2013年7月2日(火)18時半より、岡山県岡山市の岡山国際交流センターで、詩人のアーサー・ビナード氏を招いた市民自治講座「ヒロシマとフクシマどっちが遠い?」が行われた。ビナード氏はユーモアを交えつつ、平易な言葉で原爆の体験を語り継ぐ重要性や、原発が推進されていった歴史的背景を解説した。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2013年7月2日(火)18時半より、岡山県岡山市の岡山国際交流センターで、詩人のアーサー・ビナード氏を招いた市民自治講座「ヒロシマとフクシマどっちが遠い?」が行われた。ビナード氏はユーモアを交えつつ、平易な言葉で原爆の体験を語り継ぐ重要性や、原発が推進されていった歴史的背景を解説した。
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「8月6日(広島の原爆)の体験を、実体験として語れる人が少なくなってきており、どう語り継ぐかが課題である」と語るビナード氏は、原子爆弾を意味する「ピカドン」という言葉の持つ意味を解説し、「原爆は、戦争を終わらせるために必要だったと、アメリカ国民は教えられてきた。しかし、この言葉を通して、核分裂の連鎖反応を見上げ、皮膚が焼かれ、DNAがずたずたにされる当時の状況、立ち位置を追体験することができる。新しい見方を、われわれに教えてくれると思う」と語った。
続いて、1945年7月16日にアメリカのニューメキシコ州アラモゴードの荒野で行なわれた、世界初の核実験について説明した。その上で、この実験と原爆投下の背景には、世界を支配するためのプルトニウムの生成という目的があったことを解説し、「本当に、原爆が戦争を終わらせる目的であったとすれば、ウラン235の核兵器だけで済んだはずである。軍事的、経済的に、世界を支配することが目的だったマンハッタン計画を冷静に見ると、『戦争を終わらせるための原爆投下』という言い方が、歴史のペテンであることがわかる」と指摘した。
また、1945年9月17日に巨大台風が広島を直撃し、大洪水により、放射能で汚染された表土が剥がれ、残留放射能が瀬戸内海に流れ出た事実を語り、「アメリカは、この天災によって、残留放射能の存在をごまかすことに成功した。私は、福島の除染作業も、残留放射能を海に捨てることを前提に進んでいるとしか思えない。福島でも、広島と同じことが起ころうとしているのではないか」と述べた。
安倍政権による原発の輸出について、ビナード氏は「アメリカ『帝国』の核推進勢力の、孫請けである安倍政権、玄孫請けの三菱、東芝、日立が、他国に原発を輸出している中、風下に置かれるのは市民たちである。一方で、ロックフェラー、ロスチャイルドなど一部の層が、これによって想像を絶する利益を得ながら、支配を続けている。原発は犯罪である。本質を見抜いて、『ペテンに終止符を打とう』と皆が立ち上がれば、この状況は打破できる」と語った。