【岩上安身のツイ録】「細川擁立劇」について考えておくべきこと~これだけある小泉政権と安倍政権の共通点 2014.1.14

記事公開日:2014.1.14 テキスト
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特集 2014東京都知事選
★2014年1月13日の岩上安身の東京都知事選に関するツイートを再掲します。

 細川・小泉・小沢連合に世間が沸き立つのは当然だと思う。ビッグネームの合従連衡。政治的に鋭く対立していた小泉氏と小沢氏が、本当に手を結び合ったのか、という驚き。鍵を握るのはやはりマスコミを通じての影響力、大衆的な人気では、いまだに群を抜く小泉氏。

 小泉氏の「自民党をぶっ壊す」再びか、と「期待」する向きがあるのも良く理解できる。が、ちょっと待ってもらいたいのは、小泉氏がぶっ壊したあとの自民党はどう再生したか、である。

 戦後政治を通じて曲がりなりにも社会保障制度の整備と公共事業によって再分配を行ってきた中道右派の自民党が、中道が消し飛び、右派一極の新自由主義政党になってしまった。現在の安倍政権のやっていることは、小泉政権の延長上にある。小泉政権時代にイラク戦争へ自衛隊を派遣するなどの「実績」を積み上げなければ、安倍政権がやろうとしている「戦争のできる国」作りなど手が届かなかったはずだ。

 経済における新自由主義、安保面では戦争可能な国へ。どちらも対米従属。そしてその補償のようにナショナリスティックな振る舞いを時折する。靖国参拝はその一つに他ならない。そして、それ以前からの原発政策の継承。小泉政権と安倍政権にはこれだけの共通項がある。

 原発だけ政策を改めようじゃないか、と小泉氏は言い出した。それだけだ。それだけで今、これだけの浮かれ騒ぎをしているのである。小泉氏は今、議員でもなく、気ままに講演をしているだけ。真意はわからないことだらけである。

 しかし、昨年の日本記者クラブの講演で、これまでの自分の政策は正しかった、間違っていなかったと述べ、原発政策以外の他の政策を改める素振りはまったく見られなかった。その小泉氏が「言い出しっぺ」となって始まった細川擁立劇である。細川氏は政界から引退して長い。もともと自身の政治信条を高く掲げ、信念を貫くリーダーでもなかった。

 小沢氏は、検察、官僚、メディア、そしてアメリカに睨まれ、徹底的なバッシングにあって政治力をもがれてきた人物である。彼が捲土重来を期して、かつて担いだ「殿様」を再び担ごうと考えてもおかしくはない。だが、細川ー小沢連合で、どれだけ盛り上がっただろうか?

 まず、メディアは徹底的にスルーしたであろう。民主党離党以降、マスメディアは「小沢叩き」から一転、徹底した「生活隠し」を行った。暴力的なまでのバッシングのあとは、冷酷なまでのネグレクトが横並びで貫かれた。結果として、生活は党勢の弱体化を強いられた。

 小泉氏が一枚噛んでいなければ、細川擁立はインパクトを持ち得なかったに違いない。ということはつまり、細川・小泉・小沢連合が成立したとして、その中で小泉氏の発言力、政治的権力は、非常に大きなものとなるのは火を見るより明らかである。

 だからこそ、我々は「今の」小泉氏について、深く知る必要がある。判断を下すのは、それからであるべきだ、と、その程度の慎重さが理解されないとしたら逆に不思議でならない。小泉氏の腹のうちを理解するのは容易ではないかもしれないが、彼は「未知」の政治家ではない。本来、我々がよく知っている、実績のある政治家なのだ。

 「既知」の政治家に対して、まずはこれまでの実績から検討するのは当然ではなかろうか。細川・小泉・小沢連合が、舛添氏を担ごうとする自民党と本当に一線を画す戦線を形成するのか。手っ取り早くいえば、これはガチンコなのか、ケーフェイなのか、ということだ。その見極めは、誰かついたのか?

 まさに今の沖縄の政治状況を見てもらいたい。普天間の代替施設は「県外移設」と、堂々、ケーフェイの公約で県民を騙してきた仲井真知事や自民党選出の議員らが、その正体を明らかにして、公約をひっくり返したではないか。甘言に乗せられた有権者も間違いなくいたはずだ。

 中道・リベラルを信奉する政治家や有権者は、今、かつてないほどに追い詰められている。閉塞感ゆえに苛立ちが募る心理はよくわかる。しかし、だからと言っても、やはり冷静さを忘れるようなことがあってはならないだろうと思う。「今の」小泉氏の見極めは必要である。小沢氏の真意も、だ。

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「【岩上安身のツイ録】「細川擁立劇」について考えておくべきこと~これだけある小泉政権と安倍政権の共通点」への16件のフィードバック

  1. 瀬口潤二 より:

    宇都宮さんは立派な方です。しかし、政治家ではありません。政治家は、小泉さんや細川さんのように、世間の流れを感じて、現実的に動ける事です。ジャーナリストには、ジャーナリストの役割があり、弁護士には、弁護士の役割があります。今、一番大事なことは、原発問題です。脱原発は、既得権益とのたたかいであり、文化や文明、生活への問いかけです。
    東京都知事選挙は、原発以外のテーマにも政策論が一致しないといけないと言いますが、そんなことを言っている余裕があるのですか。共産党と同じ方向性で、いいのですか。小泉さんの功罪を今言う必要がありますか?
    細川さんを信じて見ませんか?
    細川さんが勝てば、少なくとも再稼働は、困難になります。宇都宮さんには、勇気ある撤退をお願いします出来ないものでしょうか。

    1. スメルジャコフ より:

      しかし、石原や猪瀬はかつては作家でした。そういう人をみんな「信じた」のですよね。今更元政治家であるなんてと言われても詭弁としかいいようがありません。

      都政は「原発さえなんとかなればいい」という甘いものではないはずです。
      原発以外にも余裕のないテーマをたくさん抱えているものなのです。残念ながらTPPも社会保障の問題も文化や文明、生活への問いかけなのです。

      それに細川さんが勝っても再稼働が困難になるという保証がどこにあるのでしょうか。公約と違うことをしてきた政治家を我々は嫌というほど見てきたのではないでしょうか。

      そいういう現実もみなければなりません。

    2. 鉄子の父 より:

      宇都宮さんは政治家ではない!まったくそのとおりですね。
      前回の立候補のとき『私が当選したあかつきには。。。』といった生徒会長風の陳腐な語り口を聞いてがっくりしました。
      自分が見えてないんですねぇ~
      人を感動させる能力がないのであれば、弁護士だけやってればいいんです。

      それでも共産党は弁護士が好きなんですね。大義を見失い自分たちの組織を維持するためだけに意地を張り続けるしか能がないのなら早くこの世から消え去ってほしい。

    3. 三宅勇次 より:

      信じたいが、信じても力がない 所詮綺麗事だ

  2. たっちゃん より:

    細川氏が総理になった後の、引き際のあっさり感が忘れられません。

    どこまで本気で大変な役割を担う気があるか信じられないというか。
    年も70代で、2期務めるのは無理そうだし。

    宇都宮氏の「社民・共産の支持」って、確かに「あまり現実的でない候補」のイメージが強くて嫌ですけど。
    信念の強さ、粘り強くコツコツすすめていくスタンスこそ今求められるものだと思う。

  3. 陶 くみ枝 より:

    小泉さんが「即原発ゼロ」を言い出した時は、経済界を含めた、国民の意思を冷徹に読んだ上での、発言だと感じ、何とか政治的な動きとしての展開があればと期待しました。エネルギー政策の転換は、日本の未来の基礎をつくると思います。ここに来て、具体的に都知事選に細川さんを担ぎだし、小沢さんと連合したのは凄い実行力だと思います。

    宇都宮さんの国政、都政に対する問題認識、そして一貫した弱者サイトに立つ発言も、法律家としての手腕にも100%応援支持するものです。もし細川さんと宇都宮さんが連携して、都知事選を戦えるのであれば、素晴らしいことだと思います。小沢さんに、両者の間を繋げるような働きを期待するのは難しいことでしょうか?

    3.11後に、石原都政、猪瀬都政を選択してきた都民です。一挙に全てを理想とするのは、現実的でないような気もします。水清ければ魚住まず。宇都宮さんに少し政治的な動きを期待したいのですが、それは酷なことでしょうか。宇都宮さんには何とか都政の一角に食い込んで欲しいのです。

  4. 疋田 博幾 より:

    ツイッターやTV、ネット上で宇都宮市の出馬撤退を促すような発言が散見されているがどうも胡散臭いですね、これは用意周到に仕組まれた罠じゃないのかな?
    でどころはどこでしょうか?

  5. 青井るり より:

    先週の官邸前抗議金曜のスピーチでは都知事の話題にふれた人はほとんど、宇都宮さんの政策に共感しているようでした。
    (もちろんすべてのスピーチをきいたわけではありません。)
    大手マスコミは脱原発派は細川さん立候補を歓迎していると伝えている。
    実際は、脱原発票を割る行為で、反感をもっている人の方が多いと感じた。
    違和感をもった。

  6. みのむし より:

    政治のことは政治家に任せろみたいな考えには、反対します。原発問題は、確かに既得権益との闘いですが、企業中心の既得権益を守ってきたのが両氏ではないでしょうか。再稼働が困難になるのは、宇都宮さんがなっても同じなのですから、本当に既得権益を打破して、都民生活を守る立場に立つならば細川―小泉連合が宇都宮さんを支援する立場に立つこともできるはずです。それができないのは、結局両者は、岩上さんが言うように新自由主義的構造改革を推進する立場だからです。必要なのは、一方的に宇都宮さんに撤退を迫るのではなく、原発と新自由主義的構造改革を打破できる宇都宮さんを全力で支援することだと思います。

    1. 三宅勇次 より:

      政治家全体のレベルが下がっており、宇都宮氏に期待する

  7. 社会貢献 より:

    宇都宮さんは、共産党を、具現化している。!(~▽~@)♪♪♪

  8. @Mass_Mr(Twitter) より:

    細川元首相は特に問題ないですが。
    小泉元首相+原発メディアの記者クラブが担いだ時点で一切信用できません。
    小泉悪行の一つ「B層戦略」だけでも知ってくれれば小泉メディア推し候補が少なくともうさん臭いことはわかるのではないでしょうか。
    「現状への焦り」からか。脱原発系著名人(田中龍作さんさえ中立)でさえ小泉原発詐欺になびいていますが。
    この状況の中、果敢に小泉原発礼賛に疑問を呈す岩上安身さんの洞察力には心底、敬服します。
    小沢一郎さんに関しては先の大学対談で「小泉元首相と組め」という観客からの要請に「まだ騙されるんですか」と呆れ顔でしたが。「現状への焦り」から盟友の細川元首相ならと組むことにしたのでしょう。

  9. dek_nobo より:

    脱原発は経済界との戦いです。「こんなことになるくらいなら原発なんていらない」という考えは「電力消費を抑えよう」という行動が伴わない限り「だったら代替エネルギーを出せよ」という論調に抗えません。今の経済界そのものの変革がどうしても求められます。
    仮に「とりあえず全部止めよう」という、なんら社会の変革のないままの脱原発なら、数年もしないうちに世論がひっくり返り、再稼働に傾くでしょう。そうなるのは断じて、御免なわけです。数年前の民主短命政権のときみたいに、戻った時は前以上に悪い状況なるのは火を見るより明らかでしょう?だからきっちりやらなければならない。
    そういう意味で、中流以下の都民の生活に焦点を当てた宇都宮氏の考え方は支持を集めやすいと思う。一部のオカネモチのために原発を動かし続けるなんて!と考えるのは私のような中流以下の労働者ですから。
    もし、細川陣営も本気で脱原発に取り組む気でいるのなら、細川サイドが宇都宮知事を支持するという格好が理想的だと思う。政治家という少なからずダーティなイメージから切実に脱原発を思う者の信用を得られない細川氏が、本気で取り組む姿勢を見せている宇都宮氏に欠ける知名度を補えばよい。細川(小泉)が支持した宇都宮って!と、マスコミも無視できなくなるだろうし、現政権への不満をぶつけたい人も納得する(なにしろ安倍政権とは考えがまるっきり逆ですから)。なにより、安倍ら自民陣営が最も嫌がるのはこのかたちではないでしょうか。
    少なくとも自分は、細川氏がどのように「即時脱原発」を実現するつもりかを聞くまでは、彼のことは信用する気になれない。政治的調整をちょこちょこやって、風力発電あたりでお茶を濁す、とかなら尚更信用しない。今の日本を牛耳っている連中には、そういうやり方が通用するとは絶対思えないからです。
    非富裕層の声を地道に聞き、支持を集め、そこにある民意が原発推進ではない。と言い切れる立場になろうとする宇都宮氏のやり方は、遠回りなようですが、それが一番確実で、結果的には早道だと私は思っています。

  10. うつらうつら より:

    結局、宇都宮氏の最大の弱点は
    弁護士だということ。
    弁護士出身が悪いとは言わないが、
    初めての行政で首都の首長をいきなり任されるのは
    荷が重過ぎると思います。
    (それは彼がどれだけ頭がよいかというのとは別問題)
    きっと弁護士の信念として
    ダーティーなことはしないと思いますが、
    都の官僚も都議会の面々もそんな素人首長で
    立ち回れるはずもなく、四面楚歌か言いなりになるのが
    目に見えています。

    結局、ツワモノだけが、政治でも生き残るし、現実を変えられるのだとおもいます。
    (善悪ではなく、、、)
    細川氏がベストなんてたぶん誰も思っていないはずだし、、
    ただただ原発を推進する勢力を、東京電力をどうにか封じ込めるためには
    パワーを一時的に借りるのだと私は考えます。

  11. 大曽根 紀雄 より:

     宇都宮市の最大の強みは、弁護士であり、今までずっと、原発廃止運動のみならず、弱者の見方の実践を積み重ねてきたことだと思います。そして、「都知事になったらこうやる」という約束・政見をきちんと発表していますね。
     さて,逆に,細川さんはどうか。小泉さんの抜群の知名度と、マスコミ利用のパフォーマンスのうまさが、強みになっていますが、ご自身の反原発の実践、訴える活動実績はほとんどなく、昨日まで原発以外の政見もネット上をさがしても見つからない。だから、知事になったら、かりに原発再稼働反対は貫けたとしても、中央市場移転、オリンピック、外環状高速道路、介護や社会保障、教育、消費税値上げ、秘密保護法、など、都民、国民として重要と思えることに知事としてどう対処するのか不明でした。(今日は公示日ですから、公約も発表されているでしょうが。)
     「勝てそうだから」細川氏しかないというのは、他の政策はどうでも良い、結局、原発以外の政策はすべて、自民党あるいは小泉氏の許容範囲となりはしないか。「勝ちさえすれば」では、私のように危惧する人は支持しないと思うから、勝つことすらおぼつかないと思うのですが。

  12. 三宅勇次 より:

    原発問題は世界の問題です
    世界に訴えたいのだが、その力は日本人にはだれにもありません
    地道に 再稼働を止め、自然エネルギーの開発で 日本の政治力を養わなければ 脱原発は空念仏になります。
    自然エネルギーでも経済戦争に勝てるはずです。小泉氏の原発と経済をリンクさせる考えは、原発のコストを見誤った意見です。原発電力が安いのは集計されていないだけのことです。それを明らかにすると政府は退陣しなければなくなり、触れたくないのです。原発を争点にしたくないと何度も自民党はつぶやいています。

    今は粘り強さが必要で 宇都宮氏をその点で一番頼りにしています
    議論は勉強を良くすればできることです。
    柏崎の再稼働を止め、青森の設備の稼働を止めるのが先決です。日本の政治家は信用がなく世界に主張できる人はいません。脱原発は世界の課題です。アメリカはIAEAを表に出して、安全な原発を動かすことを勧めています。
    脱原発はアメリカが障害になっているのです。抽象論は通じません、できることは一つずつ、廃止させていくことです。

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