「被曝限度? 知らない、知りたくもない」北関東被災地に意図的蒙昧の傾向 ~「茨城・群馬・栃木」国立大学有志が報告 2014.2.8

記事公開日:2014.2.8取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

特集 3.11|特集 百人百話

  2014年2月8日、東京・白金にある明治学院大学で、「終わらない3.11原発震災の被害―北関東の被災者・福島県からの避難者調査から考える―」アンケート報告会・パネルディスカッションが開かれた。

 フクシマショックから3年近くが経過する中、福島のみならず、茨城、群馬、栃木の北関東でも放射能汚染が続いていることを、当該する3県の国立大学の有志が、実施したアンケートの結果に基づいて訴えるのが、この集会の大きな目的だ。

 主催者側は「北関東では、福島に匹敵する汚染度合いが確認されている」と指摘。にもかかわらず、国の対策は、福島のそれよりも水準が低く、メディアは、3県のそういった窮状にあまり関心がない、とのこと。

 アンケート結果は、北関東でも今なお、多くの人たちが放射能汚染の恐怖と対峙しながら、日々の生活を送っている様子を浮かび上がらせる。

 しかし、それと同時に、別種の厄介な問題が存在していることも、浮き彫りにされた。住民側に、「被曝リスク」に関する知識が圧倒的に不足しているのだ。どうにもならないことでストレスを抱えたくないから、あえて放射能汚染がらみの情報には接しないようにする、という価値観がだいぶ広がっていることがわかる。

 それは、食品安全や健康を巡る、自治体による検査型の支援事業の、利用率の低い数値にも表れる。「北関東の住民は、もはや放射能汚染を恐れていない」と解釈される可能性すらある、アンケート結果のそういった部分に、実施者側は、ある種の苛立ちを感じているのではないか。宇都宮大学の清水奈名子氏は、「われわれアンケート実施者の役割は、被災者や避難者の側には支援ニーズが存在していることを、国や県に確実に伝えることにある」と強調している。

 なお、質疑応答では、被災地に目立つ「アンケート疲れ」に関する質問が飛んだ。いろいろな市民グループのアンケートに頑張って答えても、自分たちの願いは、いっこうに政策に反映されないという、被災地に漂う住民の不満の代弁でもあり、この質問の指摘は正鵠を得ている。当該するアンケートの実施者の目に前には、対処が不可欠な「壁」が存在するのだ。

記事目次

■ハイライト

  • 13:00~14:50 第1部 北関東地域の被災者・福島からの避難者調査報告 司会:齋藤百合子氏(明治学院大学) 1.茨城県内被災地域 「茨城県震災直後の食行動と甲状腺検査意向調査」 原口弥生氏(茨城大学) 2.群馬県内被災地域 「放射能に関する意識・行動調査」 西村淑子氏(群馬大学) 3.栃木県内被災地域 「乳幼児保護者アンケート」 清水奈名子氏(宇都宮大学) 4.福島県からの避難者アンケート 高橋若菜氏、阪本公美子氏、匂坂宏枝氏(宇都宮大学)、他
  • 15:10~16:20 第2部 パネル・ディスカッション 「終わらない被害と被災者の権利を考える」 司会:重田康博氏(宇都宮大学) パネリスト:伊藤和子氏(弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長)、手塚真子氏(那須塩原放射能から子どもを守る会代表)、大山香氏(栃木避難者母の会代表)、荻三枝子氏(関東子ども健康調査基金共同代表)、村上岳志氏(新潟市避難者支援協議会代表)、他

 第1部のアンケート報告会のトップバッターは、茨城県対象の「震災直後の食行動と甲状腺検査意向調査(2013年8~9月実施、対象は子どもの保護者)」を担当した原口弥生氏(茨城大学)だ。

 「茨城では、高濃度で放射能汚染された野菜などを、食べ続けた人たちが一部にいた」と切り出した原口氏は、「2011年3月18日の日立市のほうれん草で、1キロ当たり5万4100ベクレルの放射性ヨウ素が計測されている」と指摘。その上で、「流通の滞りを嫌った住民の間に、青空市など非正規ルートで農産物を入手して、摂食する動きがあったことがわかった。3月21日には出荷規制が始まるが、その後も、同ルートでの摂食は続けられており、これは見落とせない『被曝ルート』と考えられる」と強調した。

 一時的避難の実施状況について、原口氏は「高萩市と笠間市の世帯で、実施率は10パーセントを超えているが、これには、自宅の断水や停電といった理由によるものが含まれており、被曝リスクを避けることが目的の避難ばかりではない」と説明。そして、「住民が原発事故が起きたことを知るのは、高萩市では、ほぼ4人に1人が3月15日以降、と答えている」とし、情報不足に根ざした「初期被曝」が、かなり発生している可能性があることに言及した。

住民の多くは「知らない」「知りたくない」

 群馬県対象の「放射能に関する意識・行動調査(2013年10~12月実施、同前)」の報告者は西村淑子氏(群馬大学)。調査時点と原発事故直後の子どもの被曝不安に関する質問の結果を紹介した。

 事故直後は「大いに不安がある」が48パーセントで、「少し不安」が41パーセントだったが、調査時には、それぞれ12パーセントと59パーセントだった。また、子どもの飲料水については、「水道水」の割合は、事故直後が43パーセントだったが、調査時点では62パーセントにまで増えている。

 群馬では、被曝を巡る住民不安はだいぶ和らいでいるようだが、こうした結果が、住民の熟慮の賜物ではないことが、この先の報告で明らかになる。

 放射性ヨウ素131や放射性セシウム134の半減期に関する質問では、「知らない」との回答が72パーセント。食品中の放射性セシウムの暫定基準についても、74パーセントが「知らない」と答えている、とされた。西村氏は、住民の間には「あまり細かなことを気にしても、対応のしようがない」というムードが広がっていると指摘した。「一般公衆の年間被曝限度についても、住民の71パーセントは『知らない』としている」。

 さらにまた、「自主避難」を望む被災者を、広く資金面からバックアップする制度になるはずだった「原発事故子ども・被災者支援法」についても、実に81パーセントが「知らない」との回答だった。

 西村氏は「こうした結果を見ると、住民の多くは、放射線対策を自己判断で行うことは無理と言わざるを得ない。これは、非常に深刻な問題だ」とし、「市役所など、住民にもっとも身近な行政機関が行っている、放射線リスク管理の『啓蒙活動』には、改善の余地が多々ある」と訴えた。

被曝への住民不安は風化していないが……

 続いて登壇した宇都宮大学の清水氏は、まず、「栃木もまた、放射能汚染が深刻だが、国による対策の格差を痛感している」と力を込め、「栃木の子どもたちも、福島の子どもたちと同水準の放射線量の中で暮らしているのに、福島のような健康調査を受けられない」「除染にしても、もっとも効果が高いとされる表土除去は『福島以外』には適用されない」などと懸念を表明した。

 さらに、「放射能汚染を話題にしにくい雰囲気が、県の中に広がっている」とも述べ、「被曝への不安を少しでも口にした母親に対し、『あなたは風評を煽るのか』と別の母親からクレームが入ることが珍しくない」と強調した。

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“「被曝限度? 知らない、知りたくもない」北関東被災地に意図的蒙昧の傾向 ~「茨城・群馬・栃木」国立大学有志が報告” への 1 件のフィードバック

  1. 匿名希望 より:

    群馬県北西部のモノですが、身の回りで健康被害が続出してますね。だけど放射能と言っていたら周りの親しい仲の人ですら離れていってしまったので今ではもう言えない状況ですが、断言できるのは、汚い言葉ですが隣三軒の平穏を保とうとしている奴らはバ〇野郎と言えます。群馬県は特に主張する人がいない保守的すぎる県ですが、完全にマインドコントロールにかかっているモノばかりです。原発持ち込んだ正力に尽力した中曽根のいる群馬なんて日本一、賢さのない県です。

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