2013/11/10 「日本が『辺野古は無理』と言えば、交渉はそこから開始できた」「鳩山政権は意図的に潰された」~普天間移設を振り返り、川内前衆議院議員が日本平和学会で登壇

記事公開日:2013.11.10
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特集 日米地位協定

 「米軍の沖縄撤退というわれわれの主張は、バカなことを言っている奴らのごとくに、葬り去られていった」──。

 2010年、当時の鳩山由紀夫首相は、沖縄の米軍基地の負担軽減を模索し、「最低でも県外」と主張して沖縄県の普天間基地移設問題に奔走した。2013年11月10日、東京都港区の明治学院大学にて行われた日本平和学会で、前衆議院議員の川内博史氏は「この問題で、鳩山政権が意図的に潰されたと言ってもいい」と当時を振り返った。

  • 報告
    前泊博盛氏(沖縄国際大学)「日米地位協定にみる日米関係-終わらない“占領”」
    川内博史氏(前衆議院議員)「終わらない占領-在沖縄海兵隊再編の真実-」
    松島泰勝氏(龍谷大学)「琉球の独立と平和―ナショナル・マイノリティによる脱植民地化運動の思想と実践―」
  • 討論 石川捷治氏(久留米大学)/高野孟氏(インサイダー編集長)/司会 木村朗氏(鹿児島大学)(中継には含まれません)

【日本平和学会から】ここで放送される内容は、日本平和学会の公式の見解ではなく、報告者個人の考えによるものであり、日本平和学会は責任を負いません。

■ダイジェスト動画

米軍の抑止力は概念的なもので、実際に効いたという歴史的検証はない

 前泊博盛氏は沖縄独立論が語られる背景について、「沖縄の独立について、本土には違和感なく話す人がたくさんいる。著名なジャーナリストにもたくさんいる。なぜ、そういう発想が出てくるのだろうか。潜在的に、沖縄は日本ではないという意識が、日本人の中にあるかもしれない」との考えを示した。

 続けて、「米軍基地は、なぜか沖縄でなければならない、という地理的優位論に固められて、今に至っている。最近では、北朝鮮や中国脅威論に対する戦略的拠点、とも言われている。さらに、日米安保と海兵隊の抑止力というのがある。この抑止力論はいろいろ議論されるが、一般の議論の中に出てくるのは、『沖縄に米軍があり、海兵隊がいるから抑止力が効いている』というもの。しかし、これを実証する形の論文が出てきていない。実際に『抑止力は効いた』という歴史的検証がなされなければならないが、概念的なものでしかない。現状の尖閣問題を見れば、抑止力はまったく効いていないことがわかる」と、米軍基地の存在意義を否定した。

「基地も原発も必要だが、自分の近くにはいらない」というのが本音

 「沖縄では、『戦争の犠牲にはなりたくない。日米安保のために米軍基地が本当に必要なら、必要と言っている地域に、基地を持っていってほしい』という主張が出てきている。これに対して、本土では『自分の近くに持ってきてほしくはないけれど、日米安保は必要だ』という論理である。これは、原発政策と似ている」。

 「原発は必要だが、自分の近くにはない方がいい、ということ。現に、首都圏に原発はまったくない。安全だと言って世界中に輸出しようとしているこの国の原発が、首都圏にない理由は、本音では安全だと思っていないからである。基地政策も同じ。米軍が日本を守るはずなのに、誰も受け入れようとしない」。前泊氏はこう指摘した上で、「これを、普天間問題で明らかにしたことが、鳩山政権の功績だ」と評価した。

政府は国民に本当のことを言わない

 次に、川内博史氏が「鳩山政権のもとで『米軍基地は、できれば国外。最低でも県外』と実現に向けて動いたが、残念ながら成し遂げられず、この問題で鳩山政権は潰れた。意図的に潰された、と言っていいと思う」と切り出した。

 「政治評論家やニュースキャスターなどは『沖縄ばかりに過剰な負担を負わせてはならない』『基地負担の軽減を図らなければならない』と言う。しかし、『海兵隊に沖縄から撤退してもらう』という、民主党、鳩山由紀夫氏、そして私の主張は、バカなことを言っている奴らのごとくに、葬り去られていった。それが、現実の社会だ。大昔からそうだが、政府、統治機構は、国民に本当のことは言わないのである」。

辺野古移設を強行したいのは日本政府

 川内氏は「米軍沖縄海兵隊の再編計画に関連して、日米間で合意文書がある。外交関係は多くのことが文書で取り決められるので、文書にあたることは非常に大事。しかし、日本のマスコミや政治評論家は、原典にあたらず、外務省や防衛省から説明されたことを、しゃべっているだけ。2006年の日米ロードマップでは『約8000人の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族を合わせた約9000名は、部隊の一体性を維持する形で、2014年までに沖縄からグアムに移転する』と言い切っている」と指摘し、「重要なことは、実際に文書に書かれている」と重ねて力説した。

 「ただし、そこにはトリックがある」とも続けた川内氏は、「普天間飛行場の移転問題である。普天間飛行場という施設と、それを使っている部隊がパッケージとして移転すると考えてしまうが、そこはパッケージではないのだ。基地というハードと、そこを使う部隊というソフトは別物。だから、残ったハードをどうするかが、普天間飛行場移設問題の本質になる」と述べた。

 「日本としては、『グアムに部隊を移すのだから、普天間はいらないだろう。キャンプハンセンもキャンプシュワブも、まだ使える』という交渉を、アメリカにすればいいのに、今の外務省や防衛省は『辺野古に新しく作りますから、そこにいてください』という話をしている」。

アメリカは、自分からは絶対に言わない

 さらに、「アメリカは2011年12月31日現在、日本に1万4951名の海兵隊員が存在していることを表明している。しかし、そこから岩国海兵隊航空基地の5000名とグアム移転の8000名を除くと、沖縄にはほとんど残らないことになる。これでは普天間は必要ない、と言われるので、自民党の額賀福志郎議員は『沖縄の海兵隊は18000名である』と国会答弁をした」と述べ、嘘の数字を使ってまで辺野古移設を強行しようとする、日本政府の対応を明らかにした。

 最後に川内氏は、アメリカ国務省高官との会談で「辺野古は無理」と伝えた際に、高官は「自分も無理だと思う。しかし、アメリカから正式には絶対に言わない。なぜなら、今は日本が『辺野古に基地を作る』と言っているからだ。日本政府が『辺野古は無理だ』と言えば、そこから話はスタートする」と発言したことを報告し、話を終えた。

琉球は日本の植民地? 今、台頭する国家なきナショナリズム

 松島泰勝氏は「琉球は、日本により植民地支配されている」と主張し、以下のように述べた。「琉球は、もともと日本とは別の国で、それが武力によって1879年に併合された。それにより、琉球の国家主権が奪われ、その後も同化政策が行われてきた。現在の沖縄県という政治的な地位が決められたのは、1972年の沖縄返還協定であるが、この成立過程からも、琉球人と琉球政府は排除されていた。琉球は政治経済的独立が奪われ、米軍基地が押し付けられ、人民の自己決定権の行使は認められなかった植民地である」。そして、「琉球を併合し、米軍基地を押し付けている日本政府にとって、植民地問題とは他国の問題ではなく、自らの問題である」と力を込めた。【IWJテキストスタッフ・花山/奥松】

<この後、普天間基地の県外移設に対する日本国内の反応が、「沖縄の人々にマイノリティの自覚を与えた」と語る松島氏。さらに、「脱植民地化・琉球独立」が現実味を帯びてきたと主張します。この続きはぜひIWJ会員となってご覧ください!>

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