2013/12/03 人権NGO団体ら秘密保護法に懸念表明「侵略、人権侵害、2度の大戦を経て発展した『国際人権法の原則』が崩壊する」  

記事公開日:2013.12.3
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特集 秘密保護法

 「特定秘密保護法案」は、国際人権規約から逸脱している。こうした観点で法案の危険性を訴える国際人権NGO団体らが12月3日、参議院議員会館で共同記者会見を開いた。

 参加したNGOは「アムネスティ・インターナショナル」、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」「ヒューマンライツ・ナウ」「自由人権協会」「反差別国際運動」の5団体。

 アムネスティ・インターナショナルの川上園子氏は、秘密保護法は国際人権法条問題があると指摘。「重大な人権侵害や人の生命に係るような健康問題、原発などの環境問題に関する情報は、むしろ積極的に公開していかなければならない。特に人権侵害を隠すことによって過去の、未来の人権侵害の事実を免責し、その罪を許すことを助長してしまうと考えられる」とした。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチの日本代表を務める土井香苗氏は、「『国際人権規約』は法律。政府は守る義務がある」と発言。国家安全保障・表現の自由・情報へのアクセスの自由に関する「ヨハネスブルグ原則」や、国家安全保障と情報への権利に関する「ツワネ原則」などの解釈基準に従い、「国際義務に則った法律に見直す必要がある」と意義を唱えた。

 自由人権協会の理事を務める藤原家康弁護士は秘密保護法案について「憲法を理解していない人たちが作っているとしか思えない法律」であると批判。「一番の問題は、立法目的がないこと。なぜ作るのか、という質問に答えられない。人権を制限する法律については、対立利益がなければいけない。対立利益のない法律は違憲で、制限する根拠が無い。そういうことが、国会でまったく議論されないことが不可思議」と疑問を呈した。

 さらに藤原氏は「何が秘密かも秘密では、法の支配が及ばない。国会議員が暴走している今、一人ひとりが立ち上がるしかない。自民党への追随勢力に、一人ひとりが具体的な圧力をかけるしかない」と訴え、「でなければ、大変なことになる」と危機感をあらわした。

 反差別国際運動の原由利子氏は、「戦争、対外侵略、人権侵害、2度の大戦の教訓を経て、60数年間かけて発展してきた『国際人権法の原則』が、今、崩れようとしている」と断言。また、自民党の石破茂幹事長が自身のブログで、デモ参加者とテロリストを同一視するかのような発言をしたことを挙げ、次のように指摘した。

「『朝鮮人を殺せ』というヘイトスピーチのデモが新大久保であったとき、警察は『表現の自由』として止めない。しかし、秘密保護法反対といえば、テロとして止められる。これは二重基準。つまり、政府に対して異を唱えたものの口は塞ぐ。そうでなければ、いい。良い市民運動と悪い市民運動を二分する」

 原氏はさらに、国連人権高等弁務官のナバネセム・ピレイ氏が2日、特定秘密保護法案について「『秘密』の定義が不明確で、政府にとって不都合な情報が秘密扱いされ可能性がある」とし、「日本国憲法が保障する情報アクセス、表現の自由を適切に守る措置がないまま法制化を急ぐべきではない」と懸念を表明したことに言及。「国連の人権高等弁務官が、日本を名指しし、特定秘密保護法案を名指して、『時間をかけるべき』だというのは異例。そこまでやれば内政干渉にもなりえる。国民は、それだけ危機的であることを知らない」。

 会場に駆け付けた海渡雄一弁護士も、同じくピレイ氏の警告について、「国連そのものの意思表示に近い」とコメント。ピレイ氏に先がけて、先月22日、国連の特別報告社であるフランク・ラ・ルー氏とアナンド・グローバー氏も、秘密保護法案に対して懸念を表明していたが、「特別報告者はアドバイザー的な立場だが、人権高等弁務官は、国連の人権管轄をつかさどる国連の一番の高官だ」と重大性を提示。「そういう方からも思い留まるように言われていて強行採決するのか、と。世界から見て大変な問題になるのではないか」と語った。(IWJ・原佑介)

■ダイジェスト動画

 ・告知 特定秘密保護法に関する国際人権NGO共同記者会見|ヒューマンライツ・ナウ

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