ったことがないので、ちょっと嬉しくなり絶版になっている著書を差し上げた。「これ、読んだらお返しした方がいいですか?」と言われたのも、初めてだ。もちろん、献本した。
「あらかじめ裏切られた革命」にまとめることとなった一連の取材は、毎回、旧ソ連国内で、その時々のテーマを手探りで探して取材を重ねていった記録だが、あとから振り返ってわかることは、公共財産を一部の人間が我が物にする壮大なショック・ドクトリンの現場に居合わせた、ということだ。
天災や戦争などの人災で人々がパニックに陥ったり、注意が惨事に向けられていたりする時に便乗して、平時では不可能な、大資本や権力にとって好都合な規制緩和や構造改革(改悪)を行うのが、惨事便乗型資本主義=ショック・ドクトリンである。要するに、火事場泥棒的な手法である。
今まさに、そのショック・ドクトリンが用いられようとしている。国家戦略特区の導入は、貧しき者の懐に手を突っ込み、権利を制限し、むしるだけむしって一部の富める者だけに富を集中していくシステムだ。その導入を目論む者は「火事場」でないと導入は無理、という認識を持っているのである。
国家戦略特区におけるワーキンググループや、有識者へのヒアリングでは、様々な規制緩和が取り上げられているが、その中には雇用の問題も含まれる。では、どのような議題が取り上げられているか。前大田区区議の奈須りえさんが、ブログでまとめている。そこから以下、引用する。
◯解雇規制の緩和・合理化
◯有期雇用契約の自由化
◯労働時間規制の適用除外
◯労働時間規制の適用除外
◯労働時間規制の見直し(労働時間の上限規制緩和、休息に関する規制強化など)
◯労働者の権利の一部放棄の容認
◯積極的な移民政策の推進
どれも、サラリーマン・労働者には、重大な影響をもたらす議論である。こうした議論が一部の人間たちによって話し合われており、民主的な手続きを飛ばそうとしていることがうかがえる。問題は、こうした「構造改悪」を、「火事場」をあえて作りだすことで強行しようという認識を持っていること。
国家戦略特区ワーキンググループの有識者等からの「集中ヒアリング」議事録概要には、土地利用規制の緩和に関して、こんな発言が登場するのだ。「平時であれば絶対に法制審をスキップすることはできない。なぜできたかといったら、火事場だったからである。つまり、今も火事場だという認識をつくる必要がある」。
人々に、今は火事場なのだ、という認識を与える。その間に火事場泥棒を働こうという寸法であることは、明らかである。それが国家戦略特区の中身であり、手口であり、本質なのだ。日本版ショック・ドクトリンなのである。
だからこそ、この問題に真剣な関心を寄せてもらいたい。
都知事選の裏でこっそり「国家戦略特別区域方針(案)及び構造改革特別区域方針(案)に関する意見募集について」パブコメ。
惨事便乗型資本主義=ショック・ドクトリン ? 。
カナダの彼女の本を読んでおりますでしょうか。
どうして、それが、資本主義に限定されるのでしょうか。
民(弱者)を恐怖でコントロールすることではないでしょうか?。
政治と結びつくのは趨勢から関連があるからですが、
問題は、誰が権力をもっていたか なんです。