「苔が除染の対象になった日本で『苔のむすまで』と強制的に歌わせる勢力は、同時に原発も推進」 〜愛媛9条の会 第10回総会「アーサー・ビナード氏講演会」 2013.7.20

記事公開日:2013.7.20取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2013年7月20日(土)13時より、愛媛県松山市の愛媛大学グリーンホールで開かれた、愛媛9条の会第10回総会において、詩人・作家のアーサー・ビナード氏の講演会が行われた。講演の中では、言葉によって国民を騙す、国の利権構造や、核開発を肯定する口実としての、第二次世界大戦の歴史が語られた。

■全編動画
・1/2

・2/2

  • 講演 アーサー・ビナード氏(詩人・俳人・随筆家・絵本作家)「ピカがおしえてくれたもの ― 広島・長崎・原爆・原発」
  • 日時 2013年7月20日(土)13:00~
  • 場所 愛媛大学グリーンホール(愛媛県松山市)
  • 主催 愛媛9条の会

 はじめに、ビナード氏は、スコットランド民謡の『Auld Lang Syne』が原曲で、大日本帝国海軍では海軍兵学校や海軍機関学校等の卒業式典曲として使われた唱歌『蛍の光』について、「この歌は、継続可能なエネルギーの、地産地消の必要性を訴えているように解釈できる」と述べた。その上で、自然エネルギーによって、原発を推進する巨大な利権構造を打開できる可能性を説き、「原子力というペテンは、完全に行き詰まっているが、だからこそ、安倍政権は、原発を海外に売りつけようとしている。僕らが原子力エネルギーに別れを告げる時代は、とっくに来ている。国とマスコミが一体となって行うペテンの構造を見抜き、終止符を打てるかどうかの岐路に、われわれは立たされている」と指摘した。

 続いて、福島第一原発事故後、放射性物質による汚染が顕著な苔やキノコ、山菜によって、それを利用する野鳥や昆虫も被曝させられている現状を説明。「苔が除染の対象になった日本で、『さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで』と強制的に歌わせる勢力は、同時に原発も推進している。これは矛盾であり、相容れないものを都合良くごまかしながら、言葉で社会を振り回している」と語った。

 また、「Atomic bomb」や「Nuclear Weapon」と、広島および長崎に投下された原子爆弾を示す「ピカ」や「ピカドン」という言葉の違いが、「それを体験した人間の、立ち位置の違いを示している」とした。ビナード氏は「ピカドンとは、上空を見上げ、DNAをずたずたにされてしまった人々の視点である。僕らは立ち位置を考えて、長崎、広島の体験を引き受けていかないといけない」と語った。

 また、第二次世界大戦が、核開発に合わせて、核を肯定するための口実に利用された実態を解説した。その上で、ビナード氏は「第二次世界大戦で行われたペテンを見抜かないと、僕たちは、また騙される。マスコミは、国会のねじれを今回の参院選最大の争点であるかのように伝えているが、これは改憲やTPP、エネルギー政策などの本当の争点をごまかすためである。皆さんは、ねじれのペテンに引っかからないようにしてほしい」と呼びかけた。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です