「『再稼働はさせない』『原発ゼロ』を実現することが、立候補の最大の理由だと言うことを、細川さんは電話口で明確に話された。確信を持って、細川氏支持を表明できます」
「脱原発都知事を実現する会」の一人、ピースボートの吉岡達也氏は1月20日、細川氏支持を表明した同会の記者会見後、IWJのインタビューの中で、細川護熙元首相との会話の内容を明らかにした。
(IWJ・ぎぎまき)
特集 2014東京都知事選
「『再稼働はさせない』『原発ゼロ』を実現することが、立候補の最大の理由だと言うことを、細川さんは電話口で明確に話された。確信を持って、細川氏支持を表明できます」
「脱原発都知事を実現する会」の一人、ピースボートの吉岡達也氏は1月20日、細川氏支持を表明した同会の記者会見後、IWJのインタビューの中で、細川護熙元首相との会話の内容を明らかにした。
■ハイライト
ルポライターの鎌田慧氏らでつくる「脱原発都知事を実現する会」は1月15日に発足した。作家の広瀬隆氏や音楽評論家の湯川れいこ氏、社会学者の宮台真司氏など、長年に渡り、脱原発を目指し活動してきた著名人が名を連ねる。
2月9日に投開票日を迎える東京都知事選で、脱原発票が割れることを懸念し、同会は宇都宮健児・細川両候補の一本化を働きかけてきたが、両陣営がともに難色を示したため、統一化を断念。宇都宮氏よりも細川氏に勝算があると見込み、細川氏支持を20日決定した。
細川・小泉両氏の「脱原発」というワンフレーズだけがひとり歩きしている中、細川氏が掲げる政策の中身は未だ明らかにされていない。その上で、細川氏を支持する背景には、「脱原発都知事を実現する会」と細川氏の間にある「ホットライン」の存在がある。
吉岡氏は「脱原発世界会議」を主催しているピースボートのメンバーだが、これまで、細川氏と連絡を取り合う仲だったという。記者会見の場で吉岡氏は、細川氏から『再稼働阻止』『原発ゼロ』という言質を得たことを話し、これが「脱原発都知事を実現する会」の「細川氏支持」の決定打になった。同会の河合弘之弁護士は、「細川氏は我々と一定の距離を保っているが、話に耳は傾けてくれる。我々の間に『ホットライン』はちゃんとある」と話した。
これまで、原発の危険性を訴え続けてきた作家の広瀬隆氏は、「これは細川vs安倍晋三という、日本を二分する重要な選挙だ。選挙は勝ってこそ意味がある。今回の選挙は勝たないといけない」と語り、勝てる見込みのある細川氏を支持すると説明。「脱原発は技術論でもある。今後、ただ傍観するのではなく、細川氏に技術的な政策提言をしていきたい」と意気込みを見せた。
たんぽぽ舎の柳田真代表は、細川氏支持は個人的な決断であると前置きした上で、
「先日、泊、大飯、伊方など、原発立地県の住民約100人で集まり、議論をした。みなさん、安倍政権が再稼働を進めようとしていることを心配している。『東京で勝ってほしい』という声に満ちていた。日本を左右する選択にみんな注目している。再稼働は、核兵器開発とも関連している問題だ。
1年前の都知事選では宇都宮さんを支持した。立派な人だ。前回は、票数が約90万と相手候補と大きく差がついた。今回は勝てる候補で脱原発を実現したい」と話した。
今後、脱原発以外の政策の中身によっては、細川氏支持をやめる可能性はあるのか、という記者からの質問に対し河合弁護士は、「変な政策は出てこないと思っている。私たちが細川氏を支持するのは、脱原発政策一点で判断する」と回答。舛添陣営から、原発問題は都知事選挙の争点にふさわしくないという批判があることについては、「都知事の第一の任務は都民の生命と安全を守ること。浜岡原発や東海第二原発で重大事故が起きたら、壊滅的被害を受ける」と反論した。
「脱原発都知事を実現する会」は今後、各地で勝手連を展開し、ネット選挙を活用して細川支持を呼びかけていくという。細川陣営から要請があれば、ポスター貼りなどもかって出る予定だ。
最後に、脱原発の志を同じくする宇都宮候補の支持者との分断を懸念しないか、と吉岡氏に聞いた。
「訴えるべきことは、再稼働を阻止するための最大の方法は何か、みなさん考えて下さいということ。そうすれば自ずと、どういう投票行動がいいのか見えてくるはず。
宇都宮さんに入れるより、細川さんに投票する方が僕はいいと思うが、(宇都宮氏の支持者を説得するよりも)舛添さんに入れようとしている人に細川さんについて伝えたり、選挙に行かない人を選挙に行こうと働きかけるべきだと思う。(脱原発候補が二人いることは)相乗効果があるのではないかと、楽観視しています。この選挙は対舛添さんであって、対宇都宮さんではありません」
東京都知事選の告示日は1月23日。前日の22日午後17時、細川護熙候補は出馬会見を開き、選挙公約を発表する予定だ。
一言です。残念です。
【広瀬隆氏 発言要旨】 〔29:00~36:30〕
・「私は、数十年、原発の反対運動をしてきた人間。」
・私たちが選挙で期待して投票しても、騙されてきた歴史がある。
例① 目の前の、仲井真沖縄知事
② 青島幸男都知事 (そのために、石原慎太郎知事が誕生してしまった)
③ 猪瀬前知事 (東京都が自分たちで電力を賄うと言って、火力発電所、非常に優れたガスコンバインドを作ると言っていたのが、去年の9月下旬にそれをなくした)
・こういう公約違反を平然とやる人達を私達は支持できない。細川氏の正式な政策の発表の2日前なので、今日支持を表明するのはためらいがあった。細川氏側に、原発ゼロは純粋に技術論であり、それを実現できる簡単な方法や、高レベル放射性廃棄物の問題をこれまで調べてきたので、それを伝えていくのが条件だ。
・私の感触としては、細川氏が都知事になれば、「明るい東京」になると思う。
・今は原発再稼働を目前に控えている状況であり、これを全力で止めなければならない。
・М氏とは何度も対論をして、よく知っている。非常に危険な思想の持ち主だ。
・細川氏の「平和主義」にも、大きな意味がある。
【白田81のコメント】
広瀬隆氏の近著に、『原発ゼロ社会へ!新エネルギー論』(集英社新書),『二酸化炭素温暖化説の崩壊』(同)があり、そこで、「自然エネルギー」には懐疑していて、その点で「1000万人アクション」の運動には賛同できず、私も広瀬氏の主張のほうが正しいと考えている。
「数十年」の広瀬氏の警告は、1Fの惨状と、人々とその寄るべき自然の苦しみに、具現化してしまった。これは「予言」などではなく、はっきりと、論理の必然だった。
その広瀬氏が、違いを超えて、まず、柏崎刈羽の再稼働を阻止しよう、と話されている。
数十年遅れて、おふたりの元首相が、この方向に歩みを進めるべきだ、と訴えて、この都知事選がある。
広瀬氏から見れば、遅れに遅れたが、選挙戦での細川候補,小泉元首相のそれは真摯で、アーカイブで確認してほしいが、真剣な反省と、未来への考察がある。
「また騙されるのではないか?」、「他意があるのではないか?」、という考えも当然あるだろうが、それは、東京都民各自、ひとりびとりの判断である。そのためのIWJのアーカイブだ。
岩上代表が言われるように、選挙が終わっても暮らしは続くし、自分が死んでも、日本と世界は続いていく。
ただ、自分が死んだ後のそれへの想像力は、自分が生まれる前の歴史にリアルで長い感覚をもつ人物の方が、優れていると私は思い、その他の課題にも「常識的」な判断ができる、と、私も「感触」している。